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諸藤 達也 Tatsuya Morofuji

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諸藤 達也(もろふじ たつや)は、日本の有機化学者および有機化学系YouTuberである。学習院大学理学部助教(2022年8月現在)。専門は有機合成化学。研究テーマはイオン性化合物を用いた有機分子変換法の開発。

第32回ケムステVシンポ講師

経歴

2007 私立大阪星光学院高等学校 卒業
2011 京都大学工学部工業化学科 卒業 (吉田 潤一 教授)
2013 京都大学大学院 工学研究科 合成・生物科学専攻 修士課程 修了 (吉田 潤一 教授)
2016 京都大学大学院 工学研究科 合成・生物科学専攻 博士課程 修了 (日本学術振興会DC1、吉田 潤一 教授)
2016 京都大学 博士(工学)
2016 京都大学大学院 工学研究科 合成・生物科学専攻 (日本学術振興会PD、吉田 潤一 教授)
2016–2018 花王株式会社 マテリアルサイエンス研究所
2018–現在 学習院大学 理学部 化学科 助教 (狩野 直和 研究室)

受賞歴

2013 大津会議フェロー
2014 日本化学会春季年会 学生講演賞
2021 有機合成化学協会 研究企画賞 保土谷化学工業 研究企画賞
2022 化学コミュニケーション賞2021
2022 宇部興産学術振興財団第62回学術奨励賞

研究業績

イオン性化合物の特異な電子状態を利用した有機分子変換法の開発を進めている。

1. フェノチアジニウムを用いたC(sp2)–C(sp2)カップリング1,2

遷移金属触媒を用いない有機金属試薬の求電子的アリール化はシンプルながら挑戦的な課題である。諸藤は独自にデザインしたS-アリールフェノチアジニウムとアリールリチウムが反応し、非対称ビアリールを与えることを見出した。本反応において、フェノチアジン環の窒素原子が反応の選択性制御に重要であることが、実験・計算の両面から明らかになった。

2. ストレプトシアニンを経由したピリジン環からベンゼン環への変換3,4

p-置換ピリジンを開環することで得られるストレプトシアニンを用いて、カルボニル–p-フェニレン–π分子やm-置換アニリンを合成する手法を開発した。形式的にピリジン環をベンゼン環に変換する他の手法では難しい分子変換を実現できる。

3. C,O-二座配位子を有するアルキルシリカートを用いた光触媒的ラジカル反応5,6

古くから知られているものの合成的に利用されたことのなかったC,O-二座配位子を有するアルキルシリカート7を用いた光触媒的ラジカル反応を開発した。本シリカートは酸に対して安定であるため、酸性条件の反応にも用いることができる。さらに一般的に不安定で発生の難しいメチルラジカルも、本手法により発生させることができた。

コメント&その他

関連動画

関連文献

  1. “Arylation of aryllithiums with S-arylphenothiazinium ions for biaryl synthesis” Morofuji, T.; Yoshida, T.; Tsutsumi, R. Yamanaka, M.; Kano, N. Chem. Commun. 2020, 56, 13995-13998. doi:10.1039/D0CC05830K
  2. N-Methylphenothiazine S-Oxide Enabled Oxidative C(sp2)–C(sp2) Coupling of Boronic Acids with Organolithiums via Phenothiaziniums” Yoshida, T.; Honda, Y.; Morofuji, T.; Kano, N. Org. Lett. 2021, 23, 9664-9668. doi:10.1021/acs.orglett.1c03986
  3. “Connecting a carbonyl and a π-conjugated group through a p-phenylene linker by (5+1) benzene ring formation” Morofuji, T.; Kinoshita, H.; Kano, N. Chem. Commun. 2019, 55, 8575-8578. doi:10.1039/C9CC04012A
  4. ”Sequential Ring-Opening and Ring-Closing Reactions for Converting para-Substituted Pyridines into meta-Substituted Anilines” Morofuji, T.; Inagawa, K.; Kano, N. Org. Lett. 2021, 23, 6126-6130. doi:10.1021/acs.orglett.1c02225
  5. ”Terminal-oxidant-free photocatalytic C–H alkylations of heteroarenes with alkylsilicates as alkyl radical precursors” Ikarashi, G.; Morofuji, T.; Kano, N. Chem. Commun. 2020, 56, 10006-10009. doi:10.1039/D0CC03286G
  6. ”Photocatalytic Giese-type reaction with alkylsilicates bearing C,O-bidentate ligands” Morofuji, T.; Matsui, Y.; Ohno, M.; Ikarashi, G.; Kano, N. Chem. Eur. J. 2021, 27, 6713-6718. doi:10.1002/chem.202005300
  7. ”Pseudorotational mechanism for the inversion of 10-Si-5 siliconates: ligand structure and reactivity” Stevenson III, W. H.; Wilson, S.; Martin, J. C.; Farnham, W. B. J. Am. Chem. Soc. 1985, 107, 6340-6352. doi:10.1021/ja00308a030

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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