※本キャンペーンは終了いたしました。当選者発表は後日ケムステにて行います!
結果はこちら「2024年ノーベル化学賞は、「タンパク質の計算による設計・構造予測」へ」
さてことしもいよいよ、ノーベル賞シーズンが到来します!
化学賞は日本時間 2024年 10 月 9 日 (水) 18 時 45 分に発表予定です。
昨年 2023 年のノーベル化学賞では「量子ドットの発見と合成」という材料・ナノ化学の分野を対象に、Moungi G. Bawendi、Louis. E. Brus、Aleksey Yekimov の 3 名が受賞しました。
事前のリーク騒動など一悶着ありましたが、発展目覚ましい分野からの相応の受賞でありました。ケムステでも、昨年の予想ではナノ物理という分野と M. Bawendi を見事的中させました。ほかに Brus も量子ドットの発見という業績でリストアップしておりました。
やはり全員の完全予想は難しいですが、X (旧 Twitter) でも受賞理由と受賞者を的中させた方もおり、さらにはケムステでは見逃していた A.Yekimov の名を挙げた方もいらっしゃいました。
昨年の当選者発表記事はコチラ。
そして、今年もやりますケムステノーベル化学賞予想企画!4 年前より SNS ハッシュタグでの応募形式を採用していますので、お気軽にご参加いただけます。
「この化学者に違いない!全くわかんないけどこの化学者っぽい!」・・・とする各自の予想を、
というハッシュタグをつけて、SNS(X・Facebook)でつぶやいて頂きます!後ほどハッシュタグを足がかりに的中者を追跡し、当選者10 名にAmazonギフト券 10000円をプレゼントします。
毎年恒例、
『SNS予想で盛り上がれ!2024年ノーベル化学賞は誰の手に!?』
参加方法
下記の受賞予想と2024年の候補者リストを参考にしながら、お持ちのSNSアカウント(X・Facebook)またはケムステSlackで、
というハッシュタグを付け、受賞が予想される「化学者名」と「受賞理由」を併記してつぶやいて下さい。
化学賞はなかなかズバッと当てられないので、今年も 1 アカウントあたりの予想投票数は上限無しとします。つまり気軽につぶやけばつぶやくほどチャンスは増えます!! アカウント種の個人・団体は問いません。
見事予想的中に至ったつぶやきは、可能な限りケムステスタッフが収集して抽選に附し、当選者にAmazonギフト券 10000円をプレゼントします!今年は当選者 最大 10 名です!
ケムステのリストには全ての候補者が網羅されているわけではありませんので、自分が予想する化学者がリストになくても、自由につぶやいていただいて OK です。良さそうな候補者は、こちらでも適宜リストに追記させていただくことがあります。
発表直前(2024年10月9日(水) 18時44分59秒)までに行われたつぶやきを有効投票とします。滑り込みでもOKですので、ぜひぜひご参加ください!前年度はリーク騒動で早めの締め切りになってしまいましたが、今年はきっと大丈夫でしょう。
※受賞理由・ハッシュタグが書かれていないと有効投票にはなりませんので、必ず記載くださいね!
以下、いつものようにいくつかの資料・ケムステ独自の考察と予想を、投票の参考資料として記載します。
受賞分野の周期表 (1970-2023)
例年掲載している受賞分野一覧表、昨年の業績は無機化学として、上記のとおりアップデートしています。例年、傾向として見て取れるのは下記の通り。
1. 圧倒的に有機化学、生化学分野からの受賞が多い
2. 有機化学は4〜5年に一度のペースで受賞している (ただし近年は多い)
3. 生化学は近年だと10年で4~5回の受賞ペース、うち半数は構造生物学領域
4. 分析化学や理論化学からは授賞間隔が長い
5. 物理化学、無機化学は少ない
6. ここ数年は、単一分野に当てはめにくい研究業績が増えている
2021年の不斉有機触媒、2022年のクリックケミストリーと2年連続の有機化学分野の受賞の後、2023年は2019年のリチウムイオン電池以来の無機 (材料) 化学からの受賞で、周期性はますます読みづらくなっています。また、生理学・医学賞で mRNAワクチンの開発に関しての受賞があり、医薬科学分野に関しては化学賞とどちらで受賞するのか予想が難しいですね。純粋な無機化学分野として2年連続の受賞はそうそう無さそうな気もしますが、材料科学という意味では数年来注目の的となっている MOF (有機化学でもありますが) が来ても、まったくおかしくないとは思います。
多様性を重視する傾向はもちろんあっても不思議ではありませんが、昨年度の化学賞は在米の男性研究者3氏であったことを考えると、話題性・注目性・発展性がやはり選考において重要な割合を占めているのではないかと考えます。なお、女性の受賞者が少ないことに関しては、読売新聞からこういった記事も出ています。
登竜門賞の受賞者
ノーベル賞の対象となる学者には、その前に有名国際賞を授与されることがよくあります。受賞者をチェックしておけば、可能性の高い化学者が絞れるかも!? 化学賞と親和性の高い賞に加え、存命日本人化学者(受賞年)の一覧も記しておきます。日本人の直近受賞者には、2023年ウルフ賞の菅裕明 氏がいます。菅氏のご専門である特殊ペプチドは医薬化学において大注目のモダリティであり、すぐのノーベル賞とはいかなくても、臨床応用がなされれば俄然注目の的となるでしょう。
化学系
- ウルフ賞:菅裕明(2023)、藤田誠(2018)
- ロジャー・アダムス賞:山本尚(2017)
- プリーストリーメダル
- ベンジャミン・フランクリンメダル:澤本光男(2017)
- ロバート・ウェルチ化学賞
総合系
生命・医学系
他メディアの予想:2023年版
① クラリベイト・アナリティクス社 「引用栄誉賞」
毎年発表されている賞 (旧・トムソン・ロイター引用栄誉賞) で「各分野の論文引用数が上位0.1%である」という客観的データをもとに、現在注目を集める分野を育てた化学者を選び出しています。受賞予想企画の一面もあるとされています。過去の受賞者からもノーベル賞受賞者が多く出ていますので、参照価値は高いでしょう。ただ、「受賞後すぐさまノーベル賞」という性質でもない印象があります。少し前に受賞した化学者をチェックするのが的中の近道かも?
2024年の化学賞は以下の3分野が選ばれています。AlphaFold の開発者のひとり Demis Hassabis は2024年の慶應医学賞も受賞しており、近い将来のノーベル賞 (化学賞か生理学・医学賞になるかは不明) が強く期待されます (追記: なんと2024年にさっそくノーベル化学賞を受賞しました!)。
- タンパク質の3次元構造と機能の予測・設計への貢献 (Rosetta@home、AlphaFold の開発)
David Baker (ハワード・ヒューズ医学研究所・ワシントン大学)
John M. Jumper (Google DeepMind)
Demis Hassabis (Google DeepMind)
- 水分解用光触媒と太陽光水素製造システムの構築に関する基礎研究
堂免 一成 (信州大学アクア・リジェネレーション機構・東京大学)
- 計算化学に革命をもたらしたカー・パリネロ法による ab initio 分子動力学計算法
Roberto Car (プリンストン大学)
Michele Parrinello (スイスイタリア大学・スイス連邦工科大学チューリッヒ校)
②各種メディアの論評記事(随時追記予定)
今回もリンクだけをご紹介します。各自でお読み頂き、予想にお役立て下さい (随時更新)。
-
ニコニコ生放送・2024年10月7日(月)~9日(水) 各日17:30~19:00 ※放送時間の延長あり
- Chemistry World の予想
- ノーベル賞2024 (日本経済新聞)
- CHEMICAL & ENGINEERING NEWS
- NHK NEWS WEB ノーベル賞2024
-
2024年ノーベル賞の栄冠は 科学分野、日本の注目候補 (日本経済新聞、会員限定記事)
③ケムステ版ノーベル化学賞候補者リスト:2024年版
いつもの通り、各媒体の情報を総合した上で、分野別にリストアップしています。今年も別ページにまとめました。→ こちら
全ての候補者が網羅されているわけではありませんので、良さそうな候補者は随時リストに追記させていただきます。
ノーベル賞委員会の審査員リストから洞察する
ケムステでは8年前から、「受賞発表を担当する委員会メンバーの専門分野」が的を絞るための情報として有効と考え、予想に活かしています。
これまでの発表担当者と専門分野、受賞成果の対応関係は下記の通り。きわめて良い一致を見せています。
- 2015:Claes Gustafsson(生化学・遺伝子工学)→「DNA修復機構」
- 2016:Olof Ramström (有機化学・超分子化学) →「分子マシンの設計と合成」
- 2017:Peter Brzezinski(生化学・生物物理)→「クライオ電子顕微鏡」
- 2018:Sara Snogerup Linse(生化学・タンパク質科学)→「進化分子工学研究への貢献」
- 2019:Olof Ramström(有機化学・超分子化学)→「リチウムイオン電池」
- 2020:Claes Gustafsson、Pernilla Wittung-Stafshede(生化学)→「ゲノム編集」
- 2021:Peter Somfai(有機化学・有機合成化学)→「不斉有機触媒」
- 2022:Olof Ramström(有機化学・超分子化学)→「クリックケミストリーと生体直交化学」
- 2023:Heiner Linke (ナノ物理化学) →「量子ドットの発見と合成」
2023 年の Award Ceremony 説明担当者である Heiner Linke については、昨年のケムステ予想で以下のように言及しました。
Heiner Linke はサポート役からのメンバー入り3年目です。そうなると、今年は、ナノ物理分野?と予想できます(昨年もその予想でした。外しましたが)
実際の説明者 (Expert) は、Heiner Linke。2年越しの予測が見事的中しました。分野も見事一致。やはり選考委員会メンバーからの予測がかなり確率高そうです。
そして、今年も以下のルールに則り、受賞発表担当者を予想します。
- 議長・主事メンバーの分野からは選ばれることがない(2020年はサポートメンバーが説明者となり選ばれました)
- 残りのメンバーの分野に近いものがノーベル賞として選ばれる
さて、今年の化学賞審査委員会のメンバーは、
Peter Brzezinski (主事) : Professor of Biochemistry「クライオ電子顕微鏡」
Andrei Chabes : Professor of Medical Biochemistry
Heiner Linke (議長) : Professor of Nanophysics「量子ドットの発見と合成」
Peter Somfai : Professor of Organic Chemistry 「不斉有機触媒」
Xiaodong Zou : Professor of Inorganic and Structural Chemistry
Johan Åqvist : Professor of Theoretical Chemistry
の 6 名です。昨年スピーチを務めたHeiner Linke が議長に回り、また昨年はサポートメンバーだったAndrei Chabes : Professor of Medical Biochemistry が主要メンバーに昇格しています。他の 4 名は昨年からの継続ですね。Johan Åqvist は昨年議長でしたが、今回は役職なしということに加え、長年 committie に 加わっていながらスピーチをしていないという理由で、彼の専門とする理論化学分野が来るのではとの予想もできます。またサポートメンバーから昨年昇格した Xiaodong Zou にも注目です。彼女の専門は無機構造化学ですが、類縁分野である MOF で注目を集めている 藤田誠 氏 や Omar M. Yaghi 氏、北川進 氏は毎年ケムステでも例年予想に挙げています。Andrei Chabes は生命科学分野が専門ですが、そうなるとクラリベイト引用栄誉賞を受賞しており、生理学・医学賞でも注目されている 柳沢正史 氏の可能性もあると筆者は予想します。
4 年前から追加された Co-opted members というコミッティーメンバーのサポート役も、確認しておく必要があります。今年は以下の通り。
Olof Ramström : Professor of Chemistry「分子マシンの設計と合成」「リチウムイオン電池」「クリックケミストリーと生体直行化学」
Pernilla Wittung-Stafshede : Professor of Chemical Biology 「ゲノム編集」
今年は Olof Ramström がサポートメンバーにまわっています。彼の守備範囲は幅広いので予想が難しいですが、さすがに主要メンバーとして3回のスピーチを行っていることから今回前面に出てくる可能性は少ないでしょう。Pernilla Wittung-Stafshede も一度スピーチを行っているので、今回はサポートメンバーからの説明の可能性は低いと予想します。
筆者の独断では、今年の説明者として Xiaodong Zou を第一候補、Johan Åqvist を次点として予想します。となると材料化学分野と理論化学分野からの受賞可能性があるとの予想になります。
(Committieメンバーのリストはコチラから確認できます)
ケムステ版予想:2024年ノーベル化学賞はこれだ!?
受賞者の特定はいつもながら難しいですが、2年連続の有機化学の例もあり、2年連続の材料化学というのも現実的な気がします。
というわけで、今年は日本人の受賞の期待も込めて
多孔性金属-有機構造体 (MOF) の合成法および機能開拓: 藤田誠、Omar M. Yaghi、北川進
を予想します。また、理論化学の分野で、今年のクラリベイト引用栄誉書にも輝いた
計算化学に革命をもたらしたカー・パリネロ法による ab initio 分子動力学計算法:Roberto Car、Michele Parrinello
を第二候補として挙げておきます。
読者の皆様も、
タグとともに、今年もX (旧 Twitter)、Facebook、ケムステSlack で盛り上がっていただければ幸いです。
それでは日本時間 10 月 9 日 (水) 18時45分を楽しみに待ちましょう!
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