50代での転職に不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、長年にわたり築き上げてきた専門性は大きな強みです。それに見合う活躍の場が必ずあります。
「ビジョンマッチング」という独自の手法で転職支援を行うLHH転職エージェントは、ベテラン専門職の転職事例を数多く持っています。今回は、50代で初めて転職にチャレンジした技術者の事例をご紹介します。コンサルタントの手厚いサポートにより、予想を超えた条件で転職に成功したプロセスを、同社Life Science紹介部 Pharmaceutical課の森 亜佑美さんにお話しいただきました。
この記事のポイント
- ミドルエイジ以上の転職支援に精通したコンサルタントの存在
- 求職者の強みを引き出す丁寧な面談とビジョンづくり
- 募集年齢の上限を超えた求職者と求人企業のマッチング
- 豊富な求人情報と、求人企業との信頼関係による強力なサポート
- 必要に応じた年収交渉も含む柔軟なコンサルティング
ミドルエイジ以上の転職を難しくしている要因とは
森さんが所属するPharmaceutical課は、医薬品業界の専門職に特化した転職支援を行っています。製薬メーカーのMR(医療情報担当者)を含めた医療系の営業ポジションから、研究者や技術者など専門職の転職支援を数多く手がけている森さんですが、ミドルエイジ以上の求職者を支援することが多いと言います。今回、担当したMさんも50代前半で、新卒で大手製薬会社に入社して以来、転籍の経験はあるものの、転職は初めてという方でした。
そのためでしょうか、初回の面談で「Mさんはかなり緊張されていました」と森さんは振り返ります。「Mさんは、転職の意志は明確でしたが、転職のプロセスに不安を感じているようでした。」 Mさんが安心して転職活動を勧められるよう、その緊張や不安を解きほぐすところから、森さんのサポートは始まりました。
Mさんは長く、医薬品製造ラインの構築や運用に携わってきた技術者です。医薬品業界のグローバル化が進む中、Mさんの会社も海外製薬会社と業務提携しましたが、それによる社内環境の変化や会社の方針に納得がいかず、転職を決断しました。
一般的に大手企業から転職する場合、同等の待遇を期待するのは難しい場合があり社格や給与が下がることがあります。Mさんは、その点についてはやむを得ないと考えていました。しかし、それよりも懸念することが森さんにはありました。「大手で長く務められてきた方には、これまでの仕事のやり方を変えたくないという気持ちをお持ちの方が多いです。しかし、会社が変われば仕事やそれを取り巻く環境も変わります。それらを受け入れられる柔軟性がないと、求人企業は採用に踏み切れません。そのようなケースはよくあり、ミドルエイジ以上の転職を難しくしている要因のひとつです。」そこで森さんは、面談でMさんに「転職先では、今までと同じようにできないこともいろいろと出てくると思います。そのような状況を受け入れられますか?」と尋ねました。
求職者と求人企業とのビジョンマッチング
LHH転職エージェント(以下、LHH)と出会うまで、Mさんの転職活動は転職情報サイトに登録し、手元に求人情報が届くのを待つだけでした。50代専門職の転職がどのようなものか、そして転職の要領もつかめないままでした。しかし、森さんという支援者を得たことで、Mさんの転職活動は「待つ」から「攻める」に変わり、大きく動き出しました。
LHHの転職支援では「ビジョンマッチング」という独自の手法がとられます。これは、単に求職者が望む就労条件を満たすだけではなく、求職者が自身のキャリアをどう生かすか、今後チャレンジしたいことは何か、さらに仕事上で大切にしている価値観や自身の描く将来像など、キャリアビジョン・ライフビジョンに重きを置き、求人企業の意向とすり合わせていくものです。そのため、それぞれに専門分野を持つLHHのコンサルタントは、求職者に対して丁寧なヒアリングを重ね、キャリアビジョン・ライフビジョンを明らかにしていきます。
その結果、森さんはMさんの転職先に適したある求人企業を見出しました。それは、国内外の医薬品メーカーの医薬品や治験薬などを受託製造する企業です。しかし、同社がイメージする人材像の年齢を、Mさんが上回っている気がしていました。それでも「可能性はある」と考えた森さんは、同社を担当するBiotechnology課の湯浅友二さんに相談してMさんの求職者情報を託し、同社に打診してくれるよう依頼しました。
通常、LHHではマッチングの確度を高めるため、求職者と求人企業を別々のコンサルタントが担当するのではなく、1人のコンサルタントが双方をつなぐ「360度式コンサルティング」を実施しています。しかし、ケースによっては今回のように求人側、求職者側のコンサルタントが情報を共有してマッチングを進めることもよくあるそうです。求人企業を担当している湯浅さんが企業に打診をし、求人企業がMさんに強い関心を示し、面接となりました。これは、LHHコンサルタントの介在によって実現した面接であり、もしMさんが「待ちの転職活動」を続けていたならば、起こり得なかったことです。
転職による年収の大幅な減額をコンサルタントが交渉でカバー
1次面接へ向けて、森さんと湯浅さんはMさんのサポートをしました。 「Mさんは、企業が想定していた年齢をオーバーしていましたが、応募に十分なキャリアとスキルを備えており、それを自分なりにきちんと整理されていました。しかし、初めての転職ということもあり、面接に向けてどのような準備をすればよいか分からなかったようです」と森さんは言います。
ここで求人企業の事情に詳しい湯浅さんが、求人企業の事業詳細、人材にどのような資質を求めているのか、さらには面接でどのようなことを尋ねられるのかといった点までをMさんにアドバイスしました。 「Mさんが想定していなかった企業側の意向もありました。それはMさんのキャリアを生かして『後進の指導にもあたってほしい』というものでした。後進の指導となると技術力や経験だけでなく、コミュニケーション力も問われます。」 森さんは、Mさんが現職でチームを組んで仕事をしてきた経験が多かったことを面談で聞いていたため、その経験やチームメンバーと接する際の姿勢などをきちんと整理しておくように伝えました。これも、コンサルタントが企業側の意向を聞き取っていたからこそできた面接準備です。
1次面接の結果は良好でした。Mさんによれば、和やかな雰囲気で進み、企業側が求めていることもよく理解できたそうです。ところが、2次面接の直前にまたひとつ問題が発生しました。Mさんの年収です。現職より年収が下がることはやむを得ないとMさんも思っていました。しかし、企業はMさんよりも若い年齢層で採用予算を組んでいたため、想定以上に年収が下がってしまうことがわかったのです。 Mさんのキャリアやスキル、人柄、そして家庭の事情にまで配慮すると、提示額まで下げるのは難しいと森さんと湯浅さんは判断し、求人企業と交渉することにしました。交渉は難航しましたが、結果としてMさんの現職レベルと同等の待遇を獲得しました。この後、2次面接を経てMさんの採用が決まりました。
成功要因は仕事に向けた自身の思いをブレさせなかったこと
Mさんが希望する転職を成功させたポイントはどこにあったのでしょうか。森さんは次のように振り返ります。「ご本人が、自身のやりたいことの軸をしっかりと持っていたことだと思います。しかも、それが終始ブレることがありませんでした。さらに、自身の強みをよく理解しており、その強みを発揮できる場面についても明確に説明できたことにあります。」
そして、求人企業の対応も非常に良かったと言えます。「求人企業は、どういう人材をなぜ採用したいのか、Mさんのどの点に魅力を感じているのかをきちんと言葉にしてMさんに伝えてくださいました。ですから、ご本人も安心してこの求人企業を選ぶことができたのだと思います。」
Mさんが軸として大切にしていたのは「自身の経験を生かして、新たな環境で事業の発展に貢献したい」という思いでした。そして転職先に求めたのは「自社の製品の品質をいかに大切にしているか、品質の向上に真摯に向き合っている企業かどうか」です。森さんが面談を通じてその意向を最優先に求人企業を選び出したことは、むろん言うまでもありません。そこがビジョンマッチングで最も大切にされるところなのです。
専門分野で長くキャリアを積んできた人であれば、誰しもが自分なりの軸を持って転職に臨むものだと思われます。しかし、森さんによると案外そうでもないようです。「軸はあっても、それが優先順位のトップになっている方は、あまり多くないように思います。面談が進み、求人企業の候補が出てくると、社格やネームバリューなど別の希望がトップと入れ替わる、つまり軸がブレるケースがけっこうあります。そうなると、50代以上の求職者の場合、ご紹介できる求人が減ってしまいます。」
そのようなとき、盲目的に求職者の希望を叶えようとするのではなく、もとの軸に引き戻していくのが、LHHにおける森さんらコンサルタントの務めでもあると言います。
50代にして初の転職に踏み切ったMさん。当人の希望どおりに、しかも現職の待遇と同等レベルの維持を実現したこのケースは、まさにビジョンマッチングという手法と、LHHのコンサルタントの力量がフルに発揮された事例と言えるでしょう。
50代の転職成功に向けた柔軟な姿勢と意欲の重要性
会社員にとっての50代は、以後の人生を考える時期でもあります。50代の転職はハードルが高いと躊躇したり、実際に転職活動を始めても、もどかしさを感じている方も多いのではないでしょうか。
今回の事例で、「コンサルタントと話をするのも初めて」だったMさんも、当初は不安を感じられていましたが、積極的にチャレンジされました。専門性を生かし、自身を向上させたいという意欲と、環境の変化に柔軟に対応していこうという姿勢があれば「活躍の場は必ず見つかる」と森さんは言います。
「私たちがお話を聞かせていただき、ご自身が思い描くビジョンと改めて向き合うことから次のステップを考えてみませんか。転職するかどうかにかかわらず、それはセカンドキャリアを組み立てていくうえでも役立つと思います。」
現在の自身のキャリアやスキルが他ではどう評価され、通用し得るものなのかを確認したい場合も、ぜひLHH転職エージェントにご相談ください。
コンサルタント 森 亜佑美
大学卒業後、臨床検査試薬メーカーで大学病院や基幹病院、検査センターに向けてDMR活動を行い、その後本社の学術部員として営業支援や医療機関のサポートに従事。これまでの経験を生かし、医療業界で働く方のキャリアを支援したいという想いからLHH転職エージェントへ。求人票には載らないリアルな声をお届けし、転職をゴールとせず、5年後、10年後を見据えたキャリアプランを一緒に描いてサポートすることを心がける。
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LHH転職エージェントについて
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