Total Synthesis as Training for Medicinal Chemistry Lewis D. Pennington ACS Med. Chem. Lett.2024, 15, 2, 156–158, DOI: 10.1021/acsmedchemlett.3c00556
著者の Lewis D. Pennington は現在 Mystic River Medicinal Chemistry, LLC という合同会社でコンサルタントを務め、米国での特許18件、WO特許出願37件を擁し、2品目の新薬を世に送り出した創薬化学者とのこと。2003年から2015年まで Amgen に勤務していたようです (Linkedinのプロフィールより)。
*Activity cliffs (活性の崖)…SAR空間における不連続な領域であり、活性化合物の小さな構造変化が大きな活性向上をもたらす現象。2012年に J. Bajorath により提唱された。まるで崖のように化合物の活性が向上することから、その名前が付けられた。(https://www.titech.ac.jp/news/2020/047838 より引用)
結語
この 30 年で創薬化学の様相には多くの変化がありましたが、全合成は、今日でも学術界で最も適したトレーニングのひとつであり続けていると著者は主張しています。全合成では、多様な化学反応を幅広く経験し、複雑な分子を効率的に合成する手法を学ぶことができます。全合成で培ったスキルは創薬化学にも容易に適用でき、オリゴ核酸、オリゴペプチド、オリゴ糖、ADCなど、低分子以外のモダリティの追求も応用できます。最後に、全合成および創薬化学のプロセスは、どちらも Dead End や回り道を多く経験することとなり、最終的な成功のために戦略的な計画、適応力、粘り強さなどが要求される点でも似通っていると著者は締めています。