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「転職活動がうまくいかない」と思ったらやるべきリフレクションとは?

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仕事でのストレスや周囲の成功を目の当たりにして、「このままでいいのだろうか?」と感じ転職を考える方も少なくないでしょう。しかし、自身の価値観が明確でないままに転職活動を始めると、かえって混乱を招き、なかなかうまくいかないことが多いものです。この記事では、そんな状況に陥っている方々に向けて、転職活動を成功に導くための具体的なアプローチを紹介します。

目次

なぜ転職活動が進まないのか?成功への第一歩は価値観の把握
リフレクションをすると自分の価値観がわかる
「自分がどういう状態になれば幸せを感じるのか」を知ることが重要

なぜ転職活動が進まないのか?成功への第一歩は価値観の把握

転職を考えるきっかけはさまざまです。例えば、“仕事で嫌なことがあってモヤモヤしたとき”、“大学の同期が活躍していると聞いたとき”、ふと転職サイトに登録してみた経験がある方も多いのではないでしょうか。このような心がざわつきから、転職を考えるのは自然なことです。ただ、「自分が転職を通して何を実現したいのか」を考えずに進めてしまうとうまくいかないことが多いです。例えば、転職活動は大きな決断という意味において、マイホームの購入に似ています。みんながタワーマンションに住みたいわけではなく、「海の近くに住みたい」「子どもが遊べる公園の近くがいい」など、自分が大切にしている価値観に基づいて家選びます。転職も同様で、「今より年収が高い企業にいきたい」と考える人もいますが、「仮に今の会社で年収が上がれば転職しないのか?」と問われると答えはノーであることが多いです。それは、年収以外にも大事にしている価値観があるからです。自分の判断軸という羅針盤をもっていない場合、希望通りの求人があっても応募に踏み切れず、ただ情報収集をして時間を過ごしてしまうことが少なくありません。「大手優良企業」、「高年収」、「残業なし」といった謳い文句は求人広告でよくみかけますが、それはあくまで世間の価値基準です。転職という大事な決断をするためには、まず自分の価値基準を知ることが大切です。

リフレクションをすると自分の価値観がわかる

「転職活動がうまく進まない」、「今の仕事を続けることに漠然とした不安がある」など、現在のお仕事にモヤモヤしている方に是非試していただきたいのが、「リフレクション」です。リフレクションとは内省を意味する言葉で、業務から一時的に離れ、「自分の内面を客観的、批判的に振り返る行為 [1]」で、人材育成の手法として広く使われています。「そもそもなぜ今の仕事を辞めたいと思っているのか」、「きっかけは何だったのか」、といった問いかけを自分自身に行います。リフレクションに関する本は多くありますが、今回は「リフレクション(REFLECTION)自分とチームの成長を加速させる内省の技術[2]」 をいう本で紹介されている「認知の4点セット[3]」 のフレームワークを使い、実際に行った内省の事例をみていきたいと思います。
このフレームワークの目的は、「事実や経験に対する自分の判断や意見を、『意見』『経験』『感情』『価値観』に切り分けて可視化する[4]」 ことです。『無数の経験の中から何を知覚し、判断し、意見としているのか。その意見の背景にはどのような経験があり、その経験にはどのような感情が紐づいているのか、そしてその意見の前提には、どのような価値観やものの見方が存在しているのか』 を客観的に理解することができます。
例えば、転職活動の進め方に悩んでいるAさんのケースに当てはめて考えてみます。30代半ばの素材メーカーに勤務する研究職の女性で、複数の転職サイトや転職エージェントに登録したものの、半年ほど情報収集を行うのみの状況です。「大手企業の研究職がいいな」という漠然とした希望は伝えたものの、求人票をみても希望に合っているのか判断できず、悩んでいるところでした。そこで、まずは転職活動をしたいという意見について、リフレクションを行ってもらったところ、このような内容になりました。

意見 今の会社にいたくないので、転職活動をしたい
経験 管理職を希望していないと伝えていたのにリーダーをやることになった。

会議や雑務が多くなり、やりたい研究が全く進まない。さらに部署の業務改善や研修担当も担うことが決まった。

感情 いらだち、うんざり
価値観 チャレンジしたい

好奇心

専門分野で評価されたい

 

「転職したい」という『意見』をもった理由は人それぞれです。Aさんの場合、希望していない管理職になったことで研究活動に充てられる時間が減り、会議や雑務ばかりの仕事になったことが一番のきっかけでした。そのときの『感情』は、自分がやりたい研究をさせてくれない会社へのいらだちと、研究以外の業務がさらに増えていくことへのうんざりした気持ちでした。
ここで興味深いのは、Aさんにとっては「リーダーになる」という『経験』がネガティブな感情を引き起こしたことです。仮に、もともと管理職になりたいと思っている人であれば、ポジティブな『感情』が生まれ、転職のきっかけとなる『経験』にはならないでしょう。「管理職はやりたくない!」、「もっと現場で研究がしたいのになんでできないの!」という『感情』を紐解くと、Aさんにとっては新しいことにチャレンジして、自分の好奇心を満たすことと、専門分野で評価されることが『価値観』として見えてきました。この3つの『価値観』を踏まえてもう一度Aさんと対話してみると、「いま取り組んでいる素材の医療応用についてのテーマで研究を続けたい」という具体的にやりたいことがみえてきました。そこでAさんに、そのテーマに興味がありそうな企業をリストアップしてもらい、エージェント担当者がその企業の人事担当者にレジュメをお送りしてみたところ、2社からカジュアル面談のオファーがありました。カジュアル面談では、Aさんから企業に対して研究テーマのプレゼンテーションを行い、「管理職ではなく、研究職としてキャリアと実績を積みたい」という希望を最初に伝えました。Aさんがはっきりとキャリアの希望を伝えたことで、企業側もAさんが合うかどうかが判断しやすくなります。
A社には、管理職コースと専門職コースの人事制度があり、管理職にならなくても昇給できる仕組みや、社会人大学院制度で博士号も取得できること、論文投稿も成果指標になることなどが分かりました。一方、B社には専門職コースがなく、昇格を続けていくと最終的には管理職になる道しか残されていません。また、B社の研究部門での募集は、将来的に管理職を期待されるポジションでした。給与や通勤時間などの条件面ではB社の方が希望には合っていましたが、Aさんの価値観ではA社の方が合っていると判断し、選考を受け、無事にA社の内定を得ることができました。

「自分がどういう状態になれば幸せを感じるのか」を知ることが重要

もしもリフレクションを行わず、自分の『価値観』を知らないままオファー面談を受けていたら、おそらくどちらの企業が自分に合っているか判断できなかったと思います。仮に、条件面でB社を選んでいた場合、望んでいない管理職としての成長を期待され、研究者としての実績を積むことができず、またどこかのタイミングで仕事を続けるのが苦しくなってしまうでしょう。転職活動は判断を迫られる場面が多いので、まずは羅針盤として自分の価値観を知ることが重要です。
家族や友人、転職エージェント、人事担当者は相談には乗ってくれますが、「自分はどうしたいのか」の答えは自分しか分かりません。リフレクションを行う意味は、「自分がどういう状態になれば幸せを感じるのか」を知ることです。「転職したい」と思っているのであれば、いまの生き方に対して違和感を持っているサインだと捉え、その気持ちを大事にしてください。まずはリフレクションを活用し、自分と向き合う機会にしてもらえればと思っています。

  1. 熊平美香著,「リフレクション(REFLECTION)自分とチームを加速させる内省の技術」,ディスカバー・トゥエンティワン,2021.3.19電子書籍,P2
  2. 参考文献:同上
  3. 引用:同上,P18
  4. 引用:同上,P18
  5. 引用:同上,P28

*本記事はLHH転職エージェントによる寄稿記事です。これまでの寄稿記事はこちら

LHH転職エージェントについて


LHH転職エージェントとは、世界最大の総合人財サービス企業アデコが日本で展開する転職支援サービスのブランド名称です。国内では大都市圏を中心に事業を展開し、各領域に精通した転職コンサルタントがさまざまな業界・職種の転職サポートを行っています。ライフサイエンス・メディカル領域においては、化学業界を軸に、理化学機器、製薬、再生医療、医療機器といった分野でご活躍される方々の転職をサポートしています。

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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