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一般的な話題

MEDCHEM NEWS 33-2 号「2022年度医薬化学部会賞」

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日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープンアクセスとなりました 33-2号 (2023年5月発行)の紹介です。

各項目のタイトルおよび画像から該当記事へ飛べます (新しいタブで開きます) ので、隅々までご覧ください。

■巻頭言

なんとかしたい。だから、メディシナルケミストの果敢な挑戦に期待する
野村 博
住友ファーマ株式会社

本号の巻頭言は住友ファーマの野村社長です。大日本住友製薬から商号を変更された決意に加え、モダリティ多様化の時代におけるメディシナルケミストの役割について、期待を込めて述べられています。ぜひご一読ください。

■創薬最前線

日産化学が提供する創薬研究ソリューション
石綿 紀久, 長南 具通
日産化学株式会社

今回の創薬最前線は「未来のための、はじめてをつくる」をスローガンとする日産化学の登場です。高度な合成力に基づく、液相ペプチド合成技術や核酸創薬プラットフォーム、DEL 技術が紹介されています。「起業家マインド」「挑戦」「信頼」といった大切にする心も伝わってきます。

■WINDOW

EFPIAの活動について
諸岡 健雄
一般社団法人欧州製薬団体連合会

本号の WINDOW は、EFPIA JAPAN の諸岡理事長より「EFPIA の活動」についてご紹介いただきました。欧州製薬企業の業界団体として、日本特有の医療制度や薬事規制が日本での創薬開発の障壁とならないように、各種政策への提言と対話を行っています。その取り組み内容が紹介されていますので、ぜひご一読ください。

■DISCOVERY 2022年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞

小児難治性てんかん治療薬 soticlestat(TAK-935)の創製
小池 竜樹,吉川 真人,安藤 春陽,宮本 真紀,西 俊哉
武田薬品工業株式会社

Structure-Based Drug Design (SBDD) を駆使して創製された soticlestat は、脳特異的に発現するコレステロール24ヒドロキシラーゼを選択的に阻害します。現在、指定難病であるドラベ症候群等を対象に第3相試験が進められています。是非ご一読ください。

■DISCOVERY 2022年度 日本薬学会 医薬化学部会 MCS優秀賞 受賞

標的リガンドにオリゴヌクレオチドを応用した PROTAC の創製
永沼 美弥子*1, 大岡 伸通*2, 出水 庸介*2
*1横浜市立大学,*2国立医薬品食品衛生研究所

標的タンパク質分解薬が近年注目を浴びています。デコイ核酸を利用して転写因子を分解する PROTAC について、紹介して頂きました。新しい創薬モダリティが求められていますが、ペプチド・核酸・中分子を操ることができるこの研究室、今後も目が離せません。

■DISCOVERY 2022年度 日本薬学会 医薬化学部会  BMC/BMCL賞 受賞

mRNAの完全化学合成を可能とする化学的キャップ化法の開発
阿部 洋, 小川 和哉, 阿部 奈保子, 木村 康明
名古屋大学

核酸医薬は化学修飾技術の進展とともに複数の医薬品が実用化されてきました。近年、急速に承認された mRNA 医薬においては、化学修飾可能な合成技術は未だありません。本報告では、mRNA 完全化学合成の合成戦略や今後の展望が記載されており、創薬化学者にとって非常に有用な内容となっております。

■SEMINER

チロシン/ヒスチジン残基化学修飾法の開発と触媒的反応制御
佐藤 伸一, 中根 啓太
東北大学

光触媒を巧みに利用したチロシン残基/ヒスチジン残基化学修飾法の概説。触媒近接環境を網羅的に修飾する MAUra:「モーラ」と適切な光触媒の組み合わせによって、チロシンまたはヒスチジン残基選択的な修飾をも可能にしました。斬新なタンパク質化学修飾法で、生命科学研究を切り開く強力なツールになると期待されます。

佐藤 伸一 先生のケムステ記事 (世界の化学者データベース)
・佐藤 伸一 先生のケムステVシンポ講演動画 (第37回ケムステVシンポ「抗体修飾法の最前線 〜ADC製造の基盤技術〜」
より)

 

COFFEE BREAK

意外と危険な試薬
奥田 聡
日本たばこ産業株式会社

普段から使用している試薬や溶媒の危険性について、事例が紹介されています。本稿は、有機化学実験を行っている方が、身近にある試薬の危険性について理解し、正しく取り扱うための一助になると思います。それが自分や周りの人の身を守ることになります。

・ケムステ関連記事「危ない試薬・面倒な試薬の便利な代替品

■REPORT

ゼブラフィッシュ創薬のグローバル展開
田中 利男
三重大学

マウスやラットなど従来のモデル動物に加えて、ゼブラフィッシュを用いた創薬研究が近年次第に盛んになってきています。本稿では、ゼブラフィッシュ創薬の利点や最近の創薬応用事例が詳しく紹介されています。興味のある方はぜひご一読下さい。

関連書籍

本号の「BOOKS 紹介」より①

本号の「BOOKS 紹介」より②

MEDCHEM NEWS 紹介記事バックナンバー

MEDCHEM NEWS 33-1 号 「創薬への貢献」
MEDCHEM NEWS 32-4 号「創薬の将来ビジョン」
MEDCHEM NEWS 32-3号 「シン・メディシナルケミストリー」
MEDCHEM NEWS 32-2号 「儲からないが必要な薬の話」
MEDCHEM NEWS 32-1号「機械学習とロボティックス特集」
MEDCHEM NEWS 31-4号「RNA制御モダリティ」
MEDCHEM NEWS 31-3号「ケムステ代表寄稿記事」
MEDCHEM NEWS 31-2号「2020年度医薬化学部会賞」
MEDCHEM NEWS 31-1号「低分子創薬」
MEDCHEM NEWS 30-4号「ペプチド化学」
MEDCHEM NEWS 30-3号「メドケムシンポ優秀賞」

DAICHAN

投稿者の記事一覧

創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

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