自己紹介
Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)なので、薬学部のことについて話していけたらなと思っています。興味のある分野は薬化学や有機化学などです。将来学部を卒業した後は大学院に進学し、研究続けたいと考えています。ということで、今回は私が薬学部生の一人として、薬学部について簡単に話をさせていただきます。具体的な大学生活については後日話させていただきたいと思います。
はじめに ー薬学部の教育の概要や内部でのカリキュラムの違いについて
初めに現在の薬学部のシステムについて軽くお話したいと思います。
学部編(4年制のものと6年制の違いなど)
現在薬学部は4年制と6年制があり、筆者は6年制の学生です。では4年制と6年制の課程で何が違うといえば、薬剤師の国家資格の取得の可否でしょう。薬学部と薬剤師はまず間違いなく切っても切れない、そんな関係にあるように思う方が多いと思います。
しかし、薬剤師になるうえで必要となる国家資格は6年制でのみ取得可能です。将来、病院や薬局など臨床で働きたい場合は必然的に6年制の薬学部に進学する必要があり、注意する必要があります。(恐らく多くの人がご存知だとは思いますが、念のために)
一方で4年制では薬剤師の資格は取ることができません。4年制では直接的に臨床と関わるというより、医薬品の開発やそのために必要な技術などの研究などを主に行っています。したがって、4年制の卒業生はこういった知識などを生かして研究開発に従事されているようです。しかし、例えば大阪大学では4年制のコースは2019年度から6年制に一本化されたように、4年制のものは全体的に減少傾向にあるようです。
大学院編
学部の話からは離れてしまいますが、中には私のように学部を卒業した後に大学院に進学して研究をしたいという方も中にはおられると思うので大学院の話を軽くさせて頂きます。
博士後期課程に進学する場合、学部が4年制の場合だと通常の4(学士)+2(修士)+3(博士)の最短9年で博士号(薬科学)の取得が可能です。これは他の理工系学部などと同様の年数で修了が可能ということです。
しかし、学部が6年制の場合だとは6+4の最短10年で博士号(薬学)の取得が可能であり、前者とは異なります。細かい話ですが、6年制の学士(薬学)修士号に準ずるようで、6年制薬学部卒業後に他学部の博士後期課程(3年)に進学することも可能なようです。しかし、この辺りは複雑で筆者も把握しきれていないため、もし間違いがあれば指摘して頂ければ幸いです。
薬学部に入学された方やその保護者さんに伝えたいこと(学修面について)
とてもネガティブな話題で本当に申し訳ないのですが、特にこの時期(入学直後)にこの記事に見られた方にお伝えしておきたことがあります。留年すると大変なことになるということです。勉強などの学修の面(特に実習)などでかなり不利になってしまいますし、さらに私立大学の場合であれば学費も他の理系学部と比べても高く、重い経済的な負担になってしまいます。
学部の学校生活へのイメージとリアル
一般的なイメージとして医療系の大学は他の理系学部と比べても勉強が大変といったようなイメージを持っている方もおられると思います。やはり、事実として薬学部は勉強(テスト、レポート、資格勉強など)などで大変な学部だと思います。
では、バイトや友達と遊びに行くこと、趣味などが全くできないかと言えば、そんなことはありません。残念ながら筆者はあまり要領がよくないので勉強に追われがちではありますが、勉強とプライベートを両立している人は周囲に多くいて正直かなり尊敬しています。ただ、テスト期間や忙しい時期となるといくら要領の良い人でもなかなかそうはいかないように思えます。
薬学部の生活(勉強、進級など)
私が通っている大学では2学期あり、前期と後期に分かれていて、その各学期に2~3個の実習と定期テストがあります。
実習
有機化学や生化学などの科目に関する実験を行い、それの結果や考察などをレポートして提出し、さらに場合によっては実習に関するテストを受けてこれを合わせて評価を受けました。定期テストほどはしんどいわけではないですが、実験の拘束時間やレポートなどで時間がとられますし、提出期限も考慮し取り組む必要があるために負担としては比較的大きいです。
定期テスト
各学期末(前期は7月末~8月、後期は1月中旬)に平均10科目前後のテストを受験します。さらに定期テストでは取得できなかった科目について約1カ月後にもう一度テストを受けることが出来る再試験も存在しています。ただし、再試験の受験の可否に関しては条件があり、これを満たすことが出来なければその時点で該当科目の単位はその年度において修得不可となり、次年度にもう一度テストを受けて単位を取る必要があります。さらに後述しますが、取得できなかった単位の数によって進級の可否が決まる場合もあるため、当然きっちりと勉強した上で定期試験に挑まなければなりません。間違いなく、定期テストがこれまでの学生生活では定期試験が1~3年生の学生生活においてしんどかったです。私も含めて周りの人の多くは、1カ月前あたりから本格的にテスト勉強を始める人が多いように思え、ここからわかるようにある意味では薬学部の一大イベントです。ただ、1カ月前からがむしゃらに勉強すれば良いというわけではなく、難しい科目や覚える量が多いといった勉強量がモノを言う科目もあるので過去問を分析しつつ、先輩や友達などの話も聞きつつ上手く対応していく必要がありました。
進級と留年
私の大学では同年度中に必修科目を6つ以上落単してしまった場合、留年してしまいます。また、必修だけでなく、選択科目の単位の不足により留年してしまう場合もあります。逆に言えば、5単位以内の落単であれば、進級できますが、来年度の負担がかなり増えてしまうので、やはりその年中に取る方が正直良いです。この点に関しては何かが起こってからでは遅いですし、後悔をしないためにも入学時や履修選択の際にシラバスなどの当該部分にしっかりと目を通し、頭の隅に置いておくことをお勧めします。
結びに
こういった記事を書かせていただいたのは初めて事なのでお見苦しいところがあったかと思いますが、最後まで読んでくださりありがとうございます。
薬学部は一般的な大学とは異なり、6年間ある場合が多く長丁場ですし、大変だと思います。そんな中で進路選択や薬学部生の勉強や大学生活の一助になれば幸いです。
関連書籍
[amazonjs asin=”483151568X” locale=”JP” title=”薬学部 中高生のための学部選びガイド (なるにはBOOKS 大学学部調べ)”] [amazonjs asin=”4044007462″ locale=”JP” title=”くすりの発明・発見史 (角川ソフィア文庫)”]関連リンク
- 「第26回ケムステVシンポ: 創薬モダリティ座談会」意欲のある学生さんは見てみるといいかもしれません。研究の最前線の情報をゲットできます!(宣伝みたいになっていますが…)