bergです。この度は2024年3月11日に東京大学本郷キャンパスにて開催されたBritish Columbia大学のZachary Hudson教授のご講演「High-Performance Luminescent MaterialsUsing Structural Constraint」を聴講してきました。民間企業に就職して以来、有機化学のホットな話題に触れる機会がめっきり減ってしまっていたので、非常に刺激的で新鮮でした。この記事ではその模様を簡単に振り返ってみたいと思います。
演題と講師の先生は以下の通りです。
演者: Prof. Zachary Hudson(The University of British Columbia)
題目: High-Performance Luminescent MaterialsUsing Structural Constraint
場所: 東京大学 本郷キャンパス 薬学部西館1F 西講義室
日時: 2024年3月11日(月) 15:30-17:00
当日は、まだ春の足音にはほど遠い肌寒い一日。はるばる日本へ足をお運びいただいた海外のHudson教授は九州大学や京都大学など国内各地を巡られ、帰国の途につく前の最後の訪問先が東京大学大学院 薬学系研究科の金井求研究室でした。
Hudson教授は複素環骨格を巧みに利用した分子設計で蛍光やTADFなど特異な物性をもった機能性材料を長年にわたりされてきました。優れた蛍光発光性から有機EL材料などへも応用されているトリフェニルアミン(TPA)骨格を架橋して剛直化することで半値幅や量子収率、光堅牢性を大幅に改善したHMAT誘導体の合成と二光子吸収のご研究や、青緑色の蛍光を示すトリアジンの共役系を拡張してLUMOのエネルギーレベルを上昇させることで黄色~赤色の発光体としたHAP、HMATの架橋をメチレン鎖ではなくスルフィドとすることで酸化状態によって蛍光特性をチューニングできるようにしたSMAT-TRZなど、非常に興味深いお話のオンパレードでした。
久々にディープな話題に触れることができてあっという間の4時間でした。最後になりましたが、ご講演くださったHudson教授、金井求先生をはじめ、会をセッティングしてくださったすべての方々、本当にありがとうございました。