[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

電子ノートSignals Notebookを紹介します!④

[スポンサーリンク]

今回は、先日の記事(↓)で紹介し切れなかった、Signals NotebookのMaterials機能の詳細について、ご紹介と使い方の説明をしてきます。

前回記事:IASO R7の試薬データベースを構造式検索できるようにしてみた

今回は「Materials運用編」ということで、ユーザー向けの使用法解説記事になります!

 

0.     Materials機能のアクティベーション

まずはMaterials機能をアクティベートする必要があります。これは、Revvity Japan担当者に問い合わせれば設定して頂けます。

1.     Materialsへの化合物一括登録(試薬データベースのコピー)

まずは、試薬の一括登録方法の説明です。IASOなどのデータベースからSDFファイルが作成できた状態から解説スタートです。(SDFファイルを作る方法はこちら。)
Signals NotebookからMaterialsを選択し、Reagent (SNB)▼を選択します。続いてファイルブラウジング画面になるので、SDFファイルを選択。

 

医薬品ライブラリーなど、化合物ライブラリーを登録したい場合はReagent (SNB)ではなく、Compoundsに登録すると良いです。
医薬品ライブラリーと合成品ライブラリーはごちゃ混ぜにしたくないと思うので、Configuration → Materialsから、+ New Material Typeを選択し、新しいMaterialsライブラリーを作成してください。

 

2. 合成品の登録とライブラリー化

一連の流れは以下↓

・実在するサンプルを合成したノート番号を確認し Signals Notebook で開く
・Close してあった場合 Reopen する
・Add Content → Samples → Type = Chemical Sample → Select… Product → Create
・Amount(残存量)を入力 して、Sample を登録する
・必須ではないが、その後Internal Reference機能を使って合成品の情報を別のノートに読み込みたい場合は、Sample Table中のChemcal Nameをダブルクリックしてわかりやすい名前に編集しておくと良い。
・Materials に登録するサンプルの左の「≡」をクリック
・Register Material

以下図解

Add Content Samples

Select Ssample Type

Select Sample

Amlount入力

わかりやすい名前に書き換え

Register Material

 

3. 登録した化合物のInternal Referenceによる管理

その後、別のExperimentで登録した化合物を使いたい場合、Quick Addから、登録名の文頭を入力し、いくらか入力するとヒットする化合物が<Samples>として表示される。これをクリック。

Quick Add

 

登録した化合物がでてくるので、サムネイルにカーソルをあわせてスキームまたはグリッドに追加する。

上部のスキーム・グリッドに追加ボタンで追加

 

以上で、どのロットのサンプルを使ったのか管理出来ます。残念ながら残量を自動計算する機能はありませんが、どれくらいサンプルが使われているのかはすぐに把握することが出来ます。

 

4. ラボ内のサンプル(財産)に共通ラベルをつける

ラベル名を一元化することで、人によるネーミングのブレをなくし、誰でもサンプル情報にアクセスし易い環境を整えます。筆者は図のようなネーミング方法を取っており、MY3_0001がノート番号、HLC_0184が化合物ライブラリー通し番号です。サンプル量も必ず記入しています。

ノート番号と化合物番号の表記

 

5. サンプル保管場所はラボ内で明確に!

在籍中でアクティブにサンプルを利用している人はもちろん自分でサンプルを所持していてよいのですが、卒業生のサンプルや、プロジェクトが終わってすぐには使わなくなったサンプルで、ラボメンバーが使う可能性があるものは共通の冷凍庫などにしまっておくと探すのが楽です。

共有サンプル保管庫

 

6. おわりに

システム構築は済んだものの、あとは利用者が意識して日々登録してくれることが重要になります。常に来を回せる人はほぼいないのではないかと思うので、プロジェクト終了後や卒業直前などにサンプルを登録し、引き継ぐのが良いと思います。
Reagent (SNB)に登録した試薬ライブラリーは、構造検索できるので、反応開発のSubstrate Scopeなどで猛威をふるいます。こんな試薬あったんだというものも決して少なくなく、使われていなかった試薬の発掘にかなり重宝しています。
ここまで読んで頂きありがとうございます!

 

7. 過去記事アップデートのご案内

過去記事でChemCellを利用したSMILESの取得方法を解説しました。しかしこの方法は処理速度の遅さと、取得率の低さに問題がありました。
そこで、Pythonを使った、より高速かつ高精度な方法を過去記事に追記しましたので、ぜひ読んでみてください!

 

関連リンク

電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ①
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ②
電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ③
IASO R7の試薬データベースを構造式検索できるようにしてみた

Macy

投稿者の記事一覧

有機合成を専門とする教員。将来取り組む研究分野を探し求める「なんでも屋」。若いうちに色々なケミストリーに触れようと邁進中。

関連記事

  1. アルミに関する一騒動 ~約20年前の出来事~
  2. 小スケール反応での注意点 失敗しないための処方箋
  3. 有機合成化学協会誌7月号:ランドリン全合成・分子間interru…
  4. 100 ns以下の超高速でスピン反転を起こす純有機発光材料の設計…
  5. 超微量紫外可視分光光度計に新型登場:NanoDrop One
  6. 東北地方太平洋沖地震に募金してみませんか。
  7. 鉄カルベン活性種を用いるsp3 C-Hアルキル化
  8. キラル超原子価ヨウ素試薬を用いる不斉酸化

注目情報

ピックアップ記事

  1. Chem-Station9周年へ
  2. 金沢ふるさと偉人館
  3. 第23回「化学結合の自在切断 ・自在構築を夢見て」侯 召民 教授
  4. 三洋化成の新分野への挑戦
  5. 株式会社ナード研究所ってどんな会社?
  6. 光触媒を用いるスピロ環合成法が創薬の未来を明るく照らす
  7. 光化学フロンティア:未来材料を生む有機光化学の基礎
  8. Reaxys PhD Prize 2020募集中!
  9. 医療用酸素と工業用酸素の違い
  10. プロセス化学ー合成化学の限界に挑戦するー

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

野々山 貴行 Takayuki NONOYAMA

野々山 貴行 (NONOYAMA Takayuki)は、高分子材料科学、ゲル、ソフトマテリアル、ソフ…

城﨑 由紀 Yuki SHIROSAKI

城﨑 由紀(Yuki SHIROSAKI)は、生体無機材料を専門とする日本の化学者である。2025年…

中村 真紀 Maki NAKAMURA

中村真紀(Maki NAKAMURA 産業技術総合研究所)は、日本の化学者である。産業技術総合研究所…

フッ素が実現する高効率なレアメタルフリー水電解酸素生成触媒

第638回のスポットライトリサーチは、東京工業大学(現 東京科学大学) 理学院化学系 (前田研究室)…

【四国化成ホールディングス】新卒採用情報(2026卒)

◆求める人財像:『使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財』私たちが社員に求めるのは、「独創力」…

マイクロ波に少しでもご興味のある方へ まるっとマイクロ波セミナー 〜マイクロ波技術の基本からできることまで〜

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーとして注目されている、電子レンジでおなじみの”マイクロ…

世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」

「独創力」を体現する四国化成の研究開発四国化成の開発部隊は、長年蓄積してきた有機…

四国化成ってどんな会社?

私たち四国化成ホールディングス株式会社は、企業理念「独創力」を掲げ、「有機合成技術」…

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー