第一回・第二回に続いて、今回最終回です。前回の記事では高速鉄道に乗って、上海から北京に移動するところで終わりました。続きからお話しします。
中国の高速鉄道について
今回上海から北京は高速鉄道で移動しました。日本で言う新幹線ですね。上海―北京間は1300キロもあるのですが、それを 4時間30分で運行します。空港間移動を考えたらこれのほうが早いという理論です。東京―博多間が約1100キロで5時間ほどなんで、もう少しはやいですね。
チケットは2週間ぐらい前から購入可能であるらしく、北京のホストが購入していてくれました。パスポートが登録してあるので、パスポートを改札でみせれば乗車できました。
駅の雰囲気は空港みたいです。とっても広く、ただ人もたくさんいます。改札にはいるところでも並ぶので、長い列ができています。高速鉄道の乗り心地はかなり快適です。とはいっても4時間以上はなかなか疲れますが。乗車すると席にお水と怪しげな食べ物をもってきてくれます。グリーン車でもおしぼりだけの日本も見習ってほしいですね。
北京到着
無事北京南駅へ到着しました。北京訪問の目的は北京大学での講演です。ホストはXiaoguang Lei教授(以下Xiaogung)。代表と同年ですが、中国のライジングスターです。以前早稲田で講演してくれたことがあり、そこで意気投合してすぐに招待してくれました。
駅でお迎えしてくれたのが、Xiaoguangの研究室のLei Guo博士(以下 Lei Guo)。日本で言う助教の先生です。彼はケムバイオ・生合成などを研究していて北海道大学の及川研究室に1年間留学経験もあり、いくつか日本語の単語も知っていました。とってもいいやつで、近々大きな大学でPIとして移るそうです。彼のホスピタリティのおかげで北京もすべて思考停止でのぞめました。
到着時間がちょうど夕飯時だったので、何か食べていこうとなり、迷わずローカルラーメン屋がよいと言ったので連れてきてくれたのは、蘭州拉麺屋さん。日本でも最近では有名ですよね。さっぱりとしたラーメンです。ビールもついでに飲みました。北京は燕京(イエンジン)とも呼ばれているらしく、この地域のビールです。美味しかったので、お土産にも買って帰りました。
食後、タクシーでホテルに送ってもらいました。駅は中心地の南、北京大学は北に位置しているので、そこそこ遠かった気がします。西安もそうでしたが、北京も東京のように環状線が走っていて、北京大学はかなり外側にあります。さて、ホテルと言っても北京大学内にあるホテルで化学棟は目と鼻の先です。これはゲストもホストも楽でいいなあと思いました。
万里の長城へ
翌日は日曜日。Xianguangが万里の長城見学ツアーを企画してくれました。大学院生のSanshan Wang君が迎えに来てくれました。彼は、ビザが取れ次第米国スクリプス研究所のYu研に留学予定だそうです。タクシーで万里の長城へ出発。向かったのは北京大学からは50kmぐらいある八達嶺(はったつれい)長城。はじめての万里の長城です。ちなみにタクシー代は片道3000円ぐらいだったらしい。いかにタクシーが安いかはわかりますよね。日本だと早稲田―成田空港が同じぐらいの距離なんですが、3万円超えです。大体1/10ぐらいの価格。滴滴出行(日本で言うDidi)で、2-3分待てばきてくれます。日本ももうすこし人員を増やしたほうが良いと思いました。
さて、やはり中国で最も有名といえるぐらいの観光地なので人がいっぱいいます。長城までは1.5kmぐらい歩きました。気温が低いので、歩くとちょうどよい。長城にはいると更に人が増えましたが、素敵な景色でした。上りがかなりはげしくSanshanは大変そうでしたが。下山後、お昼はジャージャー麺。いつもリクエストを聞かれると麺になってしまいます苦笑。ジャージャー麺うまかったですが、日本のラーメンの方がうまいですね。
その後、タクシーで戻り、Lei Gaoと合流し、北京大学内を散策。キャンパス内は公園のようになっていて、良いキャンパスでした。学生への土産(北京大学のポロシャツ)と北京大学アイスを買ってホテルへ。少し休憩した後にXiaoguangが車で迎えにきてくれました。夕食は火鍋。西安で食べた火鍋とともに人気チェーンの火鍋屋さんです。実は羊肉が苦手なんですが、ここは全く臭みがなく美味しくいただきました。燕京ビールもいっぱい飲んで満足。
北京大学でディスカッションと講演会
翌日、ようやく大学訪問。朝Lei Gaoが迎えに来てくれて、歩いて数分の化学棟へ、10月にできたばかりらしくめちゃくちゃキレイでした。有名なウーシー ・アップテック(無錫薬明康徳新薬開発)の寄付により建てられたらしいですよ。ディスカッションはXiaoguangをいれて7名ともりもりです。Rong ZhuはPhDをBuchwald、ポスドクをSwagerと超エリート。高分子と有機金属化学。とてもまとまっていて面白い化学でした。Junnian WeiはアカデミシャンであるZhenfeng Xiのグループの若手研究者で窒素固定の話を聞きました。Yan Xuは研究室主催して2年目。1報目がNatureという超優秀な若手研究者です。僕の化学を隅々まで知っていて、ファンだったらしくディスカッションをとても喜んでくれました。Yang Jiaoは今年研究室を主催したばかり。ポスドク先のStoddard研究室での超分子化学研究について話してくれました。
ここで、昼食。昼食は宿泊先のホテルのとなりにあるレストランで、Lei Guaoと数名の学生と食事。中国式で大量でしたが、大学院生と話せてとてもよかったです。続きはChao Liから。彼は、Xiaoguangの研究室出身でスクリプスBaran研、いまは北京大学の近くにあるNIBSで教授です。全合成の話とBaran研究室の話で盛り上がりました。最後のZhixiang Yuは有機金属ですね。計算科学も得意なようでかなり堅実なお仕事でした。
ここで、講演会。西安よりはまともに話せました。講演終了後、Xiaoguangとディスカッション。全合成の話でしたが、担当がかなり優秀な学生だそうで、長年合成できなかった天然物を合成してくれたそうです。
懇親会と二次会
終了後、ディナーへ。オーセンティックな北京のレストラン。本旅行2回目の北京ダック。いわゆるフォアグラ的なレバーペーストも美味でした。Xiaoguangが白酒を準備していてくれました。五粮液(ごりょうえき)という白酒でマオタイと並ぶぐらいのよい白酒です。まるまる一本飲み干して良い気分になり、ホテルに一度帰ったのですが、Chao Liが二次会に行こうというので、Lei Gaoをつれて、日本食居酒屋へ。ここで、3本日本酒あけてお開き。ぐっすり寝ました。
帰国日
お昼前にLei Guoが迎えにきてくれて、お昼ごはん。毎度の拉麺リクエストで、刀削麺のお店へ。刀削麺一番美味しかったです。飲んだ次の日だからですかね?その後、少し時間があったので、ラッキンコーヒーに立ち寄る。ラッキンコーヒーは中国カフェで、凄まじいスピードで全世界のスタバの店舗数を抜いたという注目のカフェです。
そこで、注文したのは人気だというマオタイとのコラボのマオタイ入コーヒー。しかもLei Gaoが間違えて、3つオーダーしてしまったので2杯飲みました。味は….マオタイです。白酒苦手な人は無理ですね。ハイヤーを呼んでもらい、北京首都国際空港へ。最後はANAで帰国。帰りも3時間ほどで寝ていたら一瞬で日本につきました。
最近の中国について感想
最後に最近の中国を体験した感想について雑多ですがまとめます。
- ビザ問題:報中のためには以前は15日以内ならば必要なかったビザが必要。取得はそんなに難しくないが、ビザ取得センターで面接・そして受け取りにもいかなければいけなくて大変。
- 食事:さすが世界三大料理というだけあり、今回もすべて美味しかったです。しかも日本よりも割安です。ただし、ラーメンだけは日本の方が上です。
- 支払い関係:西安・北京では一銭も使っていないのでわかりませんが、上海での支払いはすべて、電子マネーでした。これは2018年に訪中したときからそうでしたが、ますます加速していました。日本よりも圧倒的に便利ですね。宅配も自転車もタクシー、空港の健康検査も何もかもアプリです(自転車を借りるのは残念ながら現地の電話番号が必要です)。方中の際は必ずインストールしていってください。
- WeChat:日本で言うLineですが、かならずインストールしていったほうがいいです。支払いにも使えますし、なにより皆これでやりとりをしているので、教員も学生もアカウントをもっているととても喜びます。
- 危険度:全く危険なところはありません。おかしな人もいません。圧倒的にアメリカの方が危険ですね。
- 研究レベル:施設も整っていて、広くきれいです。教員の研究レベルも日本より高いです。日本の若手は8年前ならば全く問題なくいい大学でポジションをとれましたが、いまは難しいでしょう。
- 発展性:住宅バブルの崩壊はなんとなく認識できましたが、もう民度も街の雰囲気も、給料も日本のボロ負けです。もう勝てるものはラーメンしかありません。北京大学の教授の給料は日本の国立大学の2倍です。物価が少し日本よりも安いことを考えたら、物価が2倍ちかくの欧米よりも待遇は良いと思います。
中国ホスピタリティーに感謝
というわけで、西安・上海・北京の講演旅行シリーズ完結しました。とにかく今回もホストと学生たちのホスピタリティが高くて、もう感謝しかないです。特に今回ホストしていただいた、西安交通大学のJiao Jiao副教授、北京大学のXiaoguang Lei教授、そして上海の学会ICOS-23のオーガナイザーであるDawei Ma・Wenjun Tang教授には、心より御礼あげます。また、スタッフ・学生たちにも大変お世話になり感謝です。またすぐに行きたいなと思った中国講演旅行でした。なお、自分への忘備録として書きなぐっているだけなので、わかりにくい、面白くないかもしれませんがご容赦ください。本当にすぐに忘れちゃうんで、役に立つんですよ苦笑。
追伸:天津の南開大学で開催される学会に招待されたので、来年夏にまた訪中することになりそうです。すでに他の大学からもお話が来ていて、また複数都市訪問になりそうです…ビザ問題解消されてるといいな…
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