2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで書いていませんが)。
その際は、武漢から深圳まで6つの大学を回りました。すっかり忘れてしまったので備忘録としても活躍しています。
さて、今回は、西安と上海、そして北京で講演してきましたので最新の中国の情報も含めてお届けしたいと思います。
ビザが必要
新型コロナ発生前までは、15日ほどの滞在ではビザは必要なく自由に行けたのですが、いまでは1日でも基本的にはビザが必要です(ポートビザという裏技で来ることもできるそうですがリスク高いですね)。そういうわけで、2ヶ月以上前からビザの申請の手続きを始めました。ビザの取得に関しては研究室のブログに書いたのでそちらを御覧ください。ちなみに、ネットで探しても最新の情報は少なかったので、この記事かなりアクセスを集めているようです。
今回中国を訪問した理由
まずは、上海にてICOS-23という有機化学の国際学会に招待講演者として呼ばれたことが理由です。
その後、早稲田大学に講演に来てくれたXiaoguang Lei教授(北京大学)と、ケムステ中国語版代表のJiaoJiao副教授(西安交通大学)から、せっかく中国に来るなら講演してよと言われたので、喜んでOKしました。
ただ、冷静に考えてみると、西安・上海・北京ってめちゃくちゃ遠いんですよ(はよ気づけと言われそうですが)。互いに1000kmぐらいあります。日本でいえば、北海道から九州ぐらいの距離。つまり中国一周講演旅行に近い感じになりました。いろいろな都合で、はじめに西安に3日間、その後上海で6日間、そして北京に4日間という予定になりました。
日程は以下の通り
10月12日 成田―西安
10月13日 西安交通大学講演(ホスト:JiaoJiao副教授)
10月14日 西安―上海
10月15日-20日 ICOS-23参加(19日講演)
10月21日 上海―北京
10月23日 北京大学講演(Xiaoguang Lei教授)
10月24日 北京―羽田
西安へ出発
西安へは直行便が成田からしか出ておらず、成田へ。余談ですが東西線の早稲田からは日本橋で乗り換え1回だけで羽田にも成田へも行けて便利です。さて、航空券は向こうで予約してもらったので、今回は中国東方航空。初めて乗る航空会社です。成田空港では制限エリア内で篝のラーメンを食べました。1600円也。トリュフ入りは2400円もするそう。空港価格のラーメンでも美味しかったので満足。その後、唯一あるラウンジにいきました。プライオリティパスではいれます。今年(2023年)にできたばかりで、カードラウンジなのに、比較的ちゃんとした軽食もありました。カレーとちょっと食べたところで、搭乗時間が近づき、搭乗。西安行きかつビザが必要のためか、乗客はおそらく99%中国人でした。ご飯や飲み物の案内も全部中国語で、英語は一言も話してくれませんでした。奇妙の味の機内食をちょっと味見して寝ていると、西安に到着。もちろん税関申告書も配られませんでした。
西安国際空港からキャンパスへ
空港も大きいですね。かなり歩きました。途中でスマホ入力した健康状態を確認するQRコードをスキャンされました。これスマホ使えない人はどうするのだろう?と思いつつ、入国審査へ進みます。
入国審査の外人はなんと3人のみ。3つゲートが空いていたので、並ぶ必要はありませんでしたが、10分間も舐めるように全ページを見られました。大学からの招待状の提示も必要でした。というわけで、ようやく入国。JiaoJiao副教授(以下ジョジョ)が車で迎えに来てくれていました。彼女は伊丹研時代の博士研究員で、その後西安で職をみつけて帰国し今に至っています。ついでにその時に、彼女にお願いしてはじめたのが中国語版ケムステ。なので、彼女がいま中国語版の代表をやっています。
空港から西安交通大学は車で40分ぐらい?かなり郊外にあるようです。8時すぎでしたが、まずは化学棟を見学に行きました。とにかく広い、そして天井が高い。この規模の大学院は日本では絶対に建てられないと思いつつ、中国の広大さとパワーをいきなり感じました。加えて、なんと彼女はケムステのオフィスをもっているとのこと。サイエンスコミュニケーションの促進になると大学にサポートしてもらって創ったそうです。いやいや日本もオフィスないのにと思いながらいってみると、素晴らしいオフィス。いろいろと工夫して化学に関連する展示もしてあります。その後の講演旅行においても、ケムステは中国でもよく知られているらしく(何度もサインをもとめられました)、9年前に立ち上げて正解だったのと思いました。
他にも研究室を回らせてもらい、おなかが減ったのでご飯に。10路過ぎてきたのと、とにかく、日本人ではなかなかいけない激安ローカルフードがよいという筆者の提案を受け入れてもらい、そのへんのローカルフードレストランへ。ハラールのレストランだったらしく、お酒が飲めなかったことが残念ですが、中国ローカルフードを堪能しました。
その後市内にあるホテルへ。市内へは30分ぐらいですかね?さすがに郊外とは異なり、都会でした。西安の人口は大体東京と一緒であるのを考えると、混み合っているところもあってもおかしくないですよね。で、ホテルがこれ。これが一番西安で印象的でした。なんて素敵な中国っぽいホテル笑。全く英語が通じませんでしたが、まあ良しとして寝ました。ちなみに英語が使えないときは、Google翻訳がよいですね。日本語→中国語、中国語→日本語もきれいに翻訳してくれます。
西安交通大学と講演
翌日、講演は朝10時からです。朝食後、8時にホテルに迎えに来てもらい、大学へ。結構道が混んでいましたね。大学に到着して、時間があったので、西安交通大学の正面門へ。とてつもなくでかい大学ですね。ちなみに、西安交通大学はシーアンジャオトン大学ですね。交通嫁いていますが、電車とか道とか関係あるわけではなく、コミュニケーションの意味です。
上海交通大学が有名だと思いますが、元来の交通大学は西安がオリジナルで、そこから派生したのが上海だそうです。大学ランキングも12番目で中国では中国語版アイビーリーグにも入っている名門大学です。
元々は、西安市内にすべてあったようですが、手狭かつ老朽化により、2020年に大学院をいまの場所(咸陽南)に移転したそうです。講演のセットアップを行い、中央の建物の屋上へ。屋上で写真を取り、講演室に戻るとたくさんの聴衆がいました。講演は、準備があまく、とくに質問にあまり答えられませんでしたが、無事終了。終了後皆で写真撮影。へんなモニュメントもいただきました。
その後、学科の有機化学の先生たちと学内のレストランで食事。青島ビールも数本飲んで、中国式のターンテーブル、そしてやっぱり全部食べるのは不可能ぐらいの食事もでてきてお腹いっぱい。例によってバイチュウも勧められましたが、昼間でありその後観光も控えていたので、断念。それでも大変満足しました。
兵馬俑と西安市内の観光
さて、お仕事も終わったので、ここから観光です。まずは、西安といえば間違いなくいくべき兵馬俑ですね。大学院生二人とジョジョとの4人でタクシーに乗り、一路目的地を目指しました。1時間以上走ったでしょうか。兵馬俑につくと人がいっぱい。土日だともっと大変な事になっているらしく平日はそれでも空いているそう。日本語のガイドさんをつけてもらって説明してもらいました。西安や咸陽などこのあたりは、秦の首都だったので特に最近は敏感ですよね。そう、キングダムの舞台だからです。漫画や映画などで日本でも有名ですよね。秦の始皇帝、嬴政が自分のお墓を作り始めたのは王に職位してすぐだそうです。つまり30年以上かけて墓と、それを守る兵馬俑をつくったとのこと。ただ発見は比較的あたらしく1970年代にたまたま発見して、農村が急激に観光地に変化したとのこと。いくつかの発掘スペースに分かれていて、正直全部同じに見えましたが、これてよかったです。帰りの入口近くで見つけた、ローカルフードのお店で、待望のビャンビャン麺を食べました。この字かっこよくないですか?中国人でもかけない人いるらしいですよ。
翌日は上海への移動日でしたが、朝から今度は西安博物館にいきました。別の大学院生2名が一緒に来てくれました。博物館は異常な人混みで、土器や道具が多かったので、歴史・特に中国の人物史好きにはあまりヒットせず、さっさと終わらせました。その後、西安のタワー(長安塔)の近くにある公園に行ったのですが、ここはリラックスした感じでとてもよかったです。学生と話しながら、歴史的人物の銅像をみて、ワークアウトできました。
その後、ジョジョと、李くんと合流。李くんは東北大学の林研究室でPhDを取得、その後Nuno Maulide研で博士研究員、林研究室で2年ほど助教をして、2年前から西安交通大学で教授です。林研究室の先輩ということで、ずっと会いたかったといろいろと興奮して話をしてくれました。ついでに中国で有名なマオタイをお土産にいただきました笑。食事は海底撈火鍋。中国の2大火鍋チェーンの1つらしくゴマダレで美味しくいただきました。ちなみに新宿にも池袋にもあるようです。
お腹いっぱいの状態で、西安古城壁へ。キングダムの函谷関の戦いを見ていたので、古城壁とっても興味がありました(全然場所は違います)。城壁は周囲14kmもあるそうで、いまや完全に保存されている世界最大の古代城壁らしいです。少しだけ進んでから写真をとって李くんとお別れ。その後、ジョジョに空港まで送ってもらって、お別れ。本当にお世話になりました。
次回は上海へ
最後に地図で主要な場所を確認します。大学と空港の場所が全然イメージと違った笑。
ということで、第一弾は西安と西安交通大学についてお話しました。第二弾は上海でのICOS-23学会参加についてお伝えしたいと思います(できるだけ記憶があるうちに)。
余談:国内の大学や企業等で講演すると、講演料があります。欧米の大学だと、交通費や宿泊費は出してくれますが、基本的にはありません。ですが、中国は比較的地方にはその文化が残っていて、講演料があります。西安交通大学にもその文化が残っていて、講演料があるという話でした。で、いくらかというと、本学の2倍の講演料。代表のいる早稲田大学は日本でも屈指の講演料だと思っていたのですが、余裕で超えられました。しかもそれは友達価格の最低価格とな。2015年にいったときはその1/5ぐらいで日本の大学よりもちょっと多いぐらいだったのですが。中国の加速的な発展をまざまざと感じられた一幕でした。なお、色々とめんどくさくなるのは嫌なので、今回講演料をいただくことは固辞しましたのであしからず。
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