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一般的な話題

MEDCHEM NEWS 32-4 号「創薬の将来ビジョン」

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日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープンアクセスとなりました 32-4号 (2022年11月発行)の紹介です。

各項目のタイトルおよび画像から該当記事へ飛べます (新しいタブで開きます) ので、隅々までご覧ください。

■巻頭言

創薬の将来ビジョンとその実現のための研究構想
佐々木 茂貴
長崎国際大学

本号の巻頭言は、日本薬学会会頭 (当時) の佐々木茂貴先生です。2030 年後の創薬研究はどのように変わっているでしょうか?近年創薬研究において注目されている核酸分子の例は、我々に重要な示唆を与えてくれます。佐々木先生の巻頭言を読んで、創薬研究の明るい未来を一緒に考えましょう!

■創薬最前線

革新的新薬の創出に向けた創薬研究の新たな潮流とAxceleadの挑戦
池浦 義典, 田中 崇裕
Axcelead Drug Discovery Partners

本号の創薬最前線は、日本初の統合的創薬ソリューションプロバイダーであるアクセリード (Axcelead Drug Discovery Partners) の取り組みを紹介します。武田薬品から継承した創薬プラットフォームと経験豊富な創薬研究者をベースに、アクセリードは戦略的に最新の他社技術も取り入れ、共創型の新しい創薬研究支援と日本の創薬エコシステムへの貢献に取り組んでいます。ぜひご一読ください。

■WINDOW

オリジナリティの高い創薬シーズを求め、Scrippsで経験したこと
阿部 正人
Vanderbilt University

オリジナリティの高い創薬とそれが実現可能な研究環境を求めて、国内の製薬企業を退職し、アメリカのアカデミアに挑んだ研究者の物語です。研究に没頭し、言葉や慣習の違いを乗り越えたバイタリティーに大いに刺激を受けるでしょう。是非ご一読ください。

■ESSAY

レチノイドX受容体を標的とする炎症性腸疾患治療薬の開発研究
加来田 博貴
岡山大学

炎症性腸疾患 (IBD) の新たな治療薬として、レチノイドX 受容体を標的とする低分子創薬に関する報告になります。IBD 治療薬の現状から新たな標的設定、デザイン、誘導体合成展開について非常に面白い内容となっています。是非、ご一読ください。

■DISCOVERY

3CLプロテアーゼをターゲットとしたCOVID-19治療薬S-217622の創製
立花 裕樹
塩野義製薬株式会社

2022年度日本薬学会 医薬化学部会賞を受賞した「COVID-19経口治療薬S-217622の創製」。創薬研究開始からわずか1年ほどで臨床試験入りを果たした S-217622 ですが、アカデミアと協働しつつ、社内化合物ライブラリーからのバーチャルスクリーニングやSBDD をフル活用した SAR などこれからの創薬のお手本になるスピード創薬のストーリー、必読です。

■SEMINAR

選択的オートファジーを自在に制御できる分子AUTACの発明と応用可能性
高橋 大輝, 有本 博一
東北大学

標的タンパク質分解薬が近年注目を浴びています。ユビキチン-プロテアソーム系を利用する PROTAC が有名ですが、他のタンパク質分解経路を利用した 〇〇TAC の開発も盛んです。本セミナーでは、オートファジーを利用する日本初のタンパク質分解薬 AUTAC について、開発者に詳しく記載して頂きました。

■SEMINAR

ハイスループット合成技術の概要と新展開
瀬尾 竜志, 渡辺 順子
アステラス製薬株式会社

製薬企業におけるハイスループット合成技術を紹介した論文です。短時間に多くの化合物をきれいに作るだけではなく、AI やロボット活用によりデザインやスケールアップ、情報管理・活用に至る精度や効率を高めています。さらなるオートメーションの追求や、新規モダリティへの応用も期待され、製薬企業の化学者は必見です。

■SEMINAR

低分子Kinase 創薬の進展と今後の展望 ~初の低分子Kinase阻害薬の承認から20年が経って~
飯尾 清誠
日本たばこ産業株式会社

キナーゼは創薬の主要な標的ですが、阻害薬の創製には選択性の確保が大きな課題として立ちはだかっていました。本稿では、この課題をどのように克服したか、承認薬を振り返り解説しています。また阻害薬以外の創薬アプローチとして、新たなモダリティについても紹介されています。

■COFFEE BREAK

少彦名神社の神農祭
石川 里香
塩野義製薬株式会社

くすりの町として有名な大阪・道修町にある少彦名(すくなひこな)神社のご紹介です。無病息災から国家試験合格に至るまで、薬にまつわる色々な祈願のために多くの参拝者が訪れるようです。この記事をご一読いただき、ぜひ11月の「神農祭」にも足をお運びください。

■REPORT

創薬ニューフロンティア検討会の活動
横島 聡*1, 寺内 太朗*2
*1名古屋大学, *2エーザイ株式会社

「つながり醸成」をキーワードとし、日本薬学会医薬化学部会において創薬ニューフロンティア検討会(NF検討会)は活動しています。「医薬化学研究の活性化に貢献したい」という想いの下、アカデミア-学生-企業をつなぐこれまで、そして、これからの取り組みをぜひご一読ください。
ケムステ関連記事:製薬系企業研究者との懇談会(オンライン)

関連書籍

本号の「BOOKS 紹介」より①

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本号の「BOOKS 紹介」より②

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MEDCHEM NEWS 紹介記事バックナンバー

MEDCHEM NEWS 32-3号 「シン・メディシナルケミストリー」
MEDCHEM NEWS 32-2号 「儲からないが必要な薬の話」
MEDCHEM NEWS 32-1号「機械学習とロボティックス特集」
MEDCHEM NEWS 31-4号「RNA制御モダリティ」
MEDCHEM NEWS 31-3号「ケムステ代表寄稿記事」
MEDCHEM NEWS 31-2号「2020年度医薬化学部会賞」
MEDCHEM NEWS 31-1号「低分子創薬」
MEDCHEM NEWS 30-4号「ペプチド化学」
MEDCHEM NEWS 30-3号「メドケムシンポ優秀賞」

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DAICHAN

投稿者の記事一覧

創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

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