みなさん、CAS Future Leaders Programについて、、おききした事はありますでしょうか?
ケムステでも何度か紹介したことがあり、ご存知の方も多いかもしれません。
端的に言うと、お金もらって、世界の優秀な人たちと集まって、ACS national meetingで発表しよう。コネクションもいっぱい作ろう。みたいなプログラムです。
去年の特典は
・旅費および宿泊費
・Columbus 滞在中の食費
・米国化学会年会 ACS National Meeting & Exposition の参加登録費
・支度金 1,000 米ドル支給
・CAS SciFinderⁿ のアクセス権 (1 年) の付与
・ACS Membership (3 年) の付与
・C&EN の参加者紹介記事を掲載
・ACS National Meeting & Exposition における研究発表
・ACS National Meeting & Exposition の ACS Professional and Leadership Development course の登録
・CAS Future Leaders Alumni Community の永久会員資格 (Lifetime membership)
豪華ですね~。
どこからどうみても、申し込んだもの勝ちなこのプログラム。実は筆者も4年ほど前、申し込みました。選ばれませんでしたけど苦笑。非公開情報ですが、実は落ちても無料でACS会員に申し込めたり、豪華な残念賞みたいなものがあったので本当に申し込み勝ちなプログラムだと思います (今はどうなってるか知りませんが)。申請書も重たくない!
縁あってケムステでは毎年参加者にインタビューを行っています。 去年の採択者は東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 大塚研究室の博士後期課程3年の横地浩義さん!高分子系Youtuberです。
ひょんな事より筆者の友人。。。ということで今年もインタビューを担当させていただきました。ACS National Meeting の会場で共に採択者アナウンスメントを聞いたのを覚えています。
それではインタビューに進みましょう!
1. ひろぎさんについて
Q. 自己紹介をお願いします!
A. どうも 化学系YouTuberのひろです。大学院生の日常や研究についてYouTubeで発信しています。密かに打倒Chem-Stationを目標にしています。(嘘ですごめんなさい)
代表論文
Polym. Chem. 2020, 11(21), 3557-3563.
Macromolecules. 2021, 54(21), 9992-10000.
2. プログラムについて
Q. どのようなプログラムでしたか?記憶に残っていることを教えてください。
A. 8/6(日)から8/17(木)まで12日間にわたるプログラムでした。前半一週間はCASの本拠地コロンバスにて様々なワークショップに参加し、その後、ACS Fall 2023というアメリカで開かれる伝統的な国際学会に参加し口頭発表を行いました。特に記憶に残っている点は前半に行われた様々なワークショップで、「話し方・伝え方の講座」や「良きメンター・上司に求められるスキル」など、リーダーシップを多様な観点で発揮できるように訓練されているなと実感できる内容でした。
とまぁ、ここまでは化学情報協会からのインタビューでも話したので、それ以外についてもライターがたまたま友達なので特別にお話しします。このプログラムアメリカへの渡航費や宿泊費を全てカバーしてくれるのが最大の特徴で、なんといってもホテルがすごく良かったのが印象的でした。昨今、円安で出張時のホテル事情、皆さんなかなか厳しくないですか?私も、過去いくつか国際学会に参加してきて、その度に最安値のホテルを攻めていたのですが、もうそんな心配はいりません!今回こちらのプログラムが用意してくれたホテルはHilton Columbus DowntownとHotel Nikko San Franciscoでした。どちらも1泊1人3万円以上(時期によって変動あり)と普段ならとても手が出せないところを取っていただきました。「あ、海外でもちゃんとお金出せば快適に寝泊まりできるところがあったのか」と、この時少し安心しました(笑)
Q. 他の参加者はどのようなバックグラウンドの方が多かったですか?(専門と国籍、所属大学等)
A. 全世界の博士課程およびポスドクから選出されていて、2023年は合計35名でポスドクが大半、博士課程の大学院生が数名と助教授の職に就いている人が2名いました(応募当時はポスドク)。所属大学も多様性に富み、ハーバード、スタンフォード、MIT、カリフォルニア工科大学など、世界のTOP大学でも同じ大学からは1名しか選出されず、全国から多種多様なバックグラウンドを有する博士が集められていることが伺えます。
Q. 参加して良かった、悪かった点を教えてください!
A. 一番良かったことは、全世界のFuture Leadersとコネクションを作れたことです。彼らと1週間寝食を共にし、友達になれたことは今後の自分の大きな財産になりました。プログラム自体が10年以上続いており、参加者のつながりを深められるように洗練されているなと参加していて感じました。悪かった点は、一つもありませんでした。強いていうなら、自分英語が苦手なので、最初はすごく不安だったのですが、なんとか今も生きているので、挑戦して良かったなと思っています。人生は挑戦や!
3. 応募書類について
Q. どのようなエッセイをかかれたのでしょうか?
A. エッセイは非常にシンプルで,例年①これまでの研究と将来のゴール,②SciFinderの価値を英語1000単語以内で述べるということです。そもそも日本語でもエッセイなんて書いたことないやって人、安心してください、私もです!実はまず、Googleで「英語 エッセイ 書き方」とググったところからスタートしました(笑)そんな僕がアドバイスできるかって言ったら無理なんですけど、こんなこともあろうかと参加者の方から応募に使用したエッセイを見せてもらったりしたので少しアドバイスします。まず形式ですが、①と②は別々で書く必要がないということです。私は去年の参加者の方のエッセイを参考にしたので①と②は分けて、それぞれ7:3くらいの分量で書いたのですが、中には①の中の各段落で②と繋げている方もいたり書き方は本当に自由なんだなと感じました。自分の書きやすいように、自分が書きたいことを一番に作成してみてください!
Q. どのような点が見られていると感じましたか?
A. これについては、一つの成功体験からのコメントになりあまり参考にならないと思うのでもう少し自分のエッセイについて述べます。学振などの応募時にもこれまでの研究と将来のゴールについては書く機会があり、①については書こうと思えば皆さん書けると思いますが、②SciFinderの価値が難しいところだと思います。自分も正直ここで筆が止まり悩みました。ちょうどStanford留学中で悩みすぎてGrand Canyonまで旅に出かけるほどでした。というのも、自分は高分子化学が専門でSciFinderを毎日使うような分野ではなかったので、詳細な機能やユニークな使い方などはしておらず表面的にしか触っていませんでした。(それでも触ってるだけマシですが。中にはSciFinderなんて一切使っていない選出者の方もおられたので。)そこでSciFinderの価値について語っても、本当に使いこなしてる人には勝てないなと考えました。そこで私はやり方を変えて、面白さに全振りしました。読んでる方が、クスッと笑ってくれるような、ユニークな文章になるようにエッセイを作成しました。合計で4人の方に自分のエッセイを見てもらいましたが、2人からは大絶賛、もう2人からは微妙な反応をいただいたので、本当に見る人による賭けをしました。見事その賭けに勝って独創性を評価していただき選出していただいたと感じています。皆さんも執筆に悩んだら旅に出かけて自分なりの表現を考えてみてください。
*筆者追記。実はこっそり申請書を見せていただきました。ユニーク爆発してて笑いました。
4. 来年以降の応募者へのメッセージ
Q. 参加前に準備しておけば良かったことはありますか?
A. 英語のスキルはあればあるほど良いです。留学や国際学会の参加含め、博士課程の間に英語にたくさん触れて耳を鍛えつつ、スピーキングの練習もなるべくしてください。同じプログラムでも得られるものの多さが変わると思います。
Q. 後続への激励の言葉をお願いします!
A. 去年に続いて全く同じことを言いますが、とりあえず応募してみましょう!正直、去年の方が論文をJACSに出しているのをみて、やっぱりこの競争率で採用されるにはそれくらい業績が必要なのかと半ば諦め気味で応募しました。業績はあればあるだけ良いですが、少ない業績でも諦めずに応募して良かったなと思っています。また、英語のハードルも大きいと思います。私と同じように英語に不安を抱えている読者の皆さん、その気持ちすごくわかります。でも実際会ってみると他の参加者も非ネイティブの方が多く、皆さん同じような不安を抱えながら参加していることがわかりました。やらない後悔はもう十分です。この記事を見た博士の皆さんは全員応募しましょう。
最後に、素晴らしいプログラムを提供していただいたCASの皆様,普段から熱心に研究指導していただき、推薦書も快く作成していただいた東京工業大学 大塚英幸 先生、エッセイ作成にさまざまなアドバイスをいただいた千葉大学 青木大輔 先生、大塚研究室およびStanford大学Xia研究室の皆様に感謝申し上げます。化学情報協会様のページにてさらに詳しいインタビュー記事もあるので,よろしければそちらもご覧ください!
以上です!! ひろさんありがとうございました!!!