人間の幸福感は、五感に依るところが大きい。化学は文明的で健康的な社会を支える物質を継続的に産み出してきたが、そのような物質の中には、人間の感覚をターゲットとして幸福感を増大させるものも多く含まれている。本シンポジウムでは、人間の幸福感の礎の一つとなる感覚の領域に対して、化学がどのように切り込んでいけるかについて、日本化学連合に参加する学協会の気鋭の研究者を招いて議論する。融合的でかつ定量化の難しい領域において、独創性高い研究や技術をいかにして創出して来たか、研究者の思索と実行の足跡を垣間見る貴重な機会となるものと期待される。
概要・日時・申し込み
2023年度第1回日本化学連合シンポジウム
2024年1月22日(月)13:00~17:45
オンライン開催
参加費:一般:5,000円、学生:2,000円(いずれも税込)
プログラム
13:00-13:10 開会挨拶
13:10-13:50
「音や光による有機分子の状態や反応の制御」
津田 明彦(神戸大学大学院理学研究科)
音と光は、全く異なる波の性質をもつ物理刺激として、人と人、人と動物、あるいは人と電子機器などのコミュニケーションに用いられる。本講演では、音と光による分子や分子集合体の構造や状態および化学反応の物理制御に関する研究成果について概説するとともに、それらの社会実装に向けた産学官連携の取り組みについても紹介したい。
13:40-14:30
「視覚科学:化学産業への展望」
山本 洋紀(京都大学大学院人間・環境学研究科)
視覚の心理学と脳科学によって製品の感性的な価値を定量化できます。さらに、統計モデリングと組み合わせると製品の設計に活かせます。この枠組を応用して感性と化学を繋ぐ方法を論じたいと思います。
14:30-15:10
「匂い感覚と健康とwell-being」
東原 和成(東京大学大学院農学生命科学研究科)
匂いを感じる嗅覚は、数十万種類といわれる匂い物質の無限の組み合わせである混合臭を正確に識別する、究極の分子識別システムである。生物は、その膨大な化学情報の中から、生きるために重要な情報を脳で抽出し、その結果、適切な行動・情動・生理変化が引き起こされる。本講演では、嗅覚が人間の健康やwell-beingにどのように関わっているかを紹介する。
15:10-15:20 休憩
15:20-16:00
「嗅覚センサの研究・開発・実証・実装」
吉川 元起(物質・材料研究機構)
嗅覚センサは、既存の物理系センサでは測定が困難な試料に対して、非接触・リアルタイムでの測定が可能であり、農業・食品・医療などの分野で早期実現が切望されています。本講演では、独自に開発したセンサ素子「MSS」を軸にした、ハード(感応膜など)やソフト(機械学習など)の研究開発、および現場での実証実験についてご紹介します。
16:00-16:40
「コグネティクス+(プラス)で挑む触感と身体の科学」
金山 範明(産業技術総合研究所・人間情報インタラクション研究部門)
触感の脳・こころのモデルは、心理学・脳科学者が検討してきた。一方、触覚の操作にはロボティクス領域との共創が必要でありコグネティクスという融合領域が推奨されてきた。さらに接触対象をコントロールする材料科学的なアプローチも必要になる。こころの科学と化学領域との融合研究の必要性・可能性を紹介し議論したい。
16:40-17:20
「味を化学で可視化する」
都甲 潔(九州大学高等研究院特別主幹教授)
味を目で見ることができるであろうか.味覚センサはそれを可能とした科学技術であり,既に実用化され,全世界で600台以上が使われている.食品や医薬品の味の定量化や苦くない医薬品や新食品の開発に利活用されている.最近では,個人の食嗜好を予測することも可能としている.講演では化学を駆使した味覚の可視化を紹介する.
17:20-17:40 総合討論
17:40-17:45 閉会挨拶
参加申込
当連合のホームページの参加申し込みフォームを用いて、氏名,所属学協会,勤務先と職名(学生は学校名と学年),連絡先(メールアドレス)を明記し,2024年1月19日(月)までにWebからお申込いただき、支払いを完了してください。
シンポジウムの参加費は一般:5,000円、学生:2,000円で、事前の参加登録・銀行振込が必要です。(参加費はいずれも税込みです)
振込先:三菱UFJ銀行 神田支店 普通預金 口座番号:0092454
口座名:一般社団法人日本化学連合 ※振込手数料は、ご負担ください。
主催・共催お問い合わせなど
主催:日本化学連合
共催:(予定)化学工学会、クロマトグラフィー科学会、高分子学会、触媒学会、石油学会、日本エネルギー学会、日本化学会、日本ゼオライト学会、日本地球化学会、日本膜学会、日本薬学会
協賛:(予定)化学工業日報社、化学情報協会、日本セラミックス協会、繊維学会
後援:(予定)新化学技術推進協会
協力:Chem-Station
問い合せ先:一般社団法人日本化学連合 事務局 E-mail: secretariat@jucst.org