ポンコツシリーズ
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続きの②16話・17話・18話・19話・20話・21話・22話
第23話:博士,危険区域に踏み入る
ポンコツ無知旅人,SFの宿を決める。
──ACS Meetingに参加する前,USは安全だと思い込んでいた。その時までは──
前話の流れでACS Meetingに潜入することが決まった筆者は,宿の確保を進めた。アメリカのホテルでは1室料金で請求されるため,一人で予約するとかなり高い。そのため,普通の家族の空き部屋を借りることができるAirbnbが広く普及している。一方,会場近くのサンフランシスコ(SF)中心部ではAirbnbでも60-100ドル越えが普通であり,筆者のお財布事情にかなりのダメージを与えることが予想された。
そこで筆者は,Airbnbと並行してChase Travel Portalを利用し,最終的に52ドル/日のホテルを見つけた。すっかりChase(JPモルガン・スタンレー)信者となっている筆者は,ポイントもAirbnbより貯まるし,Expediaのポータル経由ホテルだからそこまで悪くないよね…?と思い,3日間の滞在を予約した。飛行機に関しても,Chase travelとAMEX TravelでDeltaとUnitedの合計140ドルのチケットを確保して比較的ケチケチな旅行日程を汲むことができた。日本の感覚で例えると,筆者の地元からJAL線で3ヶ月前予約の格安チケットを入手し,東京のアパor東横等のビジホに泊まるプランの感覚だった。
ポンコツ旅行者,地下鉄でビビる
筆者があれやこれやしているとすぐ学会前日になったため,12ドル/日で駐車できるLAX近くの屋内parkingにマイカーをキープしてLAXからSFOにフライトした。SF到着後,高速鉄道のBART(Bay Area Rapid Transit)を利用してSFのダウンタウンへ移動した。圧倒的車社会のアメリカに滞在する筆者にとってBARTはアメリカ初の高速鉄道だった。BARTのチケットはモバイルアプリでClipper Cardを使用できたことから日本のように自動改札を使用できた。モバイルSUICaやICOCA感覚で利用できる公共機関が存在し,快適な環境だったため「はぇ〜,IT産業本場のSFやサンノゼはちゃいますなぁ」としきりに感心した。
しかし,その後の中心部に到着から地下鉄に移動する際に筆者は驚いた。異臭と同時に階段の一段一段にホームレスさんが座っており,通ることすらままならなかったからだ。サンフランシスコはコロナ以後,爆発的にホームレスさんが増加して治安が悪化しているという話を聞いていたが,筆者の予想を遥かに超える人数であった。
幸い,たまたま同じ方向を歩くアメリカンファミリーの屈強なムキムキパパがホームレスさんにExcuse usを言いながら道を開拓してくれたため,筆者もそれに便乗して地下鉄に乗ることができた。無事地下鉄に乗れて満足していたが,civic center(市役所)へ向かう地下鉄のエレベータのガラスに銃弾が打ち込まれたっぽい穴とその影響によるヒビ割れままみれなドアを見て「ひぃぃぃ…」と戦慄した。
ポンコツバックパッカー,ホテルでビビる。
地上に戻った筆者は市役所前の日曜マーケットに遭遇してホッとしたのち,良い風景をやけにおしゃれな市役所と併せて写真に収めた(Fig. 1)。そして市役所から10分程度で到着する目的のホテルに向かったところで明らかにヤバそうな雰囲気を感じた。本記事にできそうなポテンシャルを考えると雰囲気のヤバさを伝えるためにカメラに収めようか悩んだが,写真を撮っている間にひったくりの危険性が感じられたことから断念した(代わりにYoutuberのお昼ドライブ動画を載せておこう。車で運転する分には問題なさそうだが,変な空気感を感じられるであろう)。
一方,危険地帯と知らずに踏み込んだ無知な筆者は,ありとあらゆる店に鉄格子が存在することから雰囲気がやばいと感じつつも「うわー。ヤバいところにきちゃったなぁ。路上にキマってる人多すぎでは?ロスでもこんなにいないよ?」と,のしのし歩き始めた。筆者は1年以上のアメリカ生活を経てさらに強靭なメンタルと鈍感力に磨きをかけており,危険地帯への対応力が成長していた。
筆者が10分程度歩くとやっぱり鉄格子で囲まれた目的のホテルにたどり着いた。これがホテルなのか不安でインターホンを押すことに迷っていると掃除のお姉さんが開けてくれた。そして筆者はここで再度戦慄した。「姉さんアンタ…ドキュメンタリーに出てきそうな完全なヤク中の風貌じゃない…」と。
お姉さんに「あんた…バックパッカーかい?」と聞かれたが,説明で駄弁ると面倒臭そうな気しかしなかったので「ヤー」と答え,即フロントに向かった。なお後日,筆者が泊まった地域はWeb検索でサンフランシスコ市内で絶対に近寄ってはいけません!と一発目に出てくる,薬物中毒者やホームレス,犯罪者が沢山いるテンダーロイン[tenderloin]と呼ばれる地区であることを知った。
ポンコツスリーパー,ヤク中にイラつく。
中に入ると昔のアパートがマンションになったようなホテルだった。ガチガチに固められたフロントでチェックインを行い,部屋に入った後テンションがダダ下がりした。マリファナ臭が充満して部屋が落書きまみれだった。また,トイレ・シャワーが部屋内に存在せず,共用の場所で使うようであった(お金の入ったホームレスさんがたまに滞在して体を洗うらしく,色んな匂いが混じって臭かった…)。
ベッドは一見よさそうに見えたが何故かチクチクするのでノミ・ダニ等を避けることを目的に布団を被ることを諦めた(Fig. 2)。ちなみによくよく見ると鍵も破壊された跡があり,鍵を閉めてもガチャガチャすれば誰か入ってこれそうな状態だった。「アメリカの治安はお金で買うものということが留学したらわかると思うよ。」と留学前に言われたことを思い出した。
ACS Meeting参加後,ご飯を食べた頃には少し夜遅くなっていた。筆者はあの通りを夜に歩くのはまずいと判断し,Uberを利用してホテルに戻った。実際,車を降りた瞬間に異常なマリファナ臭を感じられたため,この判断は正解だった。おそらく筆者はスマホが存在しない15年前ならアメリカでみぐるみを剥がされて野垂れ死んでいただろう。文明の力さまさまである(便利すぎて英語力が上がんない)。
その後,ホテルの部屋に篭りっぱなしだったが,まさかのホテル内でキマッてしまった住人がいたようで「Ya hoooooo!!!!Foooooooooo!!!!Yeaaaaaaaaahhhhhhhhh!!!」と10時から12時あたりまでマリオばりの叫び声を出し続けた+外はヒップホップで低重音が鳴り響き,かなり騒がしかった。非常に眠りにくかったが,強メンタルな筆者は辛かった研究室生活を思い出すことで午前12時過ぎに寝ることができた。やはり博士課程でメンタルを鍛えることは大切であり,筆者の場合,化学の知識よりもメンタルを鍛えたことが一番生活に応用されている気がする。
無事ネタ記事になってしまったが…アメリカの都市部には二面性が存在することがお分かりいただけたであろう。もし読者の皆さんがアメリカの危険地区に迷い込まないようにor迷い込んでしまった場合の対処として
① アメリカの知らない土地に行く場合は事前の危険調査が必須(アメリカのGoogle map reviewはかなり参考になるので要チェック,これをし忘れた)
② アメリカ(カリフォルニア)のホテル料金は大抵治安に比例しているので,できれば最低120ドル程度のホテルを確保しよう。Airbnbなら60ドル程度,ホテルは1室料金であるため友達と共部屋にしよう。
③ 万が一の薬物中毒に気をつけよう。薬物。ダメ。絶対。
④ もし迷い込んでしまったら感染症対策として路上の落ちている注射針に気をつけよう。また,アメリカの都市部の夜は基本的に徒歩移動を回避してUber等を利用しよう。
などを学んでおけば良いのではないだろうか。まだまだネタが尽きないので2話に分割させて頂こうと思う。こんなつもりではなかった
注:筆者は決してネタづくりのために行ったわけではありません。お金の安さに釣られただけであります。
〜続く〜
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いらすとや :アイキャッチ画像の素材引用元。
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