新型コロナの影響も未だ残っていますが、日常が完全に戻ってきました。今年は海外の国際学会に参加の方も多いと思います。ただ、どこにいっても物価は高いですし、円安なのでとくに欧米ではびっくりするような参加費、渡航費、宿泊費、食費がかかります。それでも久々の海外にいきたいんだー!著名な化学者に会いたいんだ!という人はいいと思いますが、研究費も有限です。一方で日本は物価も安いので外国に比べればいまはかなりメリットが高いです。
前置きはこのぐらいにして、今回は今年の秋、京都で行われる歴史のある国際会議IKCOCについて紹介いたします。参加費も他の国際学会に比べて安価ですし、スピーカーも大変豪華です。
IKCOC-15の概要
科学技術創造立国の重要性が喧伝されている今日、科学の新展開や先端技術を支える基盤として、有機化学が果たすべき役割はかつてないほど重要性を増している。 機能材料や医農薬などの分野における目覚ましい進歩に応じて、基礎理論、方法論、および新規化合物の分子設計を積極的に展開し、有機化学者が社会の要請に答えるためには、単に有機化学分野のみではなく生物化学、医薬化学、天然物化学、精密化学ならびに材料化学等広範な分野の最先端の情報を常に把握することが不可欠である。従って、これら周辺分野を含めて、内外の研究者が積極的に研究成果の交換、討議を行うことが強く求められている。
従来よりこの分野における日本の化学者は、独創性の高い成果を数多く挙げ、常に先導的役割を果たしてきた。ところが、日本は東アジアに位置しているため、地理的な理由から広く世界の第一線研究者と緊密に接触し討論する機会が、必ずしも十分とは言い難かった。このような背景のもと、日本において有機化学及び関連分野に関する最重要課題の下に世界的な化学者や化学技術者を一堂に集め、実りある討議を通して斯界の発展に貢献することを目的とし、1979年に近畿化学協会創立60周年を記念して本国際会議が開催され、以後3年毎に継続的に京都で開催されている。
第15回は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け、開催を約2年延期し、2023年11月20日(月)~23日(木)の4日間、吉田善一議長、杉野目道紀組織委員長により開催される。
組織委員長からのコメント
今回の組織委員長である、京都大学の杉野目教授からもコメントいただきました。
15回目の国際有機化学京都会議(IKCOC=アイコック)を11月20日(月)〜23日(木)に開催します。ただいま早期割引参加登録および発表申込受付中です(7月31日まで)。有機合成、材料科学に加えて、ケミカルバイオロジーや創薬関連の話題まで、有機化学の全てを網羅し、1979年から40年以上続く、国際的によく認知された国際学会です。
今回は「ケミカルバイオロジー」という今では皆当たり前に使う分野名を世界に先駆けて案出した、米国Broad InstituteのStuart L. Schreiber 先生を第5回IKCOC賞受賞者としてお招きしています。Schreiber 先生の受賞講演を皮切りに、Steve Buchwald(有機合成)、Bert Meijer(超分子)、Mikiko Sodeoka(分子生物学)各先生の基調講演、各分野のトップランナーによる招待講演18件を中心に、50件を超える口頭発表と多くのポスター発表を予定しています。会議の詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
日本にいながら、質とスタイルの両面で完全な国際会議を経験できる滅多にない機会です。早期割引中は学生2 万円、一般5万5千円と、最近の諸外国で高騰を続ける国際学会登録費と比べて随分お得と思います。特に学生の皆さん、産学官の若手研究者の皆さんの積極的な参加をお待ちしています!杉野目 道紀
大学院生の皆さんもぜひ参加を!
最後に、学生の時にIKCOCに参加した、星本准教授(大阪大学)のコメントもいただきました。
M1で参加したIKCOC-11 (2009) は国内開催ではあるものの初めて参加した国際学会でした。
世界のTOP化学者達を目の前にし、居ても立ってもいられなくなり、衝動的に「写真を一緒に撮ってください!」
と、Whitesides先生やBaran先生に突撃しました。
その際に、Whitesides先生から
「私はそんなに尊敬できるの?」
と聞かれて、フリーズした記憶があります。
皆さんも、IKCOC-15で、世界最高峰をリアルに感じてみてください。星本陽一
最後に運営委員の中尾佳亮教授(京都大学)からもコメントいただきました。
初日のレセプションが有名先生と交流するチャンスです。
レセプションは無料で参加可能で、飲食物も結構豪華なので、おすすめです。
最終日のバンケットは有料ですが、舞妓さんが数名参加するので、これも学生や若手研究者にとっては貴重な機会になります。
ぜひご参加ください。中尾佳亮
ちなみに筆者(代表)もこのIKCOCには参加して、Phil(Baran)と一緒に休み時間に論文を書いていた思い出があります。京都も講演も懇親会も満喫しました。
締め切り近いですが、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか?