一歳児の育児に翻弄される毎日を過ごしている。せっかくなので一歳児とも化学を楽しみたいなと思いつつ、「さあ、どんなことができるかな」と悩ましい。現状、我が家の一歳児はおもちゃでも何でも片っ端から舐めまわして口にいれてしまうので、分子模型はまだちょっと早そうな感じである(ぬいぐるみタイプの分子模型とかつくりたいな!)。
そんな時に嬉しかった本がこちらの「りょうしりきがく for babies」である。りょうしりきがくと題されているが、数式が出てきたりするわけではなく、イメージとしては”原子のはなし”とでもいう感じに近い。しかしながら冒頭の、ちいさなせかいではふしぎなことがおきているよ、というメッセージに、量子力学という基盤を強く感じる。
内容紹介
まず原子の構成要素を紹介し、次に電子に焦点を当て、電子軌道とエネルギー準位の概念を伝える内容になっている。イラストはたくさんの丸から成るシンプルではっきりとしたもので、赤ちゃんが好みそうなデザインである。本編の文字はひらがなとカタカナのみで、1ページあたりの字数は10〜20文字くらいに絞られており、非常に読みやすくできている。
著者・監訳者紹介
著者は物理学者・数学者のChris Ferrie (クリス フェリー)博士。シドニー工科大学 量子ソフトウェア・情報センター 准教授。量子推定と量子制御、特に量子情報科学における統計的問題を解決するための機械学習の使用が研究テーマ。本書以外にも科学絵本を多数執筆。
監訳者は理論物理学者の村山 斉(むらやま ひとし)博士。東京大学 カブリ数物連携宇宙研究機構 国際高等研究所 教授であり、初代機構長。カリフォルニア大学バークレー校 教授 併任。素粒子物理学をわかりやすい言葉で多くの人々に伝えることにも力を注いでおり、一般向けの著書を多数執筆しているほか、メディア出演も多い。
実際に読み聞かせしてみた
一歳児と一緒に本書を読んでみた。「この電子」のような挿絵中の特定の箇所を示す文では、その箇所を指さしながら音読。一歳児本人も挿絵を指さしたり、読み終わっても本書をこちらに持ってきて「もう一回読んでほしい」と意思表示するなど、なかなかお気に召した様子である。(それにしても同じ本を何度も繰り返し音読しないといけないというのは、結構大変である…。)
ご機嫌で挿絵を指差す一歳児
終わりに
一歳児が本書のどこを気に入ったのかは現時点では明確にはわからなかったが、どうやら受けは良いようだったので、同じシリーズの他の絵本についても気になるところである。ゼロ歳〜一歳向けの絵本というのは擬音語・擬態語が内容の大半を占めているような作品も多く、何度も読み聞かせをするのが精神的に辛くなってくる時もある中でこのような絵本を読むと、親側も楽しみながら育児にとりくむ活力が湧いてくる、気がする。
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