[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

【書籍】りょうしりきがく for babies

[スポンサーリンク]

りょうしりきがく for babies (Baby University)

りょうしりきがく for babies (Baby University)

クリス・フェリー
¥1,100(as of 12/21 15:34)
Amazon product information

一歳児の育児に翻弄される毎日を過ごしている。せっかくなので一歳児とも化学を楽しみたいなと思いつつ、「さあ、どんなことができるかな」と悩ましい。現状、我が家の一歳児はおもちゃでも何でも片っ端から舐めまわして口にいれてしまうので、分子模型はまだちょっと早そうな感じである(ぬいぐるみタイプの分子模型とかつくりたいな!)。

そんな時に嬉しかった本がこちらの「りょうしりきがく for babies」である。りょうしりきがくと題されているが、数式が出てきたりするわけではなく、イメージとしては”原子のはなし”とでもいう感じに近い。しかしながら冒頭の、ちいさなせかいではふしぎなことがおきているよ、というメッセージに、量子力学という基盤を強く感じる。

 

内容紹介

まず原子の構成要素を紹介し、次に電子に焦点を当て、電子軌道とエネルギー準位の概念を伝える内容になっている。イラストはたくさんの丸から成るシンプルではっきりとしたもので、赤ちゃんが好みそうなデザインである。本編の文字はひらがなとカタカナのみで、1ページあたりの字数は10〜20文字くらいに絞られており、非常に読みやすくできている。

 

著者・監訳者紹介

著者は物理学者・数学者のChris Ferrie (クリス フェリー)博士。シドニー工科大学 量子ソフトウェア・情報センター 准教授。量子推定と量子制御、特に量子情報科学における統計的問題を解決するための機械学習の使用が研究テーマ。本書以外にも科学絵本を多数執筆

監訳者は理論物理学者の村山 斉(むらやま ひとし)博士。東京大学 カブリ数物連携宇宙研究機構 国際高等研究所 教授であり、初代機構長。カリフォルニア大学バークレー校 教授 併任。素粒子物理学をわかりやすい言葉で多くの人々に伝えることにも力を注いでおり、一般向けの著書を多数執筆しているほか、メディア出演も多い。

 

実際に読み聞かせしてみた

一歳児と一緒に本書を読んでみた。「この電子」のような挿絵中の特定の箇所を示す文では、その箇所を指さしながら音読。一歳児本人も挿絵を指さしたり、読み終わっても本書をこちらに持ってきて「もう一回読んでほしい」と意思表示するなど、なかなかお気に召した様子である。(それにしても同じ本を何度も繰り返し音読しないといけないというのは、結構大変である…。)

ご機嫌で挿絵を指差す一歳児

 

終わりに

一歳児が本書のどこを気に入ったのかは現時点では明確にはわからなかったが、どうやら受けは良いようだったので、同じシリーズの他の絵本についても気になるところである。ゼロ歳〜一歳向けの絵本というのは擬音語・擬態語が内容の大半を占めているような作品も多く、何度も読み聞かせをするのが精神的に辛くなってくる時もある中でこのような絵本を読むと、親側も楽しみながら育児にとりくむ活力が湧いてくる、気がする。

 

関連書籍

りょうしりきがく for babies (Baby University)

りょうしりきがく for babies (Baby University)

クリス・フェリー
¥1,100(as of 12/21 15:34)
Amazon product information
ニュートンりきがく for babies (Baby University)

ニュートンりきがく for babies (Baby University)

クリス・フェリー
¥1,320(as of 12/21 15:34)
Amazon product information
そうたいせいりろん for babies (Baby University)

そうたいせいりろん for babies (Baby University)

クリス・フェリー
¥1,050(as of 12/21 15:34)
Amazon product information

 

Avatar photo

Shirataki

投稿者の記事一覧

目には見えない生き物の仕組みに惹かれ、生体分子の魅力を探っていこうとしています。ポスドクや科学館スタッフ、大学発ベンチャー研究員などを経て放浪中。

関連記事

  1. ちょっと変わったイオン液体
  2. 全フッ素置換シクロプロピル化試薬の開発
  3. 耐薬品性デジタルマノメーター:バキューブランド VACUU・VI…
  4. 導電性ゲル Conducting Gels: 流れない流体に電気…
  5. 第464回生存圏シンポジウム バイオナノマテリアルシンポジウム2…
  6. ご注文は海外大学院ですか?〜選考編〜
  7. アルキンメタセシスで誕生!HPB to γ-グラフィン!
  8. 特許取得のための手続き

注目情報

ピックアップ記事

  1. 窒素を直接 “消去” する分子骨格変換
  2. バックワルド・ハートウィグ クロスカップリング Buchwald-Hartwig Cross Coupling
  3. 活性が大幅に向上したアンモニア合成触媒について
  4. リチウムイオン電池の特許動向から見た今後の開発と展望【終了】
  5. 未来の製薬を支える技術 – Biotage®金属スカベンジャーツールキット
  6. 可視光を吸収する配位子を作って、配位先のパラジウムを活性化する
  7. 湾曲したパラフェニレンで繋がれたジラジカルの挙動  〜湾曲効果による電子スピン状態の変化と特異性〜
  8. ペタシス反応 Petasis Reaction
  9. 高活性、高耐久性を兼ね備えた世界初の固体鉄触媒の開発
  10. スクリプス研究所

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2023年6月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP