[スポンサーリンク]

一般的な話題

ChatGPTが作った記事を添削してみた

[スポンサーリンク]

もうすっかりお馴染みChatGPTですが、Nature Chemistry誌のthesisにも取り上げられていましたので、ブログ記事で遊んでみたいと思います。


以前のポストでいくつかのwebページのアドレスを提示して、その内容を参照してChatGPTにブログ記事を書かせるというのを試してみました。概ね可も無く付加もなくといった記事ができあがったと思っていたのですが、筆者の勘違いでどうもChatGPTはちゃんとweb記事を参照していないような気がしています。先日ChatGPT-4にPluginがベータ版で実装されました。その中にWebPilotというpluginがあり、これを使えばしっかりリンク先を参照してくれます。ただし、学術論文誌などのページの多くは公開ではなく有料であり、そのようなページはChatGPTは読み込むことができません。まあ考えてみれば当たり前なのですが。
ということで、現状ではオープンアクセスではないページを学習することはできないことから、まだまだ専門的なことは理解できないんだなという印象です。という訳で今回のポストではNature Chemistry誌に掲載されたMichelle Francl教授のChatGPTに関するthesisをChatGPT-4に手動でちゃんと読み込ませて、その内容に関するブログ記事を作ってもらい、それを元記事をちゃんと読んで添削してみようという企画です。当然アイキャッチ画像はAIに生成してもらっておりますので意味不明ですがご了承ください。消去線は筆者が不要だと思う部分、太字は筆者が追加修正した部分になります。

ChatGPT saves the day

Michelle Francl, Nat. Chem., 2023. DOI: 10.1038/s41557-023-01253-7

–ここから–
こんにちは、Chem-Station読者の皆さん。今日は、AIと化学の交差点について考えてみましょう。特に、大規模な言語モデルであるChatGPTが化学教授の仕事をどのように支援できるかについて、興味深い記事を見つけました。その記事は、化学教授であるMichelle Francl教授によって書かれ、ChatGPTが一日を救うというタイトルがつけられています。この記事を基に、ChatGPTの可能性と限界について考察してみましょう。

ChatGPTとは何か?

まず初めに、ChatGPTについて簡単に説明します。ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルで、自然言語処理(NLP)の一部として機能します。このAIは、人間が書いたテキストを学習し、その知識を基に新しいテキストを生成します。これにより、ChatGPTは質問に答えたり、エッセイを書いたり、さまざまなタスクを助けたりすることができます。

ChatGPTの化学教授への応用

Francl教授は、ChatGPTが化学教授の仕事をどのように支援できるかを探求しています。彼女は、自身の仕事の一部をChatGPTに任せてみることで、その可能性を試してみました。例えば、彼女はChatGPTに「Nature Chemistryのコラムを書いてみて」と依頼しました。しかし、その結果は期待外れで、高校生が書いたような5段落のエッセイが返ってきました。

しかし、彼女は諦めずに、ChatGPTに「もっと生き生きとした文章にしてみて」と再度依頼しました。すると、ChatGPTは次のような文章を生成しました。

「化学教授になることは決して容易なことではありません。学生の教育と指導だけでなく、自分の分野の最新の研究と進歩を追いつける必要があります。それは少なくとも圧倒的なことです。しかし、もし私があなたの生活を楽にする方法があると言ったら?ここにChatGPTが登場します – あなたの一日を救うための人工知能ツール!」

この経験から、ChatGPTが化学教授の仕事を助ける可能性がある一方で、まだ完全には人間の役割を置き換えることはできないことが明らかになりました。

ChatGPTの限界

Francl教授はまた、ChatGPTが化学の問題を解決する能力についても試してみました。例えば、5°Cの温度での氷河水のpHが7である場合、それが酸性か塩基性かを判断する問題です(筆者注:氷水のpHが7の時、5 °Cでは酸性になるか塩基性になるかという問題です)。しかし、ChatGPTはpH7が中性であると主張し、温度が関係ないと誤解していました。これは、ChatGPTがまだ化学の専門的な知識を完全に理解していないことを示しています。

また、他の研究者たちもChatGPTの化学に関する能力を試してみましたが、同様の結果が得られました。例えば、化学者のCayque Castro NascimentoとAndré Pimentelは、ChatGPTが直接的な化学のタスクを遂行する能力を調査しました。[1]その結果、ChatGPTは提供された例の半分以上で配位化合物の幾何学を提供するのに苦労し、化学化合物の正確なSMILES表現を2/3以上のケースで構築することができませんでした。

ChatGPTの可能性

しかし、ChatGPTがまだ完全には化学教授の役割を果たすことはできないとしても、その可能性は確かに存在します。Francl教授は、ChatGPTが難しいメールに対する返信を作成するのを助けることができたと述べています。これは、ChatGPTが特定の管理タスクを助けることができることを示しています。

また、ChatGPTが将来的には化学教授の仕事を大きく変える可能性があることも指摘されています。Edward Felton、Manav Raj、Robert Seamansは、生成的AIモデルが700以上の職業、特に化学の仕事に及ぼす可能性のある破壊的な影響を定量的に評価しました。[2]彼らは、AIによる影響は仕事を廃止する可能性がある一方で、労働者が仕事をする能力を強化する可能性もあると指摘しています。

まとめ

ChatGPTは、化学教授の仕事を助けるための有望なツールであることが明らかになりました。しかし、現時点では、その能力はまだ限定的であり、特に専門的な化学の知識を必要とするタスクには適していません。しかし、ChatGPTが管理タスクを助ける能力を示したことは、その可能性を示しています。

今後、ChatGPTのようなAIツールは、化学教授の仕事を大きく変える可能性があります。それは、仕事を廃止する可能性もあれば、労働者が仕事をする能力を強化する可能性もあります。私たちは、この新しいテクノロジーが私たちの仕事をどのように変えるかを理解し、それに適応するための準備を始める必要があります。

最後に、ChatGPTについてのFrancl教授の考察は、AIと化学の交差点についての興味深い洞察を提供しています。ChatGPTが化学教授の一日をどのように救うかについての彼女の記事は、AIが化学の世界にどのように影響を与えるかについての重要な議論を提供しています。

以上、ChatGPTが化学教授の日々をどのように救うかについての記事の要約と解説でした。このAIツールの可能性と限界についての詳細な議論は、今後の化学の世界におけるAIの役割を理解するための重要な一歩となるでしょう。
–ここまで–
まあ概ね言いたいことは伝わりますし、元の内容を逸脱してはいませんので大した添削もしなくてよかったです。ChatGPTの可能性のところでe-mailの返信を作るという例だけがでていますが、基礎科目に関する学習支援の有効性についての内容が削られています。むしろこっちの方が大事な気がしますが、そこら辺はブロガーの裁量の範囲内なのでまあ仕方ないですね。この辺りの創造性の部分がAIに対抗して我々Biological intelligence (BI)の勝る部分なんだろうなと。

参考文献

      1. Castro Nascimento, C. M.; Pimentel, A. S. J. Chem. Inf. Model. 63, 1649–1655 (2023). DOI: 10.1021/acs.jcim.3c00285
      2. Felten, E. W.; Raj, M.; Seamans, R. Occupational Heterogeneity in Exposure to Generative AI (April 10, 2023). SSRN DOI: 10.2139/ssrn.4414065

関連書籍

ChatGPT仕事術大全 (プレジデント2023年 6/30号) [雑誌]

ChatGPT仕事術大全 (プレジデント2023年 6/30号) [雑誌]

PRESIDENT 編集部
¥760(as of 03/30 00:10)
Release date: 2023/06/09
Amazon product information
ChatGPT 120%活用術

ChatGPT 120%活用術

ChatGPTビジネス研究会
¥1,251(as of 03/30 00:10)
Release date: 2023/05/10
Amazon product information
ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方

ChatGPTの衝撃 AIが教えるAIの使い方

矢内 東紀
¥1,240(as of 03/30 00:10)
Amazon product information
Avatar photo

ペリプラノン

投稿者の記事一覧

有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

関連記事

  1. MI×データ科学|オンライン|コース
  2. スイスの博士課程ってどうなの?3〜面接と入学手続き〜
  3. 有機合成化学協会誌2019年4月号:農薬・導電性電荷移動錯体・高…
  4. 芳香族化合物のC–Hシリル化反応:第三の手法
  5. 化学者のためのエレクトロニクス講座~代表的な半導体素子編
  6. もっとも単純な触媒「プロリン」
  7. 最新プリント配線板技術ロードマップセミナー開催発表!
  8. ポリ塩化ビニルがセンター試験に出題されたので

注目情報

ピックアップ記事

  1. 田辺製薬、エイズ関連治療薬「バリキサ錠450mg」を発売
  2. 電池材料粒子内部の高精細な可視化に成功~測定とデータ科学の連携~
  3. かさ高い非天然α-アミノ酸の新規合成方法の開発とペプチドへの導入~中分子ペプチド医薬品開発に向けて~
  4. スタンリー・ウィッティンガム M. S. Whittingham
  5. ウイルスーChemical Times 特集より
  6. 高知大が新エコ材料開発へ 産官共同プロジェクト
  7. ブレデレック試薬 Bredereck’s Reagent
  8. 有機合成化学協会誌2020年3月号:電子欠損性ホウ素化合物・不斉Diels-Alder反応・ホヤの精子活性化誘引物質・選択的グリコシル化反応・固定化二元金属ナノ粒子触媒・連続フロー反応
  9. シュミット転位 Schmidt Rearrangement
  10. キラルオキサゾリジノン

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2023年7月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー