関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。
最近投稿をサボっていまして久々の投稿となります。
サボっていた分に関しては以下にPDFのリンクを記載しておくので直接ご覧ください。
さて、なかなか難しいテーマの特集が続いていますが、今回の特集は「ウイルス」。ここ3年間では忘れれない用語の1つではないでしょうか。
今号もすべて無料で閲覧可能です。それでは1つずつ簡単に紹介しましょう。(記事はそれぞれのタイトルをクリックしていただければ全文無料で閲覧可能です。PDFファイル)
新型コロナウイルス感染症の検査法
関東化学株式会社 技術・開発本部 生命科学研究所 研究員である、山岡 悠太郎氏による寄稿。タイトル通りCOVID-19に関する話です。発生状況や発生数、検査法の分類と、抗原検査用のモノクローナル抗体の開発について述べています。
図は、掲載されていたCOVID-19発生数の推移ですが、ほとんど見えない2020年4月ぐらいがもっとも謎の病気、生活的にも闇でしたね。もうすぐ5類に分類され、すぐに昔話になりそうですが全世界の人が体験したことって意外にないですよね。
我が国におけるデング熱の現状と対策
2つ目の記事はデング熱。かなり話題になりましたが、COVID-19流行のおかげで遠い昔のように感じます。著者は東京都健康安全研究センター 微生物部 部長の貞升 健志氏の寄稿。デング熱は4類感染症であり、一類~三類感染症以外のもので、主に動物等を介してヒトに感染ものがそれに当たるそうです。記事では、我が国におけるデング熱の現状と 対策について概説しています。図は、デング熱の原因であるデングウイルスの遺伝子構造。+鎖の10,000塩基~11,000塩基からなる RNAウイルスだそうです。
2022年サル痘ウイルス感染症の世界的大規模流行の背景と対策
札幌市保健福祉局・保健所 医療政策担当部長である西條 政幸氏の寄稿。タイトルにあるサル痘ウイルスは2022年5月から流行し始めて、半年で患者数は8万人を超えたそうです。正直、COVID-19でもちきりだったからか知りませんでした。記事では流行の背景や流行対策のあり方などについて解説しています。下図のように、アフリカ諸国が中心なのかなと思いきや、アメリカ大陸や欧州がほとんどだそうです。
ダニ媒介性脳炎治療法開発のための核酸アナログによるウイルス増殖抑制機序に関する研究
長崎大学高度感染症研究センター研究部門ウイルス生態研究分野の好井 健太朗教授による寄稿。マダニが仲介するウイルスは多数ありますが、日本ではあまり知られていないダニ媒介性脳炎(TBE)、そしてそのウイルス(TBEV)について述べています。TBEVに有効な拡散アナログとして、以下の化合物がでてきました。この特集中ではじめてでてきた化合物なので掲載します笑
未知のウイルスを発見し、パンデミックを未然に防ぐ
最後の記事は東京農工大学農学部附属 感染症未来疫学研究センターの水谷 哲也氏による記事。新型コロナを振り返りながら、次の新興ウイルスの出現と対策について考察しています。21世紀はコロナウイルスの時代とも言われていて、多くのコロナウイルスの出現がありました(図参照)。
以上、最近の気になる話題を科学的な見地から読むことができる、ケミカルタイムズ。化学は少なかったですが、興味深く読むことができました。ぜひ読んでみてください。
過去のケミカルタイムズ解説記事
- オピオイド受容体、オレキシン受容体を標的とした創薬研究(2022. No.2)
- フローケミストリー(2022, No.1)
- 無機材料 (2021, No.4)
- 日常臨床検査で測定する 血清酵素の欠損症 (2021, No.3)
- 食中毒と衛生管理の重要性 (2021, No.2)
- 不斉反応(2021. No.1)
- 機能性ナノマテリアル シクロデキストリンの科学(2020. No.4)
- 再生医療関連技術(2020. No.2 )
- 医薬品の品質管理 (2020 No.1)
- 表面処理技術 (2019 No.4)
- HACCP制度化と食品安全マネジメトシステム(2019 No.3)
- C–H活性化反応 (2019 No.2)
- 遺伝子工学ーゲノム編集と最新技術 (2019. No.1)
- 感染制御ー薬剤耐性 (2018.No.4)
- 天然物の全合成研究 (2018. No.3)
- 有機分子触媒(2018.No. 2)
- 分析技術(2018, No.1)
- イオン液体(2017年 No.4)
- 電子デバイス製造技術(2017年 No.3)
- 食品衛生関係 ーChemical Times特集より (2017年 No.2)
- 免疫/アレルギー(2017年No.1)
- 標準物質(2016年No.4)
- 再生医療(2016年No.3)
- クロスカップリング反応 (2016年No.2)
- 薬物耐性菌を学ぶ (2016年No.1)