パソコンは、マウスやキーボードを操作して使うものですが、今回は第三の入力ツールとしてPC作業を効率化できるカスタムコントローラを紹介します。
背景
ワードやパワーポイント、エクセルをはじめとしたパソコンのソフトウェアには、ショートカットキーが設定されており、マウスに触れることなくキーボード操作でいろいろな機能を呼び出すことができます。有名なショートカットはCtrl + Cでコピー、Ctrl + Vなどで、これ以外にもそれぞれで100以上のショートカットがあるそうです。しかしこれまでに幾度となく覚えて作業を効率化しようと思ってきましたが、少し経つと忘れて結局マウス操作に戻ってしまいます。また、自分でショートカットを設定することもでき、例えばキーボードのどこかを押すとケムステが開くなども可能ですが、その時は覚えていても結局忘れてしまい長く使ったことがありません。
そんな覚える必要があったキーボードショートカットやマクロ操作を直感で使用できるツールがカスタムコントローラです。動画配信やAdobe Premiere Pro, Photoshopにおける素早い操作で多く活用されているようですが、汎用性は高くデスクワークの様々な場面で活用できると思い購入しました。
購入機種の特徴
カスタムコントローラはいろいろなモデルが販売されていますが、自分が購入したLoupedeck Live Sは、比較的サイズが小さく安価なモデルです。
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コントローラの主要素は縦3×横5つの合計15個のタッチボタンで、表示させる画像と共にいろいろなショートカットを設定できます。
左端には二つのダイヤルがあり、回して調節するアクションに割り当てられます。さらに左下に一つ、右に三つの丸いボタンがあります。こちらは光らせることができ、色を変更することも可能です。PCとの接続はUSBであり、PCの電源が入ると自動で起動します。
活用場面その1:ホーム画面でのインターネットショートカットの配置
キーの割り当ては、専用のソフトウェアを用いて簡単に設定を行うことができます。
最もシンプルな使い方はインターネットのショートカットを配置することで、特定のソフトウェアが選択されていない時(後で詳述)では良く訪れるサイトのリンクをいくつか配置しています。
ホームページのアイコン(ファビコン)をキャプチャして表示させているので、割り当てを記憶する必要は無く、見た目で訪れたいサイトを選択できます。
もちろん、ソフトウェアのショートカットを設定することも可能です。15個以上のキーの設定も可能で、スマホの画面のようにページを新しいページを作ってキーの設定が可能です。そしてページを移る操作もスマホと同じで、スワイプ操作で次のページのキーが表示されます。
上のダイヤルは音量調節に使用し、下のダイヤルは、Loupedeck のバックライト調整に使用しています。ダイヤルを回すとアクションの内容がすぐ右のキーに表示されるので、操作の間違いも起きにくい仕組みになっています。
活用場面その2:Google Chrome
このカスタムコントローラの素晴らしい点は、ソフトウェアごとにキーを設定できることです。予め設定したソフトウェアが開かれるとキーの設定が自動で変わりアプリ専用のキーとなります。
自分はインターネットのブラウザとしてGoogle Chromeを使用していて、Google Chrome専用のLoupedeck のキー設定は、ホーム画面よりも若干変更しています。
まず、ダイヤルスイッチは、スクロールと表示倍率変更に割り当てました。またGmailでメールを作成するので、定型文を呼び出せるようにしています。ただし、日本語の定型文は半角入力の状態でキーをタッチしないと正しく入力されません。また、文章を設定しても改行が取り除かれてしまうので、一文以上の定型文を設定することは難しいようです。
活用場面その3:ワード
次にMicrosoft Wordでの活用例を紹介します。フォントのスタイルなどを変更する場合、上部のリボンをクリックして操作しますが、この操作もLoupedeck のキーに割り当てることができます。
例えば下付き、上付き文字は化学では多用される機能であり、文章中の文字の変換にはマウスでの操作が伴います。そこでLoupedeck のキーに設定しておけば文章をタイプする際にマウスを触らず、Loupedeckへのタッチ操作だけで完結するとこができます。
活用場面その4:パワーポイント
パワーポイントでもワード同様にショートカットの割り当てが可能です。
Ctrlを使ったショートカットの設定がない場合でも、Altに続けてアルファベットを入力するタイプのショートカットを割り当てることで、多くの機能をLoupedeckのタッチ操作だけで呼び出すことができます。この場合には、一回のタッチ操作で複数の操作を順番に行ってくれるマクロアクション機能で設定します。
マクロの別の活用例としてレーザープリンターの呼び出しがあり、Webの会議などで最初は忘れて、少し経ってからパワポの機能としてのレーザーポインターを呼び出すことがあります。そこで、スライドモードに変更+レーザーポインターの呼び出しをマクロで設定しておけば、ワンタッチでレーザーポインターになった状態から全画面のスライドショーを始めることができます。
マルチトグルという機能もあり、これはボタンを押す回数によって機能が変化します。例えば、コピーの次にペーストを設定することで、同じ場所をタップしてもコピーとペーストを交互に行うことができます。
活用場面その4:ChemDraw
有機化学者の皆さんお待たせしました。最後にChemDrawで使えるかどうかを確認したところ、問題なく動作しました。ホットキーのシートがキーの設定には大変有用で、頻繁に使う官能基をショートカットとして設定することができます。
また、他のCtrlやAltを使うも同様に設定し機能を呼び出すことができました。Chrome同様、調整ダイヤルは拡大縮小に割り当てると、素早く画面の表示サイズを変更できます。残念ながら分子を組み上げることは、マウスの位置をコントロールする必要がありLoupedeckのキーだけではできませんでした。
膨大なショートカットを覚えることなく、Loupedeckに表示された官能基をタッチするだけでその構造を描くことができるので作業効率の向上に役立つかと思います。
一般的なソフトウェアは一通り試しましたが、どのソフトでもショートカットの設定を中心に使えることが分かりました。タッチすると軽快な音がLoupedeckから鳴るので何度でもタッチしたくなります。また調整ダイヤルも適度な感触があり、気持ちよく操作できます。上記以外にもWindows向けのショートカットが準備されているので、ファイルやフォルダの操作にも役に立ちます。またエクセルでは、関数の呼び出しに有用かもしれません。さらにアイディア次第でいろいろな操作に応用が可能ですので、ショートカットなどを全力で活用したい方は購入してみてはいかがでしょうか。