みなさん、CAS Future Leaders Programについて、、おききした事はありますでしょうか?
ケムステでも何度か紹介したことがあり、ご存知の方も多いかもしれません。
CAS が主催するこのプログラム。これまでの参加者のコメントを見ても、非常にお得!!!かつ楽しそうです。参加したい!!!
プログラム内容の詳細は今までの記事を参考いただくとして、今年も!ケムステで昨年参加者の藤井郁哉様にインタビューを行いました!
正直、自分の応募用に情報隠したいくらいなのですけど….щ(`∀´щ)ウケケ。ケムステ読者さんにはシェアしちゃいます!
プログラム内容から、応募のコツまで。ご確認ください。どうぞ!
藤井さんは何者なのか!
Q1. 自己紹介をお願いします!
京都大学大学院 工学研究科 中尾研究室の博士後期課程3年の藤井郁哉と言います!新規複核金属錯体の合成,およびそれらを用いた新規触媒反応の開発に従事し,主に炭素-フッ素結合などの不活性結合変換に焦点を置いて研究しています。普段からChem-Stationを通して学ぶことも大変多く,このような機会をいただけて光栄です!
代表論文
Inorganics 2019, 7, 140.
J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 11647–11652.
Org. Lett. 2022, 24, 3075–3079.
どのようなプログラムなのか
Q2. どのようなプログラムでしたか?記憶に残っていることを教えてください。
日本ではお盆期間の8月15日から8月25日の約2週間のプログラムでした。前半では,オハイオ州コロンバスにおいて,参加者と様々なワークショップに参加し,交流を深めつつ,リーダー・メンターとして備えるべき知識や考え方を学ぶことができました。後半には,イリノイ州シカゴにて米国化学会秋季大会に参加しました。今年からは,秋季大会に参加するだけでなく,自身の研究を発表する機会もいただくことが出来ました。さらに,本プログラムの過去の参加者を交えたネットワーキングイベントを開催していただき,縦の繋がりも築くことができました。
特に記憶に残っている点は,コーチング・メンタリングのワークショップです。講義を受けた後,プログラム参加者とグループを組み,それぞれの設定のもとロールプレイを行いました。日本語ですら取り組むことが大変な議論を英語を用いて行うことには苦労しましたが,とても勉強になりました。日本ではコーチングに焦点を絞ったワークショップはまだ珍しいので,貴重な経験でした。その他,本プログラムが用意して下さったイベント全ての規模・クオリティが私の想像を超えて毎日衝撃を受けました。
Q3. 他の参加者はどのようなバックグラウンドの方が多かったですか?(専門と国籍、所属大学等)
参加者は29名おり,約10名の博士課程学生および約20名の博士研究員でした。出身国の多くはアメリカではありましたが,英国,カナダ,ブラジル,オーストラリア,スイス,シンガポール,韓国などでした。所属機関は主に著名な大学が多かった印象です。例えば,カリフォルニア大学バークレー校,マサチューセッツ工科大学,スタンフォード大学,オックスフォード大学などから参加されていました。その他,国立研究所,NASA,ノバルティス,メトロポリタン美術館など,私が想像していなかった機関からの参加もあり,多様な背景を有した候補者を選んでいることが見て取れます。研究分野も多様性に富んでおり,有機合成化学や生化学が比較的多かったですが,材料化学,環境化学,計算化学,化学教育など幅広い領域にわたっていました。各参加者の研究領域や出身国によって,研究内容や研究環境が異なり興味深かったです。様々な人と交流できる点は素晴らしいと思いました。
Q4. 参加して良かった、悪かった点を教えてください!
やはり全世界の多様な研究領域に勤める志高い若手研究者達と親睦を深めることが出来た点が一番良かったと思います。本プログラムも年々洗練されてきているみたいで,参加者同士が打ち解けるようなプログラムが多数用意されており,すぐに仲良くなれる環境は整っています!また二週間にわたって全ての旅費や宿泊費などを支援していただきながら,クオリティの高いワークショップやイベントに参加出来たことは,これ以外のプログラムでは経験できないことだと確信しています。また,過去の参加者を含めたグループが作成され,プログラム終了後も長く交流を続けることができる体制ができています。悪かった点は一つもありませんでした,この記事をご覧になった博士課程学生または博士研究員の方はこのプログラムにトライする以外の選択肢はないと思います!
どうやってエッセイを書けばいいのか?
Q5. どのようなエッセイをかかれたのでしょうか?
エッセイで問われていることは,例年とほぼ同じで①これまでの研究と将来のゴール,②SciFinderの価値を述べるということです。基本的にはChem-Stationに過去に寄稿されている参加者の方達のアドバイスをもとに,エッセイを作成しました。個人的に気をつけた点は,過去の日本からの参加者は主にケミカルバイオロジー領域の方が多い印象だったので,いつもより出来るだけ規模を大きくかつシンプルに取り組んでいる触媒反応開発の意義や強みを前面に押し出すように作成しました。SciFinderの価値に関しても,自分の具体的なエピソードに加えて,最近のSciFinderの進歩を交えながら如何にSciFinderが研究を進めるにあたって重要な役割を担っているのか,将来への可能性なども踏まえて物語調で作成しました。その他,色んな分野の人に意見を伺いながら,ネイティブの方に添削をお願いして自然な言い回しを使うように心がけました。
Q6. どのような点が見られていると感じましたか?
私自身,採択されたことにただただ驚いていたので明確な点は定かではありませんが,エッセイをクリアに・壮大に・尖らせて作成することが大事なのだと思います。上述のように,壮大な夢・志を持つ多様な若手研究者を全世界から集めていることは間違いありません。従って,審査員がすぐに理解できるように,自身の専門分野や考え,アイデンティティーを明確に主張する必要があると思います。あと過去の参加者も書かれているように,日本からの応募はまだまだ少なくチャンスは大きいと思います。一つ驚いたことに,アメリカからの参加者からはこれが3回目の応募だったということを聞きました。複数回応募してやっと通過できるくらい競争率が高く魅力的なプログラムだということです。
来年以降の応募者へのメッセージ
Q7. 参加前に準備しておけば良かったことはありますか?
もっと全参加者の研究内容などを頭に入れておけば良かったなと思いました。もちろん会話を通じてお互いの理解を進めていけるとは思いますが,参加人数も30人程度と多く残念ながら深くまで研究を理解するまでには至りませんでした。“化学”という共通話題を通してさらに熱く議論できれば良かったな,と僅かながら後悔しております。
Q8. 後続への激励の言葉をお願いします!
とりあえず応募してみましょう!私も全く自信がない中で応募してみましたが,幸運なことに採択され,素晴らしい仲間と素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。CAS Future Leadersプログラムでは,言葉では表し尽くせない夢のような時間を過ごせます。世界各国の活発な若手化学者たちと寝食を共にすることで「強く太いつながり」を築くことができるでしょう。英語力を心配に思うかもしれませんが,自分の考えをしっかりと持ち,その考えに自信を持って話すことのほうが大切です。それができるかどうかは,英語を流暢に話せるかどうかとは関係ないように感じました。自信を持って英語でコミュニケーションができるよう普段から意識していれば,プログラムで提供されることすべてを余すところなく体験できます。
最後に,素晴らしいプログラムを提供していただいたCASの皆様,普段から熱心に研究指導していただき,推薦書も快く作成していただいた中尾教授,様々なアドバイスをいただいている仙波先生,大澤先生および中尾研究室の皆様に感謝申し上げます。化学情報協会様のページにてさらに詳しいインタビュー記事もあるので,よろしければそちらもご覧ください!もう応募も開始しているみたいなので,すぐに取り組みましょう!
以上です!!
今年の応募も始まっています!是非是非、みなさん応募してみませんか?
藤井さん、ありがとうございました!!!