私事 (?)ですが、ケムステのスタッフに参加してかれこれ5年
有機反応を俯瞰するシリーズ
ケムステスタッフに参加した始めの1-2年間ほどに注力した連載
ちなみに「俯瞰する」
以下は、本シリーズの中でアクセス数が多い記事と個人的に好きな記事です。
有機反応を俯瞰する ー縮合反応
本シリーズ内のみならず、自分が書いたすべての記事の中で最もアクセス数が高い記事だそうです。公開から5年ほど経ちましたが、ここ数年は毎年 10 万程度のアクセスがあるらしいです。高校化学でも習うエステル化反応を記事の出発点にしているため、読者層が広いことが理由だと思います。
有機反応を俯瞰する ーシグマトロピー転位
ケムステスタッフとして加わったときに一番初めに書いた記事です。今見ると、やや粗削りな文章と説明な気もして恥ずかしいですね…。
有機反応を俯瞰する ーリンの化学 その 1 (Wittig 型シン脱離)
アクセス数はそんなに高くないのですが、個人的なお気に入りです。お気に入りの理由は、多くの有機化学の教科書では詳しく書かれていない、「リンと酸素の親和性」に関して説明を加えているからです。それまで、 C, H, N, O 以外が関わる有機化学反応に関して、苦手意識を持っていましたが、この記事を書くプロセスの中で、 「CHNO 以外の元素の性質も各論的に覚える必要はなくて、周期律で理解できる」ことに気づきました。
その他の記事は、こちらのまとめ記事からアクセスできます。
有機反応を俯瞰するシリーズ ーまとめ
アメリカでPhDを取るシリーズ
海外大学院受験と入学後の学生生活を綴ったブログです。
あと、これらの記事の影響が今頃になって出てきたのか、
以下は、本シリーズの中でアクセス数が多い記事と個人的に思い入れがある記事です。
アメリカで Ph.D. をとる -結果発表ッーの巻-
出願準備シリーズの最後の記事です。新しい読者の方はご存知ないかもしれませんが、私はアメリカの大学院2年連続で出願して、1年目のときにはすべて不合格の通知を受け取りました。そのときの結果報告の記事です。留学を志した経緯や、当時の悔しい思いがありのまま書かれています。つらいときや落ち込んだ時にこの記事を読むと、昔の自分に恥ずかしくないように頑張ろうと思えるし、自分は今のボスに拾われた幸運な人間であることを再認識させてくれる記事です。この記事は公開にすごく勇気がいりましたが、今では書いてよかったと思えます。
Visiting Weekend 参加報告 (後編) 【UC Berkeley, Caltech 編】
私が大学院に出願したときは、研究内容と大学ランキングなどを主に参考にしながら出願先を選びました。そして visiting student として Berkeley で過ごした体験から、「UC Berkeley は化学の最高峰の大学である」と信じて、盲目的に UC Berkeley を進学先に選びました。しかし、大学院生をリクルートするためのイベントであるvisiting weekend に参加して「確かに Berkeley の化学は素晴らしいかもしれないけれど、UC Berkeley が化学を学ぶすべての学生にとって最適の選択肢なわけではない」ということに気づかされました。というのも、UC Berkeley では指導教官が大御所すぎて、指導スタイルが放任型になりがちだからです。放任主義な指導スタイルを逆手にとって、いい意味で自分のペースで自由奔放に研究することができる学生には天国のような場所かもしれません。私は学部時代の研究経験が乏しかったので、ある意味 Berkeley には “向いてない” 学生だったと思います (少なくとももしも似たような境遇の学生から 「Berkeley に行きたい」と相談を受けたなら、応援はしますがおすすめはしません)。実際、私は大学院に入学した直後の1,2年は研究方針について完全に迷子になっていましたし、今でも四苦八苦しています。そういった経験から「日本で修士を取ってから来た方がよかったのかもしれない」と思う日々もありました。
やや話はそれましたが、 Visiting weekend はアメリカの大学にはランキングでは表せない個性があることを教えてくれたイベントで、そのことをまとめた記事です。この記事は、これからアメリカの大学院を志願する学生に届けたい情報です。ちなみに、上では少しネガティブな感情を書いているように見えるかもしれませんが、今は、私は Berkeley を選んだことに関しては全く後悔していませんし、今の研究室で研究できることを誇りに思っています。知り合いの方がこの記事を読んでいたらご心配なさらずに。
大学院から始めるストレスマネジメント【アメリカで PhD を取る: オリエンテーションの巻】
これはお気に入りでもなく、思い入れがあるわけでもなくて、もう少し周知されてもいいのでは? と思っている記事です。大学院生活、とくに博士課程はストレスフルです。人がメンタルが弱っているときに陥りやすい思考の罠を知っておくことは、メンタルヘルスを維持するうえで重要かと思います。
アメリカの大学院生だってパーティするっつーの! 【アメリカでPhDを取る: Qualification Exam の巻】
ネタです。しかし、Beer pong や Thunderstruck などを紹介しており、アメリカに留学される方にはぜひ読んでほしい内容かもしれないです。
化学者だって数学するっつーの!シリーズ
「有機反応を俯瞰する」に並ぶ、
- 化学者だって数学するっつーの!【シュレディンガー方程式と複素数】
- 化学者だって数学するっつーの!【定常状態と変数分離】
- 電子が非局在化するとなぜ安定化するの?【化学者だって数学するっつーの!:井戸型ポテンシャルと曲率】
- 分子の対称性が高いってどういうこと?【化学者だって数学するっつーの!: 対称操作】
- 群ってなに?【化学者だって数学するっつーの!】
- 分子の点群を帰属する
最新論文解説シリーズ
2 年ほど前から不定期的に描き始めました。
ちなみに「勉強のため」というのは、
- 多孔質ガス貯蔵のジレンマを打ち破ったMOF –質量でもよし、体積でもよし– (Science, 2020)
- MOF内の水分子吸着過程の解析とそれに基づく水蒸気捕集技術の向上 (Science, 2021)
- d8 Cu(III) の謎 -配位子場逆転- (JACS, 2019)
- 窒素を直接 “消去” する分子骨格変換 (Nature, 2021)
- 金属-金属結合を持つ二核ランタノイド錯体 -単分子磁石の記録を次々に更新 (Science, 2022)
金属-有機構造体 (MOF) のデータベース
MOFは、1990年代後半から活発に研究されるようになった比
- 金属-有機構造体 / Metal-Organic Frameworks
- MOF-74: ベンゼン環が金属鎖を繋いで作るハニカム構造
- MOF-5: MOF の火付け役であり, MOF の代名詞
- HKUST-1: ベンゼンが囲むケージ状構造体
- UiO-66: 堅牢なジルコニウムクラスターの面心立方格子
周期表あれこれ
シリーズというほどではないのですが、周期表に関する記事をいくつか投稿しています。結構お気に入りです。
- 周期表の歴史を振り返る【周期表生誕 150 周年特別企画】
- 周期表の形はこれでいいのか? –その 1: H と He の位置 編–
- 周期表の形はこれでいいのか? –その 2: s ブロックの位置 編–
- 周期表の形はこれでいいのか? –上下逆転した周期表が提案される–
他にも紹介したい記事はたくさんありますが、
関連記事
- Chem-Station で記事を書いてみませんか?【スタッフ募集】
- 【金はなぜ金色なの?】相対論効果
- 高専の化学科ってどんなところ? -その 1-
- 波動·粒子二重性 Wave-Particle Duality: で波動性とか粒子性ってなに?