さてことしも9月半ば、ノーベル賞シーズンが到来します!化学賞は日本時間 10月5日(水) 18時45分に発表です。
昨年のノーベル化学賞は有機合成化学どまんなか「不斉有機触媒の開発」において顕著な業績を果たした、二人の化学者(デヴィッド・マクミランおよびベンジャミン・リスト)に授与されました。
有機化学に授与されるだろうという見通しに加えて、前々から注目されていた大本命分野のひとつだったので、的中者はやはりたくさん出ました。
この勢いをそのままに、今年もやりますケムステノーベル賞予想企画!2年前よりSNSハッシュタグでの応募形式を採用していますので、お気軽にご参加いただけます。
「この化学者に違いない!全くわかんないけどこの化学者っぽい!」・・・とする各自の予想を、
というハッシュタグをつけて、SNS(Twitter・Facebook)でつぶやいて頂きます!後ほどハッシュタグを足がかりに的中者を追跡し、当選5名にAmazonギフト券10,000円をプレゼントします。
毎年恒例、
『SNS予想で盛り上がれ!2022年ノーベル化学賞は誰の手に!?』
参加の仕方
下記の受賞予想と2022年の候補者リストを参考にしながら、お持ちのSNSアカウント(Twitter・Facebook)またはケムステSlackで、
というハッシュタグを付け、受賞が予想される化学者名と受賞理由をつぶやいて下さい。必ず
化学賞はなかなかズバッと当てられないので、今年、1アカウントあたりの予想投票数は上限無しとします。つまり気軽につぶやけばつぶやくほどチャンスは増えます!! アカウント種の個人・団体は問いません。
見事予想的中に至ったつぶやきは、可能な限りケムステスタッフが回収して抽選に附し、当選者にAmazonギフト券10,000円をプレゼントします!今年は当選者 最大5名です!
リストには全ての候補者が網羅されているわけではありませんので、自分が予想する化学者がリストになくても、自由につぶやいていただいてOKです。良さそうな候補者は、こちらでも適宜リストに追記させていただきます。
発表直前(10月5日(水) 18時44分59秒)までに行われたつぶやきを有効投票とします。滑り込みでもOKですので、ぜひぜひご参加ください!
※受賞理由・ハッシュタグが書かれていないと有効投票には成りませんので、必ず記載くださいね!
以下、いつものようにいくつかの資料・ケムステ独自の考察と予想を、投票の参考資料として記載します。
受賞分野の周期表 (1970-2021)
例年掲載している受賞分野一覧表、昨年の業績は有機化学として、上記のとおりアップデートしています。いつも通り、傾向として見て取れるのは下記の通り。
1. 圧倒的に有機化学、生化学分野からの受賞が多い
2. 有機化学は4〜5年に一度のペースで受賞している
3. 生化学は近年だと10年で4~5回の受賞ペース、うち半数は構造生物学領域
4. 分析化学や理論化学からは授賞間隔が長い
5. 物理化学、無機化学は少ない
6. ここ数年は、単一分野に当てはめにくい研究業績が増えている
化学の世界が複雑化するにつれ、求められる分析結果も高度さを増しています。長く受賞者の出ていない物理化学領域・分析化学領域の関連で、受賞があるかもしれません。さらには近年の潮流として、機械学習の爆発的な普及が無視できません。AlphaFoldに代表されるデータ駆動型アプローチは、科学の世界に現在進行形で革命をもたらしています。その基礎を築いた理論化学・計算化学分野の成果へも、予想妙味が出つつあると感じられます。
登竜門賞の受賞者
ノーベル賞の対象となる学者には、その前に有名国際賞を授与されることがよくあります。受賞者をチェックしておけば、可能性の高い化学者が絞れるかも!? 化学賞と親和性の高い賞に加え、存命日本人化学者(受賞年)の一覧も記しておきます。
化学系
- ウルフ賞:藤田誠(2018)
- ロジャー・アダムス賞:山本尚(2017)
- プリーストリーメダル
- ベンジャミン・フランクリンメダル:澤本光男(2017)
- ロバート・ウェルチ化学賞
総合系
生命・医学系
他メディアの予想:2022年版
① クラリベイト・アナリティクス社 「引用栄誉賞」
毎年発表されている賞ですが「各分野の論文引用数が上位0.1%である」という客観的データをもとに、現在注目を集める分野を育てた化学者を選び出しています。受賞予想企画の一面もあるとされています。過去の受賞者からもノーベル賞受賞者が多く出ていますので、参照価値は高いでしょう。ただ個人的には「受賞後すぐさまノーベル賞」という性質でもない印象を持っています。少し前に受賞した化学者をチェックするのが的中の近道かも?
今年は以下の3分野が選ばれています。ケムステの紹介記事はこちら。
・柔軟な「電子皮膚」を含む、有機および高分子電子材料の新しいバイオミメティック・アプリケーションの開発:Zhenan Bao
・化学伝達システムとしての、クオラムセンシングによる細菌の遺伝子発現制御の研究:Bonnie L. Bassler、E. Peter Greenberg
・プロトン結合電子移動(PCET)とそのエネルギー科学および生物学への応用に関する基礎的な実験および理論的貢献:Daniel G. Nocera
②各種メディアの論評記事(随時追記予定)
今回もリンクだけをご紹介します。各自でお読み頂き、予想にお役立て下さい。
- 今年のノーベル賞、日本人は何分野で受賞する? 近未来予想クイズ(読売新聞)
- 担当記者泣かせのノーベル化学賞 今年の注目は(毎日新聞):ケムステ代表がインタビューされています。
- ノーベル化学賞は「生化学」が有力か mRNAワクチンや光合成研究(朝日新聞)
- 株、ノーベル賞もし日本人受賞なら 今年の関連銘柄点検(日本経済新聞)
- 【ノーベル賞】発表の瞬間を3日間 生実況解説(ニコニコインフォ)
- ノーベル賞2022特設サイト(NHK)
③ケムステ版ノーベル化学賞候補者リスト:2022年版
いつもの通り、各媒体の情報を総合した上で、分野別にリストアップしています。今年も別ページにまとめました。→ こちら
全ての候補者が網羅されているわけではありませんので、良さそうな候補者は随時リストに追記させていただきます。
ノーベル賞委員会の審査員リストから洞察する
ケムステでは6年前から、「受賞発表を担当する委員会メンバーの専門分野」が的を絞るための情報として有効と考え、予想に活かしています。
これまでの発表担当者と専門分野、受賞成果の対応関係は下記の通り。きわめて良い一致を見せています。
- 2015:Claes Gustafsson(生化学・遺伝子工学)→「DNA修復機構」
- 2016:Olof Ramström (有機化学・超分子化学) →「分子マシンの設計と合成」
- 2017:Peter Brzezinski(生化学・生物物理)→「クライオ電子顕微鏡」
- 2018:Sara Snogerup Linse(生化学・タンパク質科学)→「進化分子工学研究への貢献」
- 2019:Olof Ramström(有機化学・超分子化学)→「リチウムイオン電池」
- 2020:Claes Gustafsson、Pernilla Wittung-Stafshede(生化学)→「ゲノム編集」
- 2021:Peter Somfai(有機化学・有機合成化学)→「不斉有機触媒」
昨年の予想では、以下のように述べました。
今年の説明者は希望も含めて、Peter Somfai と予想します。こうなるとほぼ間違いなく、有機合成化学が来るでしょう。
実際の説明者(Expert)は予想通り、Peter Somfai でした。2020年度から加わったサポートメンバーPernilla Wittung-Stafshedeも登場し、有機合成化学となりました。Pernilla Wittung-Stafshedeが基本的な受賞理由を説明して、ExpertであるPeter Somfaiがより詳しく説明するという感じですね。
というわけで完全に予想が当たりました(分野と人を完全に言い当てることはできませんでしたが)。
というわけで、今年も以下のルールに則り、受賞発表担当者を予想します。
- 議長・主事メンバーの分野からは選ばれることがない(2020年はサポートメンバーが説明者となり選ばれました)
- 残りのメンバーの分野に近いものがノーベル賞として選ばれる
さて、今年の化学賞審査委員会のメンバーは・・・・
Claes Gustafsson 2015年「DNA修復機構」2020年「ゲノム編集」Professor of Medical Biochemistry
Peter Somfai 2021年「不斉有機触媒」Professor of Organic Chemistry
Peter Brzezinski:2017年 (主事) 「クライオ電子顕微鏡」Professor of Biochemistry
Olof Ramström:2016年 「分子マシンの設計と合成」「リチウムイオン電池」Professor in Chemistry
Heiner Linke:なし Professor of Nanophysics
Johan Åqvist :(議長) Professor of Theoretical Chemistry
の6名です。昨年と全く変わっていません。Johan Åqvistは長年いますが、まだ1回も説明してないまま議長になってしまい2年目です。Heiner Linkeはサポート役からのメンバー入り2年目です。そうなると、理論化学か、ナノ物理分野?と予想できます。
しかし一昨年から追加されたCo-opted membersというコミッティーメンバーのサポート役も要注意です(一昨年から変更なし)。
Pernilla Wittung-Stafshede:「ゲノム編集」Professor of Chemical Biology
Xiaodong Zou:Professor of Inorganic and Structural Chemistry
上述しましたが、Pernilla Wittung-Stafshedeが、一昨年のゲノム編集をExpertとして、昨年の不斉有機触媒の前置きをしましたので、おそらくでてこないだろうと考えます。もしサポート役に説明(Expert)が回るのならば、藤田誠教授やオマー・ヤギー教授が共同研究者に入っているXiaodong Zouになります。
ケムステ版予想:2022年ノーベル化学賞はこれだ!?
そういうわけで、理論化学も捨てきれませんが、今年の説明者はHeiner Linkeと予想します。こうなるとナノ物理分野が来るでしょう。
受賞者の特定はいつもどおり難しいですね。物理学、物理化学的に貢献しているナノサイエンス。なんとなく無機材料っぽい感じもしなくもないです。
2年連続で予想にあげてはずしていますが、一昨年の引用栄養賞を受賞した
ナノ結晶の合成と広範な応用:Moungi G. Bawendi (モウンジ・バワンディ)、Christopher B. Murray (クリストファー・ミュレイ)、Taeghwan Hyeon(テファン・ヒョン)
を予想します。Xiaodong Zouが出てくる可能性も考えて、無機材料っぽいものと予想するならば、あえて日本人で
超伝導体材料の開発:Hideo Hosono (細野 秀雄)、Yoshinori Tokura(十倉 好紀)
も予想に加えておきます。
さて皆さんはどんな予想をしますでしょうか?
タグとともに、今回もTwitter、Facebook、ケムステSlackなどで盛り上がっていただければ幸いです。
それでは日本時間 10月5日18時45分を楽しみに待ちましょう!