以前のケムステ記事で、Springer Nature社が独・メルク社と共同で、動画コンペ「Science in Shorts」を開催するという話題をご紹介しました。
内容をおさらいすると、
「ネイチャー関連の雑誌に論文出した人は、科学関連の動画の投稿資格あげます!Top 10の動画には5000ユーロあげます!」
という企画です。
ホームページによれば、
• 動画は1分のショート動画形式
• 視聴対象は一般層
• 動画の目的は「多くの人に研究に触れてもらい、楽しんでもらうこと」
とのこと。
このコンペにエントリーしてみた猛者がなんと身近に居ました。化学×エンタメの境界領域で絶賛ご活躍中の、我らが古川俊輔先生(埼玉大学・助教)です!スポットライトリサーチでも紹介したNature Communications論文を題材に、実際に動画を作ってエントリーしてみたそうです。
古川先生に応募体験記の顛末を寄稿いただきましたので、今回ご紹介したく思います。その卓越したセンスに刮目せよ!!
投稿動画の結果と供養
なぜ応募したか…?それは、たまたま応募資格があったのと、普段から動画作っていることもあって、気分転換的に応募してみようかな(でも時間ないな…)ということで。
結果から先にお伝えすると、Top10入りは逃してしまって、審査員の方から「非公式な特別賞(special commendation)」というリップサービスをいただきました。どうやら作った動画がカオスすぎたようです。
動画の供養の意味も込めて、読者の皆さんにはぜひ動画を見ていただきたいです。世界のジャスティン「STAY」のパロディです。音源・歌詞・歌・演者・撮影・編集、全部がんばりました((株)FRACTALの境くんにも撮影協力いただきましたありがとうございます)。こだわりポイントは、原曲の歌詞を限りなく維持したまま、まどろっこしい研究論文の概要に寄せたところです。
しかしどうやら先方が求めていた動画は、「あなたの研究分野の一般的な紹介/導入」を数多の人に広げるものだったようです。応募資格が”Nature関連誌に論文出した人”だったので、僕はてっきり「投稿論文の内容を一般層に分かりやすく紹介」するものだと勘違いしてしまいました(はじめそう言ってなかったっけ?)。科学バックグラウンドのある審査員さまにはドハマリしたようですが、
” Unfortunately, due to the advanced nature of the scientific content, we will be unable to publish or archive it. Given this, we are also unable to offer an official Special Commendation award, though our judges were keen to let you know how much we enjoyed your video.” ― Nature編集部からのメール(得がたい賛辞?)より引用
ということで、Nature側から動画が公開されることもなく、なんの賞にもなりませんでした笑
第一回ということで、企画側も探り探りだったんじゃないかと思うのですが、動画の投稿締め切りが2022年2月末日で、結果が発表されたのが同年7月中旬でした。だいぶ待ちました。CURIOUS2022という国際学会で動画コンペの結果発表があったらしいのですが、私は参加できませんでした。後からNatureの中の方からご丁寧にメッセージいただいた流れです。
次回も開催されるようです
この動画コンペ「Science in Shorts」は次回(2023年)も開催されるようです。まだ詳細はwebサイトにも記載はありませんが、応募資格のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。今回Top10に選出された動画がwebサイトから見られます。どんな程度が求められているのか、初回と違って把握しやすいと思います。カオスで誰にも理解されないお蔵入り動画はもうたくさんです。
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