Biotage の新型自動フラッシュクロマトシステム Selekt のバリュープライス版が早くも登場しました。その名も Selekt Enkel です!
Isolera から刷新された Selekt のスタイリッシュなフォルムとユーザーインターフェースはそのままに、機能を厳選することによって低価格化を実現した Selekt Enkel、そのデモ機をお借りすることができたので使用してみました。
筆者は Isolera One 及び Isolera Prime をルーチンで使用しており、従来版の Selekt は触ったことがありませんでした。Selekt の体験記事に関しては「フラッシュ精製装置「バイオタージSelekt」を試してみた」をご覧ください (使用動画もあります)。というわけで廉価版からの Selekt シリーズ初体験となったのですが、これが実に使いやすくて感動しました。なんと言っても大型の綺麗なタッチスクリーンでの直感的な操作がたまりません。TLC やラックの設定も Isolera シリーズより格段に楽で、電源 ON からクロマト開始までに要する時間も大幅に短縮されています。
左が Selekt Enkel。Isolera Prime よりもスクリーンが大きくなっています。
従来版 Selekt と Selekt Enkel の比較
二機種の大きな違いをかいつまんで説明すると、Enkel は従来版 Selekt の半分の機能に抑えられているということになります。溶媒ラインは従来版: 4 ライン → Enkel: 2 ライン、最大流速は従来版: 300 mL/min → Enkel: 150 mL/min、最大圧力は従来版: 30 bar → Enkel: 15 bar、といったところです。筆者はあまり流速や圧力をガンガンにかけないタイプなので気になるのは溶媒ラインだけでしたが、既に4 ラインの Isorela One を持っており、基本は酢酸エチル/n-ヘキサン系しか使わないのでそこも問題ありませんでした。また従来版 Selekt は検出器として UV-Vis も搭載されていますが、Enkel は UV のみです。ただし Enkel は Selekt 同様に、2 波長検出を標準搭載、全波長検出にもオプションで対応しています。
感想
- デモの結果、購入したいか? → はい。是非とも。懐事情から今年度は厳しいのですが、自動カラムを増やしたいこともあって来年度予算に計上しようと考えています。使い始めて割とすぐ決心しました。
- Isolera から移行しやすいか? → Enkel を使って特に操作に悩むことはなかったです。正直、マニュアルちゃんと読まなくていきなり稼働させても最低限使えました (マニュアルは読みましょう)。 Isolera を既に使用したことがあれば移行はスムーズだと思います。「フラッシュ精製装置「バイオタージSelekt」を試してみた」でも述べられていましたが、Selekt は Isolera シリーズの「いいとこどり」という感じで、Biotage ユーザーなら操作に迷うことはおそらくないでしょう。
- 価格は実際安いか? → このレベル・スタイリッシュさの自動クロマトシステムとしては十二分にリーズナブルだと思います。
- 従来版と Enkel どっちを買うべき? → アカデミックラボで用いる分には、合成の規模にもよりますが、予算とスペースがあれば従来版1台よりEnkel 2台の方が稼働効率も上がって良いんじゃないかと思いました。もちろん機能は制限されているので、比較的大スケールの精製をこなしたいなら従来版だと思いますが、例えば筆者のところのような数百ミリグラムスケールを扱うことが多いメドケム・ケミカルバイオロジー系のラボなら Enkel で大満足、という感じです。
キャンペーン情報
2022年12月末まで、「Biotage® Selekt Enkel 新発売 アカデミックキャンペーン」と題して、Enkel をさらにお買い得に購入できるキャンペーンが開催されています!
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