滞在先でドックトレーナーとして名を馳せた筆者とシベリアンハスキーとの成長記録を描いた「犬とリビングと私」を随想する予定でしたが,種々のnastyを連呼して各方面から怒られる気がしたので,代わりに数回に渡ってアメリカングルメシリーズをご提供します。
ポンコツシリーズ一覧
国内編:1話・2話・3話 国内外伝:1話・2話・留学TiPs
第5話:ポンコツ博士,食文化を探究す
実験の目処がたった筆者は,更なる日常生活の充実を目指した。実は最近,重大な悩みを抱えていた。正直に懺悔すると,ホストママは料理下手っぽいのだ…。
基本的にホストのディナーはファストフードである。その場合,筆者は栄養バランスを考慮した和食ベースの献立でストレスなく自炊していた。一方,ホストママが家に居る場合,クミンテイストのかなりスパイシーなチキンライスを5合ぐらい炊いてくれるので,これを食べる必要があった。しかし,お米を炊く水分量を間違っており,パッサパサなスパイシー料理が提供されていた。どのルームメイトもやんわり断って手をつけないことから,筆者と犬が定期的に処理していた。好き嫌いがない筆者にとって食費が節約できることはハッピーであったが,辛いものが比較的苦手なため,うれしい悲鳴であった。
このような背景のもと「ホームシックになりやすい1番の原因は食文化ではないか…?」説を掲げた筆者は,アメリカングルメを探究することにした。ちなみに,ホスト飯は炒めた玉ねぎとチーズで煮込んでリゾットっぽくすると美味しく食べられることを見出した。その他,様々な条件検討を行ったが,いずれの条件もスパイシーさが貫通した。
ポンコツ探究家,バーガー文化を思考する
アメリカといえばファストフード。ファストフードといえばHambugerであろう。筆者はまずバーガー文化の調査を試みた。
アメリカのバーガー店は,日本人からすると明らかにHambugerだが,Sandwichの表記が多かった。典型的な例としてケンタッキーのバーガーは全てSandwichだった。どうやらHambugerとSandwichに明確な違いがあるようだ。
Sandwichの語源は,イギリス貴族のSandwich伯爵級であったジョン・モンタギュー四世が,カードゲームしながら食事ができるようにパンに具を挟んだ物を作らせたことで「Bread and ○○」を「Sandwich」と呼ぶようになった説が有力である(諸説あり)。したがって,Sandwichの歴史は古く,Sandwichの中でハンバーグを挟んだものをHambugerと呼ぶようになった可能性は高い。
あれこれ考えていると心の中のリトルポンコツが「いや,真面目に実験しろ」と囁いたので,文献調査を諦めてとっととググることにした。幸い,日本のハンバーガー屋さんの解説があり,100%牛肉パティを挟んだものがHambugerで,牛肉ベースのパティ+色々挟むと〇〇バーガーになることが分かった(諸説あり)。
ポンコツ美食家,アメリカンバーガーを実食する
実験科学において知識や閃きがあったとしても行動が伴わなければ,全く意味がないのはご存知であろう。知識を得た筆者は,消火器なしでt-BuLiの大スケール実験を行うかのように,危険を顧みず身を持ってバーガー文化を探索した。予想通り,筆者の体重増加という犠牲はあったが,とりあえずバーガーランキングを作成できた。順位は逐一変動しており,ジャンクフードが食べられる方ならぶっちゃけなんでも美味しいのでレア度や衝撃度が加味されている。カリフォルニアに学会や留学で来た際の参考になれば僥倖だ(nは試食回数, PBIFはポンコツによるバーガーインパクトファクターの略)。06/19/2023 順位更新
参考 McDonald’s…皆さんお馴染みのハンバーガー店。味は変わらず,アメリカ発なのに何故か日本を感じられる謎の現象によって安定感抜群だ(n=2, PBIF=1.3)。
10位 Burger king…こちらも日本にあるが,やっぱり美味しい。値段とサイズ感がちょうどよいのが嬉しい。最近,広告とサイズが違いすぎてアメリカで訴えられていたが,日本人には最適なサイズだ(n=2, PBIF=2.4)。
9位 Chick-fil-A…日本で言うチキンバーガー系のサンドウィッチ屋さん。アメリカのサンドウィッチ系では,味・コスパ・カロリーを考慮するとNo.1のお店ではないかと考えている。Delaxe (500 kcal)がうまくて安い。様々なソースをたくさんくれるので,アメリカンを感じられる。個人的にはオリジナルのChick-fil-Aソースが好き。読み方に時々悩む(n=8, PBIF=5.6)。
8位 Shake Shack…日本に何店かあるみたいだが,筆者は初体験だった。なんとなく全体的にオシャな雰囲気で,バーガーも王道という感じで食べやすかった。バンズを焼いているのだが,筆者のタイミングが悪く,あまりカリッとしなかったため,現状この順位。肉の味においてトップレベル(当社比)だったので,完成されたバーガーを食べると上位に食い込むことは間違いないだろう。次回のバーガーに期待したいが,浮気してバッファローチキンを食べたいのも悩みどころ(n=4, PBIF=6.2)。
7位 Jack in the box…まず名前が格好いい。値段がお手頃なのに美味しいハイカロリーバーガーを摂取できるお店である。日本のマックのチキンクリスプやチキンフィレオが好きな方は是非Jackのサンドウィッチを食べて欲しい。また,独自のBBQソースでポテトを食べるとかなり満足できる(n=4, PBIF=5.3)。
6位 In N out Burger…カリフォルニア州のバーガーチェーン店No.1と言えば,おそらくアメリカ人の殆どがIn N outと答えるだろう。バンズ部分が焼かれてバーガーがカリッとするのが特徴だ。味よし,コスパよし,カロリーよしの3拍子が揃ったチェーン店で,筆者も来店回数で最多を誇る。個人的には,裏メニューのアニマルバーガー(670 kcal)がおすすめだが,「アニマル。コンボでポテトも」という注文の仕方ではポテトもアニマル化(660 kcal)してグロッキーになるので注意しよう(n=13, PBIF=15.4)。
5位 Habit Grill Burger…カリフォルニア州サンタバーバラ発のバーガー屋さん。ここのお勧めバーガーは,ズバリTeriyaki Char with Cheese(540 kcal)である。アメリカでTeriyaki burgerが存在するのはここだけではないだろうか?また,注目のメニューとしてヘルシーなTempura green beans(250 kcal)がある。メニューに日本感があるためIFは上位陣と比べて若干低くなったが,ポテトとバーガーの食べ過ぎでぽっこりお腹が気になり始めた筆者の中でバーガー界のヘルシーポイントを爆上げしたため,この順位。初来店から上述のコンビだが,他のメニューに浮気する気が全く湧かないぐらい美味しい(n=8, PBIF=9.8)。
4位 Five Guys…東海岸側バージニア州アーリントンで発祥したFive Guysは西海岸でも名声を轟かせている。東のFive Guys vs 西のIn N outといったところであろうか。実はバンズ・コスパの差でIn N outのほうが好きなのだが,落花生をダンボールから取り放題で,注文まで食べて待つというスタイルでアメリカン文化を感じられるという点でこの順位。おすすめは全部のトッピングをブチ込んだ「Alltheway」チーズバーガーだ(1170 kcal)。また,当店は100%ピーナッツオイルを使用して作られることから,ポテト(little:530 kcal)がカラッと仕上がり,1600 kcalオーバーを思いの外,あっさり食べられるのも評価が高い(n=9, PBIF=15.3)。
3位 The Melt…筆者はMeltバーガーに愛を込めて「びちゃびちゃ」と呼んでいる。パティにWagyuを使用しており,一口食べるごとに口と手が肉汁でびちゃびちゃになるほどジューシーである(普通のMelt Burgerで820 kcal)。サイドのポテトも海苔を振りかけることで他店と違いを出しており,隙がない(370 kcal)。スウィートポテトフライ(220 kcal)もおすすめだ。その他,オリジナルレモネード(140 kcal)が販売されており,脂っこさを洗い落としてくれる。食べた後はほぼ必ず胃もたれをして当面いいやとなるが,2-3週間すると「あー,びちゃびちゃ食べたいなぁ(○ーさん風)」となる。まるでブルーメスのようなバーガーである。深夜1時までやっている店もあり,実験終わりの深夜Meltはヤバイ,本当にヤバイ。例えるなら,天一で地方限定メニューの「うまか丼定食・大盛り」を深夜に食べるのと同じくらい危険である(n=8, PBIF=13.8)。
2位 Ballast Point…もはやバーガー屋ではなく,カリフォルニアでクラフトビールを製造するブリュワリーである。クラフトビール人気が高まりつつある日本でも販売しているみたいなので,海外ビール好きなら知っているかも。Ballast PointのIPAは,IPAらしいフルーティー感や青々しい爽やかな風味が広がった後,若干のほろ苦さが風味と共にふわっと口の中で広がるビールであり,一口飲んで様々な味の変化を楽しむことができて美味しい。ビールにあう肉メニューを探しているとBallast Point Burgerなるものを見つけた。バーガーなのに焼き方を聞かれたので,よくわからないままミディアムでオーダーしたところ,「なんやこれ,めっちゃうまいやんけ…。」と衝撃を受けた(Fig. 2)。ミディアムで焼かれたパティは旨味の塊だった。その後,独自調査によってWagyuを使用していることが明らかになった(angasに変わってた…)。Meltに比べて脂身は控えめで,ほら旨い赤身を味わえ!と言わんばかりの「ザ・お肉」を味わうことができる。ブリュワリーでこのクオリティのバーガーがあるとは恐るべし,ということで堂々の2位となった。そろそろサンフランシスコに開店予定で,カリフォルニアに上陸すればどこかしらで食べることができるようになるはずだ(n=3, PBIF=24.8)。
1位 Hodad’s Burger…全米チェーン店ではないが,カリフォルニア州サンディエゴ発で最近流行りのBurger屋さん。PBIFで衝撃の20を超えたため,1位にランクイン。一言で言うと,デカイ。ちゃんと撮ればインスタ映えする衝撃のダブルバーガーは肉,肉,野菜,野菜と挟んでおり,ハンドボール並にデカイ(Fig.1)。味はもちろん良いのだが,それどころでない。あまりにも大きすぎてパティにたどり着くまで時間がかかる。ちなみにアイスも尋常ではないデカさであり,オニオンリングを注文すると「…え?これ1玉入ってますよね?」と叫びたくなる。ダブルのセットで2000 kcalを超えることは覚悟しよう。次回行くことがあれば,筆者はシングルを頼み,行ったことがない子にダブルを頼ませてニヤニヤしたい(n=5, PBIF=22.8)。
振り返ってみると滞在約3ヶ月で試食回数が32回とだいぶ身を削ったが,店舗自体は10軒程度しか回れてなかった。nを稼ぐことは実験と同じように大切だが,新しいことにチャレンジするのも重要なので,体を一旦すっきりさせて有名処のUmami BurgerやWendys, ハイカロリーなFatBurgerなどに行きたいと考えている。
〜〜続く〜〜
関連リンク
いらすとや :アイキャッチ画像の素材引用元。
サンドウィッチ伯爵の諸説:うんちくとしてなんとなく知っていたが,Wikiが非常に詳しかった。
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