ポンコツシリーズ一覧
国内編:1話・2話・3話 国内外伝:1話・2話・留学TiPs
第3話 ポンコツ博士,ストレスを感じる
渡米1ヶ月が経った筆者は,遂に実験に着手した。最初はセットアップが大変だと推測し,チームの2軍(原料合成)からシーズンインして前半戦で信頼を勝ち取って1軍入り(最先端)の目論見を立てていた。幸い,大量合成を担当する人が居なかったため,即座にチームと筆者の思惑が一致し,原料合成から開始した。
そんなこんなでさらに1ヶ月経った。日常生活を整えつつの実験であることから思い通りに進まないが,ミスなく着実に進めたので週末ミーティングの内容に困らなかった。ただ,2-3ヶ月に1回当たる全体ミーティングで原料合成だけ喋るのは見栄えが悪いし,最先端で頑張っているメンバーに原料を早くお届けしたいので,筆者個人の効率を上げたくなった。
そしてその2週間後,筆者は環境に不満を持った。「通勤時間が長い。帰る時間のシンデレラタイムが早すぎる。」と。
ポンコツ通勤者,メンタルの限界を迎える
最初は海外に来れたことに感動し,バス・電車(乗り継ぎ計3本)で往復約3時間通勤にワクワクしていたが,流石に飽きてしまった。また,”バス停でバスのタイヤ修理が始まり,30分以上発進が遅れて片道2時間かかった”というアメリカンな体験や,ス○デ○サ○リに熱中しすぎて乗り遅れる等の出来事があり,ミーティングに遅れる可能性があった。
片田舎出身の筆者は車orチャリ移動が当たり前で,そもそもバス・電車通勤に慣れていないので耐えられるはずがなかった。通勤時間が20分増えると,仕事の満足度が給与19%カット時と同程度まで低下する結果や,通勤時間が長ければ短い人より3割以上うつになりやすくなる報告というのも,あながち間違いなさそうだ。
一方,同時期に来た子らはすぐに車を購入orレンタルし,快適そうだった。筆者は羨ましさからバス帰宅が億劫になり,帰りを送ってもらうようになったが,筆者の滞在先近くに住んでなかったのでガソリン代等を考えると申し訳なかった。
筆者は決心した。「車を買おう」と。
ポンコツドライバー,運転免許を取得する
アメリカでは免許取得に日本と違って教習所等に通う必要はなく,即試験が可能である。しかし,実技試験時に車を持参する必要があったため,筆者は日本人向けドライビングスクールを何回か受講し,本番にスクール車を借りることにした。
カリフォルニア州の素晴らしい点は,日本語で筆記試験を受けられることだった。日本の免許を持っていれば大抵わかるので,ネットにある試験問題を一夜漬けで挑めば突破できた。ただ,本番では翻訳ミスのトリッキー問題があり,まんまと引っかかった筆者はギリギリだったので注意をして頂きたい。
路上試験では,初っぱなの信号を「Turn left, OK!」と言いながら,完璧に右に曲がる珍事を犯し,試験ポイントを自ら無駄に追加したが,それ以外は問題なく一発で受かった。日本で10年以上運転し,ほぼゴールドな筆者にとって試験さえ受かればこっちのもんである。
ちなみに”ほぼ”の理由は,院生時代に「自転車を駅まで取りに行きたいから送って」と恩師に頼まれたので駅まで送ってラボに戻ろうとした矢先,踏切一時停止で前後2台もろとも捕まって恩師より帰るのが遅くなった時と,運転中に恩師からの電話画面を警察署の前で注視してしまい,そのまま署に連行された時があるためである。読者の皆様は恩師の頼みが急ぎとはいえ社会のルール違反をしないようにして頂きたい。
ポンコツ債務者,金策に走る
語力がゴミの筆者では値下げ交渉や質の良い車を確保できる自信がなかったため,スクールの方に中古車を探してもらった。ただ,車の購入は一括ニコニコ購入であることを告げられたため,筆者は顔面蒼白になった。アメリカはクレジットヒストリーがモノを言う世界であり,来たてホヤホヤ筆者ではローンを組めないようだ。
アメリカは車は乗り潰す文化があり,日本では考えられないほどバンパーが吹っ飛んでいる車や尋常じゃないほど横がべこべこで塗装がはげた車が走っている。そのような車は2000ドル程度で買えるらしいが,排気量検査で引っかかって修理費がかかるし,最近は売値が付かないらしい。そのため,車体価格で12000-20000ドルの車を購入し,帰国時に購入価格の9割で売ることをお勧めされた。しかし,ボンビー筆者にそんな大金あるわけなく「ホームレス,車を買う。」にならないように誰かにお金を借りる必要があった。
筆者は学生時代から貧困だったため「え?お金がないなら貸してあげようか?でもトイチね。」というウ○ジ○くんそっくりな極悪お…んんっ,ブローカーを知っていた。しかし,筆者はまだ天涯孤独の身ではないため,極悪ヤミ金をスキップして両親や兄弟にお借りすることにした。また,筆者が海外滞在中に海外旅行に招待することで恩返しになるのではと考えていた。幸い,背景から説明することで第一選択の両親からアクセプトされた。奨学金とあわせて返済をすることになったが,満足のいく結果を得た。
ポンコツ博士,車を購入する
さて,最後に筆者が何を購入したかを書くことで,今回の随想を締めさせていただきたい。ズバリ,筆者はHONDAの旧型CR-Vを車体価格19800ドルで購入した。6年間で8万マイル走った車がこの値段なので「え…?たっか…」と正直思ったが,オプションがたくさん付いており,値崩れしにくい車種なのできっと資金回収できると信じている。不満はほぼないが,強いて言えば日本でHONDAしか乗っていなかったので,別の国産車に乗ってみたかった。が,まぁこれは巡り合わせである。
遂に足を得た筆者は,実験をサボる理由もなくなったので本格的に実験することにした。
〜〜続く〜〜
過去記事・関連リンク
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