[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

コンパクトで革新的な超純水製造システム「アリウム」

[スポンサーリンク]

ライフサイエンス分野の分析において、不純物が分析結果に影響を与える可能性があります。

それは困る!そんな影響を考えたくない!

そんなときに必要なのが、「純水」ですね。その名の通り、純度の高い水ですが、その純度の高さによって純水とよんだり、さらに純度が高いものは超純水といいます。

もちろんそのまま購入することも可能ですが、コスト高となる・量的供給の観点からも実験系のラボでは、それら(超)純水を、普通の水から「自作する装置」である純水製造装置が必須です。

特に有名なものはメルクのミリポアのMilli-Q®ですかね?うちの研究室もそれを使っています。

今回はかなりスタイリッシュな純水・超純水製造装置を発見しましたので紹介します。

それがトップ画像にある、ザルトリウス社の発売している、アリウム(Arium®です。

本記事では純水が必要な理由、実験タイプによる純水の使い分け、純水装置の選び方などから詳しく説明してみましょう。

もう一度おさらい:水質が重要な理由

生物や生化学ではより気をつけなければならないですが、化学でももちろん水中の不純物は気になるところです。

例えば、水に含まれるイオンが試薬との干渉を引き起こしたり、有機物がクロマトグラフィーの図にゴーストピークを発生させたりすることがあります。 信頼性の高い安定した結果を得るためには、アプリケーションに応じて最適化された純水を使用することが重要です。

どのタイプの水を使用すべきですか?

ラボでのアプリケーションは、ラボ用水を語るとき、給水、一般、分析、ライフサイエンスのアプリケーションの3つの異なるカテゴリー(タイプ1からタイプ3)に分けることができます。

それぞれのタイプでどんな水が適しているか例を示しましょう。

タイプ3:給水アプリケーション(器具洗浄機、オートクレーブ、タイプ1の超純水製造システムなど)。

タイプ2:サンプル、培地、バッファーの調製や感度の低い分析法など、やや重要な一般的なアプリケーション。また、オートクレーブの給水、洗浄、タイプ1の水システムへの供給などにも使用。

タイプ1:最も重要なアプリケーションへ。分析作業(HPLCICPなどの感度の高い分析法)を行う場合は、超純水システムにUVランプを搭載する必要もあり。

というわけで、どのタイプの水を必要としているのか考えましょう。

純水製造装置を購入するときの注意点

純水製造装置を購入するにあたっては、いくつかの点を考慮に入れる必要があります。簡単にまとめると以下の4つとなります。

目的:まず、どのアプリケーションで水が必要なのかを考え、それによって必要な水(タイプ)を決定します。

必要量1日、あるいは1時間にどれくらいの水が必要かを考える必要があります。1日の消費量によって、必要なシステムの大きさ・キャパシティーが決まります。

設置場所:ラボのスペースについても考慮が必要です:純水製造システムをベンチの上に置くのか、壁に設置するのか、あるいはベンチの下に置くのか?給水源もまた、どのようなシステム構成が必要かを決定する上で、考慮すべき重要な点です。

コストと予算:コストと予算も重要で、水システムだけでなく、継続的なメンテナンスやランニングコストも重要です。モニタリングやトレーサビリティーが重要な場合は、水質パラメータや使用データを記録できるシステムが必要になる可能性があります。

これらに加えて、個人的には見た目を重視します。毎日使うものなのでかっこいいものがいいですよね!

コンパクトで革新的な超純水製造システム

さて、本題に入りまして、ザルトリウスのアリウムラボ用超純水製造システムの紹介です。商品の紹介をHPから引用します。

アプリケーションに応じた刺激的なデザインを採用しています。これにより、ワークフローのより速く、より信頼性の高い実行が可能になり、長期的にコスト効率の高い操作を確保しつつ、日々のラボ作業を簡素化します。

すべての装置は、お客様のご要望に合わせて柔軟に対応し、お客様のラボ環境に完全に統合することができます(引用:ザルトリウス・ジャパンHP)。

何を言っているのかよくわかりませんが(苦笑)、まずは、各タイプのラボ用水に柔軟に対応できます。

超純水システム – Type 1:クロマトグラフィーや質量分析など、さまざまなアプリケーションで使用されるType 1の超純水を製造するための、幅広い用途に対応できるモジュール設計のシステムです。

純水システム –Type 2EDI技術と組み合わせたバッグタンクにより、バッファーや培地を調製するために高品質のType 2 純水を製造します。

RO(逆浸透)水製造システム – Type 3:標準的なラボでの使用に適したType 3の純水を最大24 L/hの速度で製造可能です。

品質はもちろん保証されており、上記の注意点に合わせて自分たちでカスタマイズ可能が利点です。例えば、設置場所。作業ベンチ上にシステムを設置したり、あるいはラボのスペースを節約するために、ベンチの下に設置したり、壁に取り付けることができます。

使用イメージ

オプションも豊富で、例えばシステムをバッグタンク(後述)やリモートディスペンサー(Smart Station)と組み合わせることで、フレキシビリティを高め、ラボ内での採水ポイントを増やすことができます。ちなみにこのSmart Stationに関しては昨年度発売されたばかりだそうです。

バッグタンク(左)と卓上スタンド型/壁掛け型Smart Station(右)

サービスの充実

ザルトリウスの経験豊富なエンジニアが設置を行えば、初日からシステムが完璧に動作させることができると自信をもっているようです。アリウムシステムが意図通りに動作し、ダウンタイムや誤動作を減らすための予防メンテナンスと共に保守メンテナンスやバリデーションのためのサービス契約もあるようです。

で、結局何が違うの?

どの商品とは言い難いですが、他にも知っている純水製造装置を思い浮かべてください。他社との技術的な差別化ポイントの一つとしては、上述したバッグタンクの採用があります。このバッグタンクは、前処理水を外気と接触させないことによって二次汚染を防ぎ、紫外線照射による除菌が不要で、結果的に超純水製造段階の消耗品への負荷も減らしてお客様のメンテナンスコストの低減にもつながるようです。また、システム構成および設置形式が様々なニーズに柔軟に対応できるという点でも、他社より軍配があがるであろうと言われています。肝心なコストはどうでしょう?純水製造自体のコストは他社に比べても引けを取れない価格になっているようですが、この製品自体に関してはわからないので、ぜひお問い合わせ・交渉してみてください。

お問い合わせ、デモ対応などはこちら!

というわけで、今回は純水製造装置について紹介してみました。よい水をつくる製造装置の利用は、実験結果の再現性や正確性にも密接に関わる大事なファクターです。購入希望の方はよく考えて購入しましょう!

今回紹介したアリウム(Arium®)に関するお問い合わせはこちら!

ザルトリウス・ジャパン株式会社

〒140-0001 東京都品川区北品川1-8-11 Daiwa品川Northビル4階

TEL: 03 6478 5200 FAX: 03 6478 5494

Email: hp.info@sartorius.com

関連リンク

関連動画

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 有機反応を俯瞰する ー芳香族求電子置換反応 その 2
  2. 研究室の安全性は生産性と相反しない
  3. Micro Flow Reactor ~革新反応器の世界~ (入…
  4. 引っ張ると頑丈になる高分子ゲル:可逆な伸長誘起結晶化による強靭性…
  5. 「芳香族共役ポリマーに学ぶ」ーブリストル大学Faul研より
  6. ナノ粒子応用の要となる「オレイル型分散剤」の謎を解明-ナノ粒子の…
  7. 部分酸化状態を有する純有機中性分子結晶の開発に初めて成功
  8. 触媒表面に吸着した分子の動きと分子変換過程を可視化~分子の動きが…

注目情報

ピックアップ記事

  1. メソポーラスシリカ(1)
  2. 佐藤 一彦 Kazuhiko Sato
  3. テッベ試薬 Tebbe Reagent
  4. ネオジム磁石の調達、製造技術とビジネス戦略【終了】
  5. 乙卯研究所 研究員募集 2023年度【第二弾】
  6. 富山化学 新規メカニズムの抗インフルエンザ薬を承認申請
  7. 電子実験ノートSignals Notebookを紹介します ①
  8. 「非晶質ニッケルナノ粒子」のユニークな触媒特性
  9. 化学系スタートアップ2社の代表が語る、事業の未来〜業界の可能性と働き方のリアルとは〜
  10. 高分子討論会:ソーラーセイルIKAROS

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年3月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP