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【日本精化】化粧品・医薬品の原料開発~「キレイ」のチカラでみんなを笑顔に~

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【化粧品原料】化粧品にプラス1を加える機能性原料の開発

当社開発製品

 

香粧品研究開発部はリン脂質素材/機能性油剤/生理活性物質を3本柱として、お客様の様々な「用事」を解決する(ソリューションを提供する)化粧品原料の研究開発を行っています。また、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証原料の利用などサスティナビリティを意識した研究活動に取り組んでいます。

リン脂質はヒトの細胞膜を構成する成分であり、リポソーム製剤用原料として有名です。リポソームを作るために、一般的にはバンガム法と呼ばれる有機溶剤を使用する方法や高圧乳化機等の特殊な装置が必要ですが、当社の特殊脂質複合体(Phytopresome)を用いることで、化粧品会社で一般的な撹拌機のみで簡単にリポソームを配合した化粧水が作製できます。さらにセラミド等の難溶性成分を組み合わせることも可能です。Phytopresomeを配合した化粧水により向上する皮膚の保湿性や浸透性を評価し、データと併せて化粧品会社に製品を提案しています。
また、Neosolue-Aqulioは化粧品に用いられる水溶性有効成分(VCエチル、トラネキサム酸等)の浸透促進効果を持つように当社独自に設計/合成した機能性油剤です。浸透促進効果を持つ構造を設計し、浸透性・安全性・安定性を確認した上で製品を開発しました。浸透性の確認には毛髪や皮膚モデルを用い、毛髪内への有効成分の浸透および浸透による毛髪改善効果を評価したり、飛行時間型 二次イオン質量分析(TOF-SIMS)という技術を用い、トラネキサム酸の皮膚への浸透促進データを取得しています。得られたデータで国内外の学会や展示会での発表、特許出願等を行っています。
生理活性物質のビタミンC誘導体(VCエチル)は、医薬部外品の有効成分です。当社独自の製法を開発し、高品質な製品を収率よく安定的に生産しています。こうして生産されたVCエチルは、3-O-エチルアスコルビン酸の名称で医薬部外品や化粧品に使用されています。このように、当社で開発した化粧品原料は、国内外の化粧品会社で広く使用されています。
その他、ラノリン、コレステロール類は羊毛からウールを作る際に得られる副産物をアップサイクルした製品です。環境循環型素材として化粧品だけでなく、医薬品、飼料、工業品等に幅広く使用されています。

上記は一例です。香粧品研究開発部が開発した製品は以下のサイトからご覧ください。

https://www.nipponseika-cosme.com/

当社で評価/取得した有用性評価結果一例

【医薬品原料】核酸送達に用いるチャージリバーシブル脂質

 

(図1)

 

当社リピッド事業部では、ナノ粒子製剤に使用される医薬品グレードのリン脂質の販売や研究開発、ナノ粒子製剤の受託開発サービスを通し、世界中の患者様のQOL向上を目指した事業を展開しています。リン脂質は、COVID-19ワクチンにも含まれており、世間的にも大きな注目を集めている素材です。
今回は、当社が大学との共同研究により開発した、核酸デリバリー用途のリン脂質DOP-DEDAについてご紹介します。核酸は体内で容易に分解されるため、核酸医薬の開発には、ドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発が必須となります。DDSキャリアーの一つであるリピッドナノパーティクル(LNP)には、負電荷を有する核酸を粒子内に保持し、細胞内への移行を促進する目的でpH応答性脂質が高比率で含まれています。安全かつ高効率な核酸送達を達成するためには、独自的かつ効果的なpH応答性脂質を使用する必要があります。
当社は、ホスファチジルコリン(PC)から酵素反応によりコリン部位を置換する技術を有しています。この技術を応用することで、DOP-DEDAの1ステップ合成に成功しました。DOP-DEDAは、グリセリン骨格に2本のオレイン酸とリン酸、リン酸を介してジエチレンジアミンを有するリン脂質であり、pH応答性を示します。(図1)
DOP-DEDAを含むLNPは、細胞膜透過に適する100nm程度の粒子サイズで、約100%で核酸を包み込むことが可能です(図2)。またDOP-DEDA LNPは、アルカリ条件では負に、弱酸性条件では正に帯電し、pHに依存して電荷が反転する性質を有しています。この特性から、DOP-DEDAをチャージリバーシブル脂質と命名しました。DOP-DEDA LNPのチャージリバーシブル性により、低い細胞毒性と細胞質への効率的な核酸送達が実現できます。COVID-19ワクチン含め現在上市しているLNPの3製剤には、いずれも水溶液中での分散性および血中安定性向上のためPEG脂質が含まれていますが、PEG脂質は副反応への懸念が指摘されています。一方DOP-DEDAはPEG脂質の有無によらず安定な粒子を調製可能で、血中投与後も安定して循環でき、かつ安全性が高いことも確認されており、大きな利点の一つです。
当社はナノ医療分野に新たな価値を提供することを目指し、核酸医薬や抗体医薬分野で用いられる独自脂質の開発、高純度リン脂質やコレステロールの製造・販売を行っています。これからも変革し続け、持続的に成長する企業、すべての人々にとってなくてはならない存在を目指します。

(図2)DOP-DEDAを用いたLNPの模式図とクライオTEM画像

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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