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有機合成化学協会誌2022年1月号:無保護ケチミン・高周期典型金属・フラビン触媒・機能性ペプチド・人工核酸・脂質様材料

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有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2022年1月号がオンライン公開されました。

本年もChem-Stationを読んだり有機合成化学協会誌を読んで楽しく過ごしましょう。

有機合成化学協会誌は今月号も充実の内容です。

キーワードは、「無保護ケチミン・高周期典型金属・フラビン触媒・機能性ペプチド・人工核酸・脂質様材料です。

今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言:データサイエンスと発想力

今月号の巻頭言は、東北大学大学院薬学研究科土井隆行教授の寄稿記事です。

データサイエンスは今や多くの研究者にとって大きな興味の対象なのではないでしょうか。発想力の鍛錬と関連づけて論じておられます。必読です。

無保護ケチミンを活用した環境調和型新規触媒的含窒素化合物合成手法の開発

森本浩之*

2020年度有機合成化学奨励賞受賞

*九州大学大学院薬学研究院

無保護ケチミンの合成的な利用法が詳細に記載されております。著者らの反応は、保護基を利用しないため、アミン合成をより短工程化する可能性があり、含窒素化合物の合成法を発展させるものです。

高周期典型金属の中程度ルイス酸性とπ電子親和性を活かした有機金属種の新規合成法

西本能弘*

2020年度有機合成化学奨励賞受賞

*大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻

本論文では、高周期典型金属塩を用いた炭素-炭素多重結合へのカルボメタル化およびオキシメタル化について述べている。実用性の高い様々な官能基を有する有機金属化合物の合成法および応用例が系統的に記されており、大変興味深い内容の論文となっている。

フラビン触媒を用いた分子状酸素のみで駆動する酸化的分子変換反応の新展開

飯田拡基*

*島根大学大学院自然科学研究科物質化学コース

フラビン類がもたらすグリーンで役立つ触媒反応の数々―高分子を専門とされている飯田先生の新たな挑戦に刮目・・・!!

非天然型の側鎖構造を有するアミノ酸の設計・合成と機能性ペプチドへの応用

大庭 誠*

*京都府立医科大学大学院医学研究科

α,α-ジ置換アミノ酸を基軸とした非天然型側鎖構造含有アミノ酸の設計・合成とそれらを用いた機能性ペプチドの開発に関する著者らの研究展開をまとめた総合論文である。

DNA中の酸化損傷塩基を認識し検出を可能とする人工核酸の創製研究

谷口陽祐*

*九州大学大学院薬学研究院

DNAのグアニンの酸化損傷部位を正確に認識できる、新しい人工核酸(Adap)の開発に関する研究です

細胞内動態・崩壊性を制御するDDS材料としての脂質様材料の分子デザイン

田中浩揮、秋田英万*

*千葉大学大学院薬学研究院

本総合論文では、筆者らが国産の遺伝子・核酸用DDS材料として開発を進める脂質様材料(SS-cleavable and pH-activated and Lipid-like Materials: ssPalm)の有用性について、その開発経緯を踏まえて概説している。核酸やmRNAの実用的医療応用において、人工的脂質様材料の創製が極めて重要であることが理解できる。

Review de Debut

今月号のReview de Debutは1件です。オープンアクセスですのでぜひ。

・Energy transfer機構を利用する近接依存性標識 (京都大学大学院医学研究科) 藤 浩平

Message from Young Principal Researcher (MyPR):化学について私が知っている二、三の事柄 

今月号のMyPRは、Nanyang Technological UniversityのAssistant Professorである 伊藤慎庫 先生です。

伊藤先生のこれまでの研究者人生がよくわかる、メッセージ性のとても高いMyPRになっています。必読です。

感動の瞬間:最初に考えたようには研究は進まない 

今月号の感動の瞬間は、筑波大学数理物質系化学域 木越英夫教授による寄稿記事です。

タイトルに心当たりのある研究者はとっても多いと思います。まだ心当たりのない研究を始めたばかりの学生さんも、ぜひ読んでみてください。

 

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

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博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

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