「糖化学ノックイン」領域では、プロの漫画家さんに「糖化学ノックイン」領域が構想する研究ストーリーと未来を描いて頂く試みをしました。
マンガでわかる「糖化学ノックイン」
マンガ:ことり野デス子先生@DEATHcotori pic.twitter.com/JhkWcMG3cP— 糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動態制御(糖化学ノックイン)@学術変革領域研究(B) (@glychemknockin) November 25, 2021
『誰もやったことない話なら、何をやっても良いはずだ』の精神のもと、まったくポテンシャル未知数・発足わずか3ヶ月の学術領域を漫画化してしまうという暴挙(?)に出ました。
本記事ではこのあたりについて、領域代表(生長)の視点から、裏話的なことも含めて紹介してみようと思います!
日本が誇るマンガ文化を活用したい!
いきなりですが学術変革領域研究、
「領域名だけ見ても、何やろうとしてるか全然分からないよ!!!」
って思いませんか?もっといえばキラキラネーム勝負の温床になってるんじゃないの?とすら(失礼)。筆者(領域代表)は既に一般人ではなく研究者身分でもあるのですが、他分野の領域課題を眺めて率直にそう感じてしまったものですから・・・同じ枠の研究費を頂く身なのにそんなこと言っちゃって良いの?ブーメラン乙!とも思いますが、まぁそれはそれ(苦笑)。
もちろん、誰もまだ見ぬ世界を表現し、伝え、世界にアピールしていくことは先端研究者としての責務です。分野を切り拓く新たな学術用語を打ち出すことは半ば必須でもあるわけです。学術をもっとも厳密かつ誤解無く伝える媒体=言語である以上、これは仕方ありません。
しかし、「その先にある未来をどうやって伝えるか?」となれば、話はまた別ではないでしょうか。科研費申請書にも将来像は書きますし、プロジェクトホームページや説明資料に書かれる小難しい研究概要を読みとける人なら、一応は理解できる建前にもなっています。ただ細かな概念が固まっていない「これからの話」ですから、そもそもが厳密性からはほど遠い。加えて文章だけから読み手に想像力を広げてもらおうとしても、よほど小説などを読み慣れていないと、実のところ難しい。SNSが普及して長い文章をみんな読めなくなったとも言われる昨今、テキストベースの伝達には限界を感じていました。そんな中でも何とかして自分達を知ってもらわなければ始まらないのも確か。現代の研究者はそのジレンマに常日頃から対峙しているわけです。
そういった諸々を踏まえたうえで、むしろ直感的かつざっくりと領域を知ってもらえる、親しみやすい広報コンテンツが必要だとの結論に至り、マンガの力を借りることにしたわけです。筆者個人がマンガ大好きという自分勝手な理由もあります(笑)
今回依頼した漫画家さんは?
ことり野デス子先生という、ウェブ・商業で幅広くご活躍の漫画家さんに依頼しました。
▶︎単行本「漫画家と異星人👽」
描き下ろしあります!https://t.co/pUqnn6LxT7
▶︎bloghttps://t.co/e1EmLW3wsP
▶︎Instagramhttps://t.co/3thjDCfvos
▶︎LINE絵文字https://t.co/YdnuAWFmiI
▶︎グッズhttps://t.co/Rl8RkccQ2c https://t.co/gvM17ojwhG pic.twitter.com/k7v2SEeook— ことり野デス子✎単行本②発売中 (@DEATHcotori) August 8, 2020
依頼した理由は、とにかくマンガが面白かったから。それにつきます。加えて絵柄もストーリー構築力も素晴らしい!毎度オチがポジティブ!(化学よりずっと難しいはずの)数学マンガまで描いてるぞ!そして何よりネコは正義!!(笑)
[amazonjs asin=”B085HDHPRQ” locale=”JP” title=”漫画家と異星人 漫画家が婚活で数学者と出会った話(1)”][amazonjs asin=”B098QWYPCY” locale=”JP” title=”漫画家と異星人 漫画家が婚活で数学者と出会った話(2)”]極めつけはこのツイートです。どうやら研究アウトリーチも超やる気があれど、ツテに困っていそうだったご様子。
論文のカットとか研究室の紹介漫画とかも描きたいんだけど、こんなの営業先が分からないよ。ちょっと絵で説明して欲しいなーという時は声かけてね
— ことり野デス子✎単行本②発売中 (@DEATHcotori) May 19, 2021
これを目ざとく見つけた筆者は半ば勝利(?)を確信し、全くツテもないままメール凸したところ、快くお仕事を引き受けていただけました。そして研究紹介マンガのみならず、厚かましくも領域ホームページのトップ絵・カットまでお願いし、唯一無二のおかわわわわわわわな領域ホームページが出来上がったのです。理系分野なんて傍目からすれば、青系直線クールでお堅く近寄りがたいノリなんですが、そこはひねくれものの自分。とにかく真逆の表現にしたかったんですね。こういうのもアリだと思って頂ければ幸いです。余は満足であるぞ。
実にことり野先生は、難しい研究内容にも頑張って食らいついてきてくれる、とても意欲的な方でした。このマンガを描いて貰うために、研究室も見学頂きました。化学系のリアルな肌感覚がないとイメージも湧かないだろうと思ったからです。するとそのときの様子をメイキングマンガに仕立てるという、充実アフターフォローまでいただけました!
アウトリーチ漫画のお仕事で、東京大学の薬学系研究室を取材しました🙏
先生に解説してもらったり、自分でも化学の本を読んだり、どう描くか悩んだり…勉強するって楽しいんだー!って思い出しました。できた漫画もまたツイートします pic.twitter.com/aR1LB6838v
— ことり野デス子✎単行本②発売中 (@DEATHcotori) November 25, 2021
サイコミ人材少なすぎ!?ならば自ら発掘だ!
自分の仕事を分かりやすく学生や一般市民に伝えたいとは、現場の研究者なら誰しも常々思っているはずです。国や社会からもアウトリーチ・分野融合は普通に求められるご時世です。前提知識の無い人たちにも、なんとか話を知ってもらわねばならない。しかし諸々の事情から学術研究者は誰しも余裕がなくなっているので、優れた科学コミュニケータや学術広報にお願いしたくなるニーズは年々高まる一方です。
ただ筆者個人はどうしても気になっていたことが一つありました。それは「現場人材をストーリーで表現できる絵師」がサイコミ業界にほとんど居ないという事実です。
そんなこんなで今回は、「科学コミュニケーションに今後ともコミットしてくれそうなタレント発掘」を、初めから狙ってやってました。領域発足で依頼理由が出来たので、研究”外”人材発掘をも国家予算でやってしまおうと考えたのです。科学イラストレータさんなどは、現役でご活躍の方も多くいらっしゃいますが、漫画家さんはやはりストーリー力が強い!特に描いて頂いた話の4ページ目は、それなしには出来上がってこないと思いました。
研究者コミュニティの発想は、「ああ、あの先生が依頼しているなら、自分も依頼して見よう!」です。ウェットなクチコミと事例の蓄積がとにかく大事。分かりやすい事例を一つ作っておくことで、周りが依頼しやすい状況が出来上がるのです。長くお付き合いできるクリエイターさんは、科学コミュニティ全てにとって貴重な人財です。
ことり野先生のマンガをお気に召された方は、論文表紙や研究イラストなども、積極的に依頼されてみてはいかがでしょうか(糖化学ノックインの専売特許というわけでもありません笑)。研究者だけだと、ここまでかみ砕いて表現することはまずできません。クリエイターの目を一旦通し、巧みに表現頂くことで、素晴らしい広報になるという好例ではないでしょうか。優れた表現者が側に居るだけで、研究者としても伝え方の勉強になります。
お仕事を依頼するときは本人の力量もそうなんですが、やはり未経験の話に対する貪欲さを筆者としては重視しています。ちゃんと依頼内容そのものに興味を持ち学ぼうとするモチベが高い人と一緒に仕事をしたいと思うのは、これ真っ当な人間心理ではないでしょうか。今回のお話をして、これぞ「学術分野”外”融合研究」なのだと捉えていただければ本望です!
研究紹介まんがを描かせて頂きました!反応化学・生命科学などの研究者チーム「糖化学ノックイン」(@glychemknockin)
私たちの身体も分子の組み合わせ😊
身近に感じてもらえたら嬉しいです pic.twitter.com/wf8GdWAEfC— ことり野デス子✎単行本②発売中 (@DEATHcotori) November 27, 2021
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- ことりと異星人 ことり野デス子先生 公式ホームページ
- 「糖化学ノックイン」領域ホームページ