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ケムステV年末ライブ2021開催報告! 〜今年の分子 and 人気記事 Top 10〜

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皆様、新年あけましておめでとうございます。
2022 年の Chem-Station は、さっそくの第24回Vシンポ「次世代有機触媒」(1/13 (木) 18:00〜)をはじめ、さまざまなイベントと良質な記事を提供して参ります!
さて、昨年末には第 2 回となるケムステV年末ライブを配信し、多くの方にご視聴いただきました。配信動画のアーカイブは以下から登録不要でご覧いただけます。

本記事では、動画内で紹介された「今年の分子2021」と「人気記事 Top 10」の結果を簡単に紹介いたします。なお、ケムステ DIYコンテストの結果は動画に加えて「SNSコンテスト企画『集まれ、みんなのラボのDIY!』~結果発表~」の記事で紹介しておりますので、そちらをご覧ください。

今年の分子2021

ケムステが選ぶ今年の分子2021 トジナメラン & エラソメラン に大決定しました!!

…正直、何じゃそりゃ? と感じる方が多いかもしれません。しかし、2021年、本邦ではおよそ 1 億人が少なくともどちらかを1回は体の中に入れた分子たちになります。そう、新型コロナウイルスのワクチンの有効成分名です! (ファイザー…トジナメラン、モデルナ…エラソメラン)
これらは一本鎖 mRNA なので、紛れもない「1分子」です。全体の構造式ではとても表せないので、塩基配列で発表するという異例の分子になりました。
関連記事: mRNAワクチン (メッセンジャーRNAワクチン)

加えて、低分子も2つ選出されました。まずひとつ目は、本家本元「Chemistry & Engineering News」の選ぶ  “The molecule of the year” でも選ばれた名大伊丹研のインフィニテン (関連リンク)、そしてふたつ目は年末にかけて有機化学者たちを困らせた酢酸エチル (関連記事) です。やはり、有機化学者が「すごい!!」と思う意味での今年の分子はインフィナイテンですね。さて 2022 年は果たしてどんな分子が皆様の記憶に刻まれるでしょうか?

2021年 人気記事 Top 10

さて次は、2021年に執筆された記事の中から、PV (ページビュー) 数の多かった記事をランキング形式に発表していくコーナーです。記事執筆者からのコメントと合わせてお楽しみください!

 

10位 なぜあの研究室の成果は一流誌ばかりに掲載されるのか【考13,533 PV

著者: やぶさんからのコメント

他のランクイン記事は時事ネタが多い中で、このようないわゆる”化学者のつぶやき”にたくさんアクセスが集まったことは、多くの研究者が声を大にしないまでも、記事タイトルにある疑問を抱いていたからではないかと思います。この記事に書かれていることは一般化できるとは全く思っていませんし、公開から数か月たった今ではまた考えも少し変わっています。本記事を未熟な学生のありのままの視点としてご笑覧いただけると幸いです。

 


9位
 医療用酸素と工業用酸素の違い 14,752 PV

著者: Zeoliniteさんからのコメント

こちら、インドでコロナが流行して酸素が足りなくなったときに発表した記事です。しかし、時間が経って日本で酸素吸入を在宅で行わざるをえなくなったときにレビュー数が伸びてしまいました。正直、ランクインを喜べることではなく、もう二度と酸素が不足する事態にはなってほしくないと思っております。

 


8位
 酢酸エチルの高騰が止まらず。供給逼迫により購入制限も? 15,418 PV

著者: DAICHANさんからのコメント

酢酸エチルの動向は年始ごろから気になっていたのですが、遂に末端利用者にまで影響が出始めてるぞ…ということを嗅ぎつけ急いで記事にしました。やはり皆さんお困りのようで、図らずもアクセスが多くなってしまいました。中国市場では1トンあたり9千元を割るようになりましたが、未だ予断を許さない状況です。更なる値上がりや出荷制限を見越して来年度の計画をねらないといけませんね。

 


7位
 酵素触媒反応の生成速度を考える―ミカエリス・メンテン機構― 16,380 PV

著者: hodaさんからのコメント

この記事はスタッフになってから書いた2本目の記事です。ライター超初心者の私はスタッフのやぶさんに助けていただきながらこの記事を執筆しました。まだまだ自分が関わった記事が公開されるたびに緊張が止まりませんが、想像している以上に多くの方に読んで頂けているようで大変嬉しく思います。読んでくださるケムステ読者の方々と、ケムステの活動でお世話になったたくさんの方々、そして貴重な経験をさせていただき、いつも助けていただいているケムステスタッフの方々に心から感謝申し上げます。

 


6位 理系で研究職以外に進んだ人に話を聞いてみた 17,339 PV

著者: webmasterさんからのコメントは動画にてお楽しみください!

 

 

5位 ヒュッケル法(前編)~手計算で分子軌道を求めてみた~ 23,845 PV

著者: bergさんからのコメント

このたびは私の記事が年間PV数ランキングにランクインしたとのことで、多くの方々にお読みいただき大変光栄です。一見難解で日常的な感覚からかけ離れた量子化学ですが、分子の構造や性質を理解するために不可欠で、有機化学とも密接不可分な分野です。これからは計算機の性能向上も相まって更なる発展の可能性を秘めています。そんな量子化学に少しでも親しみを持っていただけたらという思いで執筆しましたので、皆様のお役に立てればなによりです。

 


4位 2021年ノーベル化学賞は「不斉有機触媒の開発」に!
  25,957 PV

著者: webmasterさん・cosineさんの2名より、cosineさんからのコメント

ノーベル賞解説記事は、世界のどのメディアよりも詳しく速く出すべく毎回自分が書くことが多いのですが、ケムステランク上位になることも確実であり、今回もその恩恵に与ることが出来たと言えるでしょう (笑)。プロリン触媒や MacMillan 触媒は、不斉触媒分野を学生時代にやっていた院生=自分の身からでも圧倒的な衝撃をもって受けとめていた研究なので、これこそがノーベル賞というのも納得です。そして改めて、List や MacMillan は 30 前後でああいう仕事を出していたのに、もうこんなに年を食ってしまったか自分、このレベルの偉業を出せるチャンスなどあるんだろうか?といろいろ考えさせられる身にもなってしまいました。

 

 

3位 話題のAlphaFold2を使ってみた 32,122 PV

著者: Shiratakiさんからのコメント

7 月に Twitter で話題になった AlphaFold2 について、当時、速報的な形で書かせていただいた記事です。普通のノートパソコンでも使えるgoogle colab 版を自分でも試してみようとした時に、やり方がよくわからずに四苦八苦したので、その経験を半分備忘録も兼ねて記事にしました。現在は colab 版もかなりグレードアップしているようで、気になった方はぜひ、より専門的な方の最近のブログや投稿などを色々調べてみてほしいと思います。

 

 

2位 日本で始まる最先端半導体の開発 ~多くの素材メーカーが参画~  32,831 PV

著者: Zeoliniteさんからのコメント

TSMC がつくばで研究開発を行うことを報じたニュースです。経済産業省のプレスリリースを基にどんな研究が共同で行われるのかを解説させていただきました。半導体製造においては、化学メーカーが脚光を浴びることは少ないですが、化学メーカーが高純度な化学品を供給することで高いパフォーマンスを持つ半導体が製造されることを知ってほしいと思います。

 


1位 mRNAワクチン(メッセンジャーRNAワクチン) 74,803 PV

著者: kanakoさんからのコメント

コロナウイルスに対して mRNA ワクチンの開発が進められる中、化学者の視点から mRNA ワクチンとは何なのかを調べてみたいと思い、この記事を書きました。修飾型のヌクレオシドを使って mRNA の分解を抑えている点が特に面白いと感じました。たくさんの人に読んで頂けて光栄です。

 

以上、ランキングとコメントをダイジェストでお送りしました。動画ではトップ10 全記事に対する山口代表からのコメントもありますので、ぜひご覧ください!!

V年末ライブの後は、スタッフ以外からの参加者も含めてV忘年会を実施しました!こちらの企画も 2020 年に次いで 2 回目となり、盛会のうちに終了しました。ケムステではスタッフ同士の交流のための親睦会などを年に数回開催しております。ご興味のある方は、ぜひ【スタッフ募集のPR記事】をご覧の上お問い合わせください!

さてさて、2022 年の化学界にはいったいどんなニュースが飛び込んでくるでしょうか。明るい意味で世界にインパクトを与え、「化学って面白いよね!」と思ってもらえるすごい分子や反応がバンバン飛び出してくるのを願ってやみません。

それでは、本年も Chem-Station をどうぞよろしくお願いいたします!

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DAICHAN

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創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

spectol21

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ニューヨークでポスドクやってました。今は旧帝大JKJ。専門は超高速レーザー分光で、分子集合体の電子ダイナミクスや、有機固体と無機固体の境界、化学反応の実時間観測に特に興味を持っています。

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