化学実験、とくに有機合成で欠かせないのが、化合物を溶解させる溶媒。
最近、代表的な溶媒である酢酸エチルの高騰が、ボディーブローのように化学者たちにダメージを与えています。そう、溶媒なしには有機合成化学実験はできないのです。合成だけでなく、分析分野においてもHPLCなどでたくさん使用します。
このように縁の下の力持ち的な存在である溶媒ですが、みなさまどのような容器に入れておつかいでしょうか。大量に使うところは一斗缶ですよね。つぎにガロン瓶。最後に洗瓶(卓上ボトル)といった感じでしょうか。
今回の主役は、この溶媒容器の代表格であるガロン瓶!!!
….ではなく、ガロン瓶の破損を守る専用の保護用ジャケットです。
その名も「ガロテクト™ 」。
なかなかキャッチーななまえじゃないですか。今回は富士フイルム和光純薬より発売されているこのガロテクトを試してみました。
ガロテクト™ とは?
富士フイルム和光純薬から最近発売された、ガロン瓶専用の保護ジャケット。
「ガロン瓶を持ち上げたときにぶつかって割れた」
「震災の時に転倒して転がった」などのユーザーの声を聞き、開発したらしいです。
特徴をまとめると以下の通り。
- 11種類の溶媒の耐性がある
- 10kgの重りで耐久性試験をして変形しないことを確認
- 蓋の開閉を200回行っても緩まない
- 分別不要なオールプラスチック
- 一般的に使われている保管庫にもガロテクトをつけたまま試薬を収納できる
百聞は一見に如かずですので、気になる方は以下の動画を御覧ください。
ちなみに動画中で、開発者の一人である國澤 実希子さんにインタビューをしています。実は國澤さん、過去にケムステスポットライトリサーチに掲載されたこともあり、学生時代にはかなり研究で活躍していた方。現場感覚でこんな製品あったらよかったのにと、開発に踏み切ったとのこと。(関連記事:高機能な導電性ポリマーの精密合成法の開発 (第99回スポットライトリサーチ)
動画をみていただいておわかりのように、かなりコロンブスの卵的な製品ですが、1個3千円ほどなので、まずは試しに購入して試してみてはいかがでしょうか。
なお、どうやら昨今の安全性重視の観点から各施設の環境保全センターを始めとして、各研究室までかなり売れているらしいです。品薄状態となっている時期もあるそうなので、在庫はお問い合わせ下さい。
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余談:ガロン瓶は1ガロン入らない。
最後に完全に余談ですが、ガロン瓶って普通に使っていますが、なぜガロン瓶というのでしょう。ガロンは米国でイギリスでつかわれる曖昧な単位の1つで、1ガロンは=3.8-4.6 リットル。国や場所によって違って曖昧です。ガソリンもガロン単位でいくらと売っているのですが、基本的には米国ならば約3,8リットルですね。その1ガロンをはかる容器ににているから、ガロン瓶というらしいです。たぶんここまではかなりの方が知っているでしょう。
じゃあこのガロン瓶 3.8リットルはいるのか?といえば、答えは….入りません
一部のガロン瓶はギリギリ入るものがありますが、通常は3.6リットル。つまり1ガロンいれたら溢れてしまいます。
あくまで、1ガロンはかる容器ににているからという通称”ガロン瓶”らしいです。知ってました?筆者は恥ずかしながら知りませんでした。