#ケムステDIY タグで募集を行っていた「ラボ生活が楽しくなったり、ちょっとだけ便利になるような、皆さんの身近で行われている化学DIY」、先日のケムステV年末ライブ配信で受賞作の発表が行われました。
今回の記事では、ライブをまだご覧になっていない方向けにも、受賞作も含めて多数集まった力作DIYを抜粋して紹介しようと思います。
『集まれ、みんなのラボのDIY!』、結果発表です!!
受賞作発表!
応募総数17件のなかから、RT数・いいね数を加味し、ケムステスタッフの独断と偏見を加味して受賞作を選ばせて頂きました。栄えある受賞作に輝いたのは以下のDIYです。おめでとうございます!副賞のAmazonギフト券は既に送付しており、受賞者コメントも頂いております。今回はあわせて紹介したいと思います。
1位: NMRチューブ洗浄機
ネット情報を参考に作ったNMRチューブ洗浄機。買ったら3万円するけど、これはセプタムにPTFEチューブを通しただけ。本数が多い時に重宝します。 #ケムステDIY pic.twitter.com/wj6SJ9PEMb
— H. Mandai (@hmandai8604) December 12, 2021
@hmandai8604さんによる作品です。現場の大学教員からツボを押さえた投稿を頂き、SNSユーザの心をがっつり掴んできました。RT数・いいね数も最多を獲得、見事受賞です。実際に買うと確かにお高いものなので、筆者も古いシリンジ針で似たようなものを自作したことがあります。しかし、金属針だとNMR管をたまに突き破ったりと、多少行き届かない点がありました。PTFEチューブを使うのは、安価で優れたアイデアだと思いました。
受賞者コメント:この度はケムステ「集まれ、みんなのラボのDIY!」で1位に選んで頂き、ありがとうございました。私が投稿したNMRチューブ洗浄機はありあわせの物で作成可能ですので、ぜひ作ってみて下さい。
2位: 100均モール
100均のモールは細いものを洗うのに便利。濯いでも超音波でも落ちない汚れも、物理的に落とせる。先端を曲げれば、針金の末端で底が傷つくリスクを下げられます。三方コックやマニホールドの細部のグリース落としにも最適。 #ケムステDIY pic.twitter.com/Xc2VFJH48l
— 厭世-Ensei- (@chemneko0924) December 12, 2021
@chemneko0924さんによる工夫です。三方コック・マニホールドの掃除には筆者も毎回苦労しており、分解して大量のヘキサンに浸して超音波をかけたりなど、これってどうなんだろう・・・というやり方を毎度してたものです。安いモールを使う掃除法は実に優れた解決策だと思います。自分もモール1袋を買ってみようと思います!
受賞者コメント:「この度は2位に選んでいただきありがとうございます。モールの入手は容易な上に汎用性はかなり高いので、研究室に一袋常備するとほんの少し快適な研究生活を送れると思います。」
3位: 静電気遮蔽フラスコ立て
静電気遮蔽フラスコ立てです。ちょうどいい容器をアルミホイルで覆っただけですが、乾燥した日でも0.1 mgまでぶれなく量れます。アマギフください!#ケムステDIY#ケムステラボDIY pic.twitter.com/CKEIsGKJij
— ボン (@picolylamine) December 8, 2021
@picolylamineさんによるDIYです。これも言われてみれば・・・な方法で、現場の面倒ごとを見事に解決している、まさに「コロンブスの卵」です。それなりにお値段の張る静電気除去ガンやイオナイザーなどの使用機会が減るならスピーディですしお財布にも優しい。皆さんも是非試して見て下さい。
受賞者コメント:市販の静電気除去器具はまあまあなお値段がお値段がする上に効果も微妙で、空間除電装置(こちらもかなり高価)をねだったのですが買ってもらえず、そんな中で生まれたDIYでした。どうも私は静電気を帯びやすい体質のようで素手で作業してもダメでして、コンセントのアースにピンセットを突っ込んで握って電気を逃がしていたこともありました。(これはマネしない方がいいと思います。)試行錯誤の結果、アルミホイルで包むのが効果的と分かり、最終的にあのようなフラスコ立ての形で普段使いしています。あんな適当な工作で賞をいただくのは申し訳ない気もしますがアマギフありがとうございます!
特別賞:ロボットアーム
過去作ですがおもちゃのロボットアームで何か作業できないかと画策していた頃の動画で、見づらいですが6mLバイアルに針?を出し入れしたテストです。結局ボツになりましたが何か使い道を見出せるかたは是非。アマギフください!#ケムステDIY#ケムステラボDIYhttps://t.co/RUBvtwBPGZ
— ボン (@picolylamine) December 8, 2021
企画の言い出しっぺ=副代表の100%好みで選ぶという、特別賞。こちらも@picolylamineさんによるDIYです。第3位と同じ受賞者ですが、特定の人を贔屓していた訳ではなく、直感で選んだら気づかずこうなっていました(苦笑)。このDIYは特に何の役にも立ってないのですが、実は自分も同じことを考えてたので、親近感が湧いてしまいました。
副代表cosine選評:実は自分も同じことを考えて試そうとしたことがありました。この動画は(研究費ではなく自腹で3万出して買った)ロボットアームに電解反応スクリーニングをさせようとした形跡です。さてここで皆さんにクイズです。『なぜこれがモノにならなかったのでしょうか???』見事正解を出せた方、ボクの屍を超えてぜひ完成させてください!特にデジタル有機合成の皆さんとかには期待してます!
惜しくも次点!
#ケムステDIY
フロートを高い位置に固定することで複数のサンプル管を1つのスターラーで撹拌できます。サンプルが横に並び、かつ床が写り込まないので反応中の動画撮影にも最適。 pic.twitter.com/lJWBs66rWI— Shun Tokuda (@STokuda_chem) December 20, 2021
実は受賞者に連絡が付かなかった時に備えて、次点が用意されていました。惜しくもあと一歩で選から漏れてしまった扱いなのですが、@STokuda_chemさんによるDIYを紹介します。同じ化学者としては、自分の実験を綺麗に撮影したいという意欲・意識にはとっても共感できるところです。学部4年生の学生さんと言うことで、創意工夫に年齢は関係無いのだなと思わせてくれるものでした。
おわりに
今回のようなSNSコンテスト企画は、ケムステとしても初めての試みで、どれだけ投稿があるか少し不安がありました。しかし蓋を開けてみると沢山のエントリが集まり、化学現場の創意工夫感を伝えるコンテンツづくりという意味でも、やって良かったなと思えています。スペースの都合で紹介しきれなかった他のDIYにも、優れたモノがたくさんありました。是非 #ケムステDIY タグからご覧下さい!
今回のコンテスト企画やノーベル賞企画に限らず、今後ともいろいろなSNS参加型企画を行ってみたいと思います。乞うご期待!
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