[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

SNSコンテスト企画『集まれ、みんなのラボのDIY!』~結果発表~

[スポンサーリンク]

#ケムステDIY タグで募集を行っていた「ラボ生活が楽しくなったり、ちょっとだけ便利になるような、皆さんの身近で行われている化学DIY」、先日のケムステV年末ライブ配信で受賞作の発表が行われました。

今回の記事では、ライブをまだご覧になっていない方向けにも、受賞作も含めて多数集まった力作DIYを抜粋して紹介しようと思います。

『集まれ、みんなのラボのDIY!』、結果発表です!!

受賞作発表!

応募総数17件のなかから、RT数・いいね数を加味し、ケムステスタッフの独断と偏見を加味して受賞作を選ばせて頂きました。栄えある受賞作に輝いたのは以下のDIYです。おめでとうございます!副賞のAmazonギフト券は既に送付しており、受賞者コメントも頂いております。今回はあわせて紹介したいと思います。

1位: NMRチューブ洗浄機


@hmandai8604さんによる作品です。現場の大学教員からツボを押さえた投稿を頂き、SNSユーザの心をがっつり掴んできました。RT数・いいね数も最多を獲得、見事受賞です。実際に買うと確かにお高いものなので、筆者も古いシリンジ針で似たようなものを自作したことがあります。しかし、金属針だとNMR管をたまに突き破ったりと、多少行き届かない点がありました。PTFEチューブを使うのは、安価で優れたアイデアだと思いました。

受賞者コメント:この度はケムステ「集まれ、みんなのラボのDIY!」で1位に選んで頂き、ありがとうございました。私が投稿したNMRチューブ洗浄機はありあわせの物で作成可能ですので、ぜひ作ってみて下さい。

2位: 100均モール


@chemneko0924さんによる工夫です。三方コック・マニホールドの掃除には筆者も毎回苦労しており、分解して大量のヘキサンに浸して超音波をかけたりなど、これってどうなんだろう・・・というやり方を毎度してたものです。安いモールを使う掃除法は実に優れた解決策だと思います。自分もモール1袋を買ってみようと思います!

受賞者コメント:「この度は2位に選んでいただきありがとうございます。モールの入手は容易な上に汎用性はかなり高いので、研究室に一袋常備するとほんの少し快適な研究生活を送れると思います。」

3位: 静電気遮蔽フラスコ立て

@picolylamineさんによるDIYです。これも言われてみれば・・・な方法で、現場の面倒ごとを見事に解決している、まさに「コロンブスの卵」です。それなりにお値段の張る静電気除去ガンやイオナイザーなどの使用機会が減るならスピーディですしお財布にも優しい。皆さんも是非試して見て下さい。

受賞者コメント:市販の静電気除去器具はまあまあなお値段がお値段がする上に効果も微妙で、空間除電装置(こちらもかなり高価)をねだったのですが買ってもらえず、そんな中で生まれたDIYでした。どうも私は静電気を帯びやすい体質のようで素手で作業してもダメでして、コンセントのアースにピンセットを突っ込んで握って電気を逃がしていたこともありました。(これはマネしない方がいいと思います。)試行錯誤の結果、アルミホイルで包むのが効果的と分かり、最終的にあのようなフラスコ立ての形で普段使いしています。あんな適当な工作で賞をいただくのは申し訳ない気もしますがアマギフありがとうございます!

特別賞:ロボットアーム


企画の言い出しっぺ=副代表の100%好みで選ぶという、特別賞。こちらも@picolylamineさんによるDIYです。第3位と同じ受賞者ですが、特定の人を贔屓していた訳ではなく、直感で選んだら気づかずこうなっていました(苦笑)。このDIYは特に何の役にも立ってないのですが、実は自分も同じことを考えてたので、親近感が湧いてしまいました。

副代表cosine選評:実は自分も同じことを考えて試そうとしたことがありました。この動画は(研究費ではなく自腹で3万出して買った)ロボットアームに電解反応スクリーニングをさせようとした形跡です。さてここで皆さんにクイズです。『なぜこれがモノにならなかったのでしょうか???』見事正解を出せた方、ボクの屍を超えてぜひ完成させてください!特にデジタル有機合成の皆さんとかには期待してます!

惜しくも次点!

実は受賞者に連絡が付かなかった時に備えて、次点が用意されていました。惜しくもあと一歩で選から漏れてしまった扱いなのですが、@STokuda_chemさんによるDIYを紹介します。同じ化学者としては、自分の実験を綺麗に撮影したいという意欲・意識にはとっても共感できるところです。学部4年生の学生さんと言うことで、創意工夫に年齢は関係無いのだなと思わせてくれるものでした。

 

おわりに

今回のようなSNSコンテスト企画は、ケムステとしても初めての試みで、どれだけ投稿があるか少し不安がありました。しかし蓋を開けてみると沢山のエントリが集まり、化学現場の創意工夫感を伝えるコンテンツづくりという意味でも、やって良かったなと思えています。スペースの都合で紹介しきれなかった他のDIYにも、優れたモノがたくさんありました。是非 #ケムステDIY タグからご覧下さい!

今回のコンテスト企画やノーベル賞企画に限らず、今後ともいろいろなSNS参加型企画を行ってみたいと思います。乞うご期待!

 

関連動画

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. シグマトロピー転位によるキラルα-アリールカルボニルの合成法
  2. 半導体ナノ結晶に配位した芳香族系有機化合物が可視光線で可逆的に脱…
  3. Fmoc-N-アルキルグリシンって何ができるの?―いろいろできま…
  4. 【3/10開催】 高活性酸化触媒の可能性 第1回Wako有機合成…
  5. 膨潤が引き起こす架橋高分子のメカノクロミズム
  6. パラトーシスを誘導する新規化合物トリプチセンーペプチドハイブリッ…
  7. 三核ホウ素触媒の創製からクリーンなアミド合成を実現
  8. 日本のお家芸、糖転移酵素を触媒とするための簡便糖ドナー合成法

注目情報

ピックアップ記事

  1. Eリリーの4-6月期は19%減益、通期見通し上方修正
  2. Ugi反応を利用できるアルデヒドアルデヒド・イソニトリル・カルボン酸・アミン
  3. 豚骨が高性能な有害金属吸着剤に
  4. フェントン反応 Fenton Reaction
  5. 山本 隆文 YAMAMOTO Takafumi
  6. 演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで
  7. パーソナライズド・エナジー構想
  8. β,β-ジフルオロホモアリルアルコールの合成
  9. ルボトム酸化 Rubottom Oxidation
  10. 第十二回ケムステVシンポ「水・有機材料・無機材料の最先端相転移現象 」

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年12月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる

第640回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所・総合研究大学院大学(飯野グループ)原島崇徳さん…

マーフィー試薬 Marfey reagent

概要Marfey試薬(1-フルオロ-2,4-ジニトロフェニル-5-L-アラニンアミド、略称:FD…

UC Berkeley と Baker Hughes が提携して脱炭素材料研究所を設立

ポイント 今回新たに設立される研究所 Baker Hughes Institute for…

メトキシ基で転位をコントロール!Niduterpenoid Bの全合成

ナザロフ環化に続く二度の環拡大というカスケード反応により、多環式複雑天然物niduterpenoid…

金属酸化物ナノ粒子触媒の「水の酸化反応に対する駆動力」の実験的観測

第639回のスポットライトリサーチは、東京科学大学理学院化学系(前田研究室)の岡崎 めぐみ 助教にお…

【無料ウェビナー】粒子分散の最前線~評価法から処理技術まで徹底解説~(三洋貿易株式会社)

1.ウェビナー概要2025年2月26日から28日までの3日間にわたり開催される三…

第18回日本化学連合シンポジウム「社会実装を実現する化学人材創出における新たな視点」

日本化学連合ではシンポジウムを毎年2回開催しています。そのうち2025年3月4日開催のシンポジウムで…

理研の一般公開に参加してみた

bergです。去る2024年11月16日(土)、横浜市鶴見区にある、理化学研究所横浜キャンパスの一般…

ツルツルアミノ酸にオレフィンを!脂肪族アミノ酸の脱水素化反応

脂肪族アミノ酸側鎖の脱水素化反応が報告された。本反応で得られるデヒドロアミノ酸は多様な非標準アミノ酸…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー