[スポンサーリンク]

一般的な話題

化学の祭典!国際化学オリンピック ”53rd IChO 2021 Japan” 開幕!

[スポンサーリンク]

2021年7月「オリンピック/パラリンピック 東京2020大会」も無観客ではあるものの無事開幕されました 。連日、アスリートらのメダルラッシュで盛り上がる中でありますが、化学者としては先日7月25日よりこちらも日本主催として開幕した化学の祭典「第53回国際化学オリンピック日本大会 IChO2021 Japan」にもやはり目が離せません!(画像出典:IChO2021 Japan)

大会でのサイエンスアスリートらの活躍も楽しみですが、母国開催中ということもあるので、
本記事では 一般観戦での第53回国際化学オリンピック日本大会の “開催期間中の楽しみ方” について簡単に紹介したいと思います。

国際化学オリンピックの日本大会について

「国際化学オリンピック大会 (International Chemistry Olympiad; IChO)」は世界の高校生たちが競い、交流し合うことによって、学術および化学・素材産業の次世代を担うグローバル人材の育成に寄与するとともに、「化学で未来を明るくする」ことを目的に開催されております。これまでの日本人の雄姿についても、以前よりケムステでも多く記事として取り上げていますのでご存知の方も多いかと思います(関連記事項 参照)。

そんな国際化学オリンピックの自国開催というのは、2010年第42回大会の東京(東京大学、早稲田大学)にて初めて開催されて以来、今回の2021年第53回大会で2回目となります。第53回大会は当初、7月24日~8月2日の会期にて、大阪(近畿大学 東大阪キャンパス)で開催されることになっていましたが、やはり新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響で、昨年のトルコ大会に引き続きリモートでの開催となりました。

本大会はリモート大会ということですが、映像での日本文化の紹介やVR (バーチャルリアリティ) 空間を用いての参加選手たちの国際交流、さらには普段はなかなか入れないような「世界最大規模の放射光施設SPring-8」へのVRツアーなども企画されており、リモートならではの利点も生かした内容となっております。

第53回国際化学オリンピック日本大会 IChO2021 Japan
開催日程:2021年7月25日(日)~8月2日(月)
主催:日本化学会「夢・化学-21」委員会
共催:科学技術振興機構

第53回国際化学オリンピック日本大会の歩き方

本大会の情報については期間中も第53回大会の特設サイト公式Twitterで随時更新されており、期中の様子を垣間見ることができます。

○IChO2021 Japanの特設サイト
 https://www.icho2021.org/ (ここにアクセスすればあますところなく第53回大会を満喫できるかと思います。”JP”のボタンを押せば日本語ページに飛びます)
○国際化学オリンピック日本大会公式Twitter アカウント(@IChO2021Japan

Fig. 1. 第53回国際化学オリンピック日本大会公式Twitter アカウントとその発信内容.

本特設サイトより開会式も見ることができます。日本らしい演出が始まり、有識者・著名人らによる開催の挨拶、各国代表紹介といった内容だったようです。式中は各国の参加選手ら各自のアバターを介しVR空間を使って交流できる仕様となっているようで、実際の臨場感などその雰囲気も大変気になるところではあります。

○2021年日本大会(リモート大会)開会式
 https://www.icho2021.org/icho2021/opening/
参加登録していなくても2021年7月25日(日)16:00から8月2日(月)24:00の期間内に限り開会式の動画を見ることが可能です

また、本会での催しの様子や国の文化等を紹介するニュースレターとして「Catalyzer」という広報誌が日々発信されています。

○2021年日本大会 Catalyzer
https://www.icho2021.org/icho2021/catalyzer/

フロンティア軌道論から関西弁のフレーズ紹介や大阪の通天閣のイルミネーションの紹介など、真面目な化学的記事から開催地の関西らしいユニークな話題について各国参加者とシェア・ディスカッションしている様子などを思い描くことができるかと思います。期中、毎日発信されていますので、参加選手になった気分で中身を確認しても良いかもしれません。

Fig. 2. 広報誌Catalyzer内容の一部抜粋.(出典:Catalyzer Vol.1)

情報量も多く、先ほど紹介しましたVR開会式の様子も「Catalyzer Vol.2」にて公開されていたりします。

国際化学オリンピックの記念すべき日本大会の “歩き方” について触れてみました。特設サイトにて大会の概要や内容について丁寧に発信されており、また期間中でしか閲覧できない内容もあります。ご興味ある方はこれを機にアクセスしてみてはいかがでしょうか。
「オリンピック/パラリンピック 東京2020大会」と「第53回国際化学オリンピック日本大会」、どちらの大会も母国開催で気分が上がるところかと思います。お家で楽しみながら、どちらのアスリート達にも声援を送りたいと思います。

ちょこっと余談

<余談その①>
題字のところで本大会のイメージ絵が気になった読者の方もいるかもしれません。もちろんただ元素記号を持っているのではなく、元素記号の組み合わせで「O, Mo, Te, Na, Si」(お も て な し)を表現し、日本開催らしさを表したものになります。

Fig. 3. 2021年の日本大会のイメージ.(出典:53rd IChO 2021 Japan特設サイト)

<余談その②>
国際化学オリンピックの開催時期については、運動の方のオリンピックとは異なり毎年開催されます。来年以降、2022年:中国(天津)、2023年:スイス(チューリッヒ)、2024年:サウジアラビア、2025年:アラブ首長国連邦と続きます。

<余談その③>
「国際物理オリンピック (International Physics Olympiad; IPhO)」も再来年の2023年7月にこちらも日本での開催が予定されています(2022年予定だったが2023年に順延)。こちらも合わせて注目していきたいですね。

○国際物理オリンピック2023日本大会 (IPhO 2023 TOKYO JAPAN) 特設ページ
https://ipho2023.jp/

参考リンク

【関連リンク】

【ケムステ記事】

関連書籍

[amazonjs asin=”4254146817″ locale=”JP” title=”国際化学オリンピックに挑戦! 1 ―基礎―”][amazonjs asin=”4535787042″ locale=”JP” title=”完全攻略 化学オリンピック 第2版”]
Avatar photo

ちおふぇん

投稿者の記事一覧

世の中の課題に対して分子レベルでのモノづくりからの解決を夢見る有機材料屋さん。
興味の対象は構造と物性およびそのその発現メカニズム。
好きな読み物は月刊化学のシリーズ連載。

関連記事

  1. 新アルゴリズムで量子化学的逆合成解析の限界突破!~未知反応をコン…
  2. 生合成を模倣した有機合成
  3. 水素結合水H4O
  4. 不安定な合成中間体がみえる?
  5. 東京化成工業がケムステVシンポに協賛しました
  6. 印象に残った天然物合成1
  7. 前人未踏の超分子構造体を「数学のチカラ」で見つけ出す
  8. ゴードン会議に参加して:ボストン周辺滞在記 Part II

注目情報

ピックアップ記事

  1. 超一流化学者の真剣勝負が生み出した丸かぶり論文
  2. 【速報】2010年ノーベル生理医学賞決定ーケンブリッジ大のエドワード氏
  3. 酸素ボンベ爆発、男性死亡 
  4. タンパクの「進化分子工学」とは
  5. ギ酸 (formic acid)
  6. 怒涛の編集長 壁村耐三 ~論文と漫画の共通項~
  7. 学問と創造―ノーベル賞化学者・野依良治博士
  8. メルドラム酸 Meldrum’s Acid
  9. スイスの博士課程ってどうなの?3〜面接と入学手続き〜
  10. Nature Catalysis創刊!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2021年7月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP