関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。
今回は食中毒と衛生管理の重要性について。ちょうど3年前に同誌で特集された「食品衛生関係」の続きと見ればよいのでしょうか。
化学は少ないですが、もっとも身近な食に関する記事が3つ紹介されています(記事はそれぞれのタイトルをクリックしていただければ全文無料で閲覧可能です。PDFファイル)。
ウェルシュ菌食中毒に関する最新の知見
東京都健康安全研究センターの門間千枝主任研究員による寄稿です。ウェルシュ菌って聞いたことありますでしょうか。
いわゆる、一晩寝かせた食べ物は味がしみて美味しいといわれますが、食中毒に関わるウェルシュ菌が発生する主な原因となっているそうです。ちなみにコロナ禍食中毒の発生率はというと、やぱり効き目のある緊急事態宣言が発令された、昨年4月は飲食店の利用が少なくなり激減していたようです。
といってもこのウェルシュ菌よる食中毒の発生は、下の食中毒の原因分布をみればわかるように、アニサキスやカンピロバクター、ノロウィルスにくらべて極めて少なくマイナーなもの。本記事ではマイナーではありながら、必ず発生するこのウェルシュ菌の特徴と食中毒の発生状況、検査法について
Core genome MLSTによる食中毒菌の汚染ルートの推定~食品を汚染した菌はどのように追跡するのか?~
東京海洋大学の高橋肇准教授らによる寄稿。
食中毒の検査は基本的には培養法。迅速に検査できるものではなく、いろいろと問題があります。最近ではPCRやリアルタイムPCR法が普及してその状況が変わりつつあるとのこと。
記事では、遺伝子手法を用いた食中毒のモリタリング法、特に食品製造現場における食中毒菌などのお宣言を解析するための最新手法について解説しています。
食肉処理における衛生対策~洗浄作業の重要性~
JA全農ミートフーズ株式会社常務取締役である、菊池孝治氏による寄稿です。豚肉の食肉処理に関する微生物混入に関する問題や洗浄作業を含めた衛生対策についてのべています。一旦食中毒が発生してしまえば、企業の存続もままならないことになりかねないので、最新の注意を払っているようです。肉に関する食中毒は過去にも大きなニュースになっていることから、身近な話題に感じました。
過去のケミカルタイムズ解説記事
- 機能性ナノマテリアル シクロデキストリンの科学(2020. No.4)
- 再生医療関連技術(2020. No.2 )
- 医薬品の品質管理 (2020 No.1)
- 表面処理技術 (2019 No.4)
- HACCP制度化と食品安全マネジメトシステム(2019 No.3)
- C–H活性化反応 (2019 No.2)
- 遺伝子工学ーゲノム編集と最新技術 (2019. No.1)
- 感染制御ー薬剤耐性 (2018.No.4)
- 天然物の全合成研究 (2018. No.3)
- 有機分子触媒(2018.No. 2)
- 分析技術(2018, No.1)
- イオン液体(2017年 No.4)
- 電子デバイス製造技術(2017年 No.3)
- 食品衛生関係 ーChemical Times特集より (2017年 No.2)
- 免疫/アレルギー(2017年No.1)
- 標準物質(2016年No.4)
- 再生医療(2016年No.3)
- クロスカップリング反応 (2016年No.2)
- 薬物耐性菌を学ぶ (2016年No.1)