2020年も今日で終わり。今年はいかがでしたでしょうか。毎年人気記事ランキングを行っていますが、この記事にあるように、今年は忘年会と併せてライブ配信で行いました。新型コロナの蔓延・緊急事態宣言の発令など時代背景も相まって動画コンテンツに進出したケムステの今年を象徴しています。以下で視聴できますので時間があるときにぜひ振り返ってみてください。
本記事では、動画のなかで紹介されている論文や記事のリンクを掲載いたします。詳しくは動画を御覧ください。
ケムステが選ぶ今年の分子
参考:分子集合体がつくるポリ[n]カテナンケムステスタッフの活躍
- エステルダンス: Matsushita, K.; Takise, R.; Muto, K.; Yamaguchi, J. Ester dance reaction on the aromatic ringSci. Adv. 2020, 6, eaba7614. DOI 10.1126/sciadv.aba7614
- タキソールの全合成:Kanda, Y.; Nakamura, H.; Umemiya, S.; Puthukanoori, R. K.; Appala, V. R. M.; Gaddamanugu, G. K.; Paraselli, B. R.; Baran, P. S. Two-Phase Synthesis of Taxol. J Am Chem Soc 2020, 142, 10526–10533. DOI: 10.1021/jacs.0c03592
司会者が独断と偏見で選ぶ今年の化学
すごい機能
- CO2キャプチャーMOF Kim, Long et al., Science 2020, 369, 392-396. DOI: 10.1126/science.abb3976
新しい合成ツール
- メカノケミストリー:Kubota, Ito, et al., Science 2019, 366, 1500–1504. Seo, Kubota, Ito, J. Am. Chem. Soc. 2020, 142, 9884–9889. DOI: 10.1021/jacs.0c01739 [関連ケムステ記事] メカノケミストリーを用いた固体クロスカップリング反応
・スマートスターラー : Cherkasov et al., ACS Sens. 2020, 5, 2497−2502.DOI: 10.1021/acssensors.0c00720
・ロボット合成: Burger, Cooper, et al., Nature 2020, 583, 237. DOI: https://doi.org/10.1038/s41586-020-2442-2 [関連ケムステ記事] 自律的に化学実験するロボット科学者、研究の自動化に成功 8日間で約700回の実験、人間なら数カ月
ドキッとした論文
・カルバゾールの超残光は不純物由来: Chen, Liu et al., chemRxiv 2019, DOI: 10.26434/chemrxiv. 9895724. Impurity Conundrum of Organic Room Temperature Afterglow
Chen, Liu, et al., Nature Mater. 2020, DOI: 10.1038/s41563-020-0797-2.Carbazole isomers induce ultralong organic phosphorescence
個人的に印象に残っているもの
・常温超伝導(ただし超高圧): Snider, Dias, et al., Nature 2020, 586, 373–377. DOI: 10.1038/s41586-020-2801-z
・100%水分解光触媒: Takata, Domen, et al., Nature 2020, 581, 386-388. DOI:10.1038/s41586-020-2278-9 [関連ケムステ記事] 世界初の「窒化タンタル光触媒」、可視光で水分解
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