CO2削減に向けて太陽電池開発が盛んになっていますが、そんな中でリコーが開発した固体型色素増感太陽電池を搭載したマウスが10月に発売されたので買ってみました。
色素増感型太陽電池(グレッツェルセル)は30年ほど前に発明されてから次世代エネルギー源として研究が行なわれてきました。工作キットが売られる程度には作るのが簡単という特徴がありますが、エネルギー変換効率や耐久性に問題があり身近ではあまり目にする機会がありません。また、湿式であるということは電解液の揮発や漏れという心配がありました。そんな中でリコーは、2014年に「室内光に適した高性能の完全固体型色素増感太陽電池の開発に成功」というニュースリリースを出し、昨年に最初の実用化製品を発表し、今回初めて一般人でも手に入れやすい製品をビフレステックと共同で発売しました。
このマウス、太陽電池以外にも化学関係者をひきつける特徴があります。なんとバッテリーではなくリチウムイオンキャパシタ(分解していないためわかりませんが太陽誘電製でしょうか?)を搭載しています。そのためUSB端子から90秒でフル充電が終わるとのこと(マグネット式のUSB-C充電ケーブル付属)。最近は急速充電技術が発達しているためメリットは小さいかもしれませんが、とりあえず珍しいものが手に入ることは大きなポイントです。
実際のマウスとしての使用感は可も無く不可もなくという感じ。放電を抑えるためかしばらく使わないとサスペンドする点は少し気になりますが、クリックすれば元に戻ります。軽量で小さく折りたためるのは持ち運びに便利です。個人的には1,628円(+送料)で最新技術を体感できるなら安い気がします。数量限定かつ生産に時間かかるようですが、気になる方は試してみていかがでしょうか。
この太陽電池自体は(室内)環境センサーへの搭載を展開していくようです。太陽電池部分の色(今回は赤い色素)は変えられるようなので、例えばセンサーの種類毎に色わけされた自己給電モジュールを実験室のモニタリングに利用できるようにならないかと期待しています。