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「決断できる人」がしている3つのこと

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新型コロナウィルス感染症による影響の長期化により、リモートワークの常態化、人事評価制度の再考、人材教育の在り方はもちろんのこと、求められる人材も今後更に変化していくと予想されます。変化が大きい不確定な環境の中において、雇用する側も、される側も、さまざまな場面で決断を求められています。先日、こうした環境下においても積極的な採用活動をしている企業の経営者の方に、今後どのような人材を採用したいと思っているか聞いてみたところ、「自分で決断できる人」という答えが返ってきました。「良い大学出身であるとか、良い会社に勤めていた経験はもちろん本人の努力の結果ですから、素晴らしいとは思いますが、『自分で決断できる人かどうか』は別問題です。部下に研究の企画書や市場環境の調査などを指示した際、念入りにリサーチしてくるし、資料のクオリティも高く、本当に優秀だと思います。しかし、『〇〇さんはこの情報からどうしたい?やるべきだと思う?』と敢えて聞くと、黙ってしまいます。自分がやるかどうかについて意見を言い、責任が発生するのを避けたいのですね。彼らも賢いので、そういうリスクを取りたがらないし、取ったことがない。でも、リスクが取れない人に仕事は任せられません。厳しい言い方をすると、パーフェクトな資料や正確なリサーチ能力だけであれば、外注したら幾らでも優秀な人はいます。『こういうリスクはあるが、今やるべきだと私は思います』と言える人が、これから特に価値がでると思いますよ。」

もともと、こうした能力は以前から求められてはいましたが、予測が困難な市場環境の中、その傾向が強まっているように感じます。今回は、自分で決められるようにするにはどうすれば良いのか、これまでの取材をもとに考えていきたいと思います。

 

1.一次情報にあたること

一次情報とは、自分自身が情報源となる情報です。自分が実際に見たり、触ったりして体験したことから生まれる情報のことです。一次情報を取得するのは、時間や手間はかかりますが、インターネットやマスメディアから得た情報や、人づてに聞いた情報より価値があると言えます。こうしたことを理解した上で、過去に採用面接で実際にあったエピソードを紹介します。

あるメーカーが一般用医薬品事業を強化するにあたり、開発担当者を募集しました。これまでも機能性食品やサプリメントは取り扱っていましたが、本格的に参入するための人材獲得が目的です。一次面接では志望動機のプレゼンテーションで、方法や内容は自由というスタイルでした。多くの候補者の方がホームページや新聞で得られるような情報をもとにした、ごく一般的な志望動機に留まる中、ある30代の候補者Aさんは異彩を放っていました。特に印象的だったのは、この食品メーカーの発売している機能性食品やサプリメントをほぼ全て自分で試し、それぞれの製品の味や匂い、成分、効果の所感や、パッケージや価格に至るまで類似製品の比較情報をまとめてきていたことです。そうした情報をもとに、自分が入社したらこういう方向性で開発をしていきたい、という話をされ、面接官の想像を超えた内容に皆が脱帽しました。おそらく、インターネットやSNSで製品の感想や、類似製品の調査くらいは簡単にできてしまうのですが、この方の凄いところは、「薬局で疲労回復に良いサプリメントのおすすめを聞いてみましたが、別の会社の〇〇を進められました。この分野では〇〇がCM等の効果で強いので、マーケティングを強化した方がよいと感じました」「御社の機能性食品の〇〇は飲みやすく、成分に○○が入っているため、長期的に摂取することで効果は実感できるように感じました」など、実際に足を運び、体験をしているということです。ここまで徹底した対策は難しいとしても、こうした一手間をかけるかどうかで大きな差が生まれるのは確かです。普段から何かを決めるときに「一次情報にはちゃんとあたったのか?」を心掛けることをお勧めします。

 

2.目的を明確にすること

自分で決断できるようになるためには、多くの情報を集めることが重要ですが、それだけでは不十分です。先の一次情報に加え、インターネットやマスメディア、専門家の意見、過去の事例、専門機関の調査レポートなど、情報は無限にあります。そして知れば知るほど様々な考えや方向性があるので、「これを調べてどうしたいのか」という目的が曖昧だと結局どうしてよいか分からなくなってしまうように思います。ある成長中のベンチャー企業にて、ライフサイエンス分野での新規事業の責任者候補の面接のとき、技術系コンサルティング会社出身の20代後半の男性が企画に関するプレゼンテーションを行いました。資料は非常に見やすく、よく調べてありましたが、結果は不採用でした。担当者に理由を聞くと、「優秀なリサーチャーではありますが、私たちの会社の目的が分かってないようですね」と言います。「彼は新規事業の企画案について、網羅的に調査し、アイデアを持ってきてくれました。それ自体は良いことです。ただ、私たちの事業の目的が全く伝わっていないのだと思いました。『オープンイノベーションを促進する地域拠点になる』とか『複数の海外ベンチャーと技術提携する』とか、一見とても響きがよいですが、私たちの会社の目的には全く合わないし、具体性もない。絵にかいた餅です。正直、アイデアを出すだけの人は難しいです。この会社の目的を理解し、この方法ならその目的が実現できるという具体的な計画を示せる人がほしいのです」。この企業の担当者が言うように、ただ大量の情報を集めて並べれば良いというものではなく、目的を理解して、目的達成のためにはどの選択がベストかを考えることが必要です。

 

3.自分で決める習慣をもつこと

十分な情報収集と目的を確認したら、あとは自分で決める習慣を持つことです。大きく働く環境が変わる中、勤務時間や場所なども含めて自由になることで、新たに自分で決めなければいけない場面は間違いなく増えていくと思います。例えば、新製品を開発するにしても、コロナ禍の中で素材の価格が大きく変動していたり、政治情勢が貿易に与える影響であったり、予測しづらい複雑な市場環境の中、素材の調達、生産体制、人材確保など、選択をしていかなければなりません。誰も正解が分からない中、会社や上司が導き出した選択に盲目的に従うのではなく、自分でも一次情報にあたり、目的を顧み、本当にその選択が適切なのか、リスクは何か、それにどう対処していくのかを、当事者意識を持って考えていける人は今後更に求められるのではないかと思います。決断をする立場の人も、常にそれがベストな選択なのか不安に思っています。だからこそ部下やチームメンバーに「○○さんはどう思いますか?」と聞くのではないかと思います。そんな中、何も考えずに「〇〇さんが決めたことなので従います」という言う人より、「私も自分なりに考えましたが、○○のリスクはありますが、弊社なら対応可能なので、進めることに賛成です」と言ってもらえる方が心強く、信頼を得ることができるのではないかと思います。自分で決めるのが苦手という相談は多いですが、まずは自分でコントロールが可能な範囲において訓練することをお勧めします。休日に何も考えずに過ごしていた方は何をして過ごすのか決断する、誘われたまま全ての飲み会に参加していた方は行くべきか断るべきかを考えて決断するなど、小さな選択を意識して行うことが大切です。自分で決断するというのは、その決断の責任を自分がとるということです。だからこそ、たとえ小さな選択であってもよく考える必要があり、その過程において自分の本音と向き合うことが出来ます。これからの社会で個人として、組織として、納得のできる決断をするために、参考にして頂ければ幸いです。

まとめ

「決断できる人」がしている3つのこと

  1. 一次情報にあたること
  2. 目的を明確にすること
  3. 自分で決める習慣をもつこと

*本記事はLHH転職エージェントによる寄稿記事です

LHH転職エージェント(アデコ株式会社)は、中途採用のための転職エージェント。
20代、30代、40代の決定実績が豊富です。
化学系技術職においては、研究・開発、評価、分析、プロセスエンジニア、プロダクトマネジメント、製造・生産技術、生産管理、品質管理、工場管理職、設備保全・メンテナンス、セールスエンジニア、技術営業、特許技術者などの求人があります。
転職コンサルタントは、企業側と求職者側の両方を担当する360度式。
「技術のことをよくわかってもらえない」「提案が少ない」「企業側の様子がわからない」といった不安の解消に努めています。


 

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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