今年初めから猛威を振るっているコロナ禍ですが、まだまだ収束する気配がありません。日本でも感染者が増えており、長期にわたって上手く付き合っていく必要性を感じています。
さて研究者はというと、コロナ対策に向けてもちろん日夜研究を続けていますが、支援がなければ研究は続きません。金銭も含めていろんな支援の形があってよいと思うのですが、今回はユニークな取り組みを一つご紹介させていただきます。
山形大学の川上勝准教授およびスタジオミダスは、独自開発したシリコン3Dプリント法を用い、コロナウィルスにちなむタンパク質模型の販売を始めました(スタジオミダスストアをご覧下さい)。実費送料を除く売り上げは全て学術研究支援を目的に寄附するプランとのことで、是非いろんな方にご協力いただければと思います。
プロジェクトについて
現在、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、深刻な状況になっています。
各国で感染防止のための活動と、感染者の療養が行われていますが、同時に、このウイルスの正体、働きを深く理解し、それを元に治療薬やワクチンを開発するため、世界中の科学者達による多大な研究が進められており、タンパク質の構造データバンク(PDBサーバ)にはこのウイルス由来のタンパク質の構造データが数多く登録されてきています。
新聞やテレビのメディアにも、新型コロナウイルスの対抗薬候補として、色々な薬剤の名前が上がり、その働きを説明する記事が多く掲載されるようになってきましたが、複雑なウイルスの構造、薬剤が働く仕組みを理解することは難しいと思われます。
以前から、山形大学工学部の川上准教授は、3Dプリンターでタンパク質の立体構造を印刷し、実際に模型を手に取って、タンパク質の複雑な構造の理解や働きを理解することを助ける事を提唱してきました。実際にこれまで、「川上モデル」と呼ばれる特殊な模型の製法を発案し、埼玉県上尾市にあるスタジオミダス社と協力し「SilMol」というブランド名で、商品化を実現しています。
また、近年の3Dプリンター技術の大幅な進化により、今まで実現できなかった模型も製作ができるようになりました。特にフルカラーでの出力が可能なミマキエンジニアリング社の3Dプリンターを駆使することで、小さいながらも表面構造と内部骨格構造を同時に表現した模型を開発することに成功しました。、
そこで、研究者だけでなく、広く一般の方にも、科学によって解明されつつあるコロナウイルスの情報、コロナウイルス研究の状況を知ってもらうため、スタジオミダス社では、これらのコロナウイルス由来タンパク質の分子模型を製造し、販売することにいたしました。
すでに第一弾として、コロナウイルス由来のプロテアーゼの分子模型を販売し、好評を得ております。第二弾として、コロナウイルス由来のRNAポリメラーゼ、RNAとレムデシビルの複合体模型の販売を開始いたしました。
[2021/5/18追記] 第三段としてスパイクタンパク質と抗体の結合モデルが提供開始されました!
なお、模型の売り上げは実費(送料、梱包費)を除いてすべてタンパク質構造データベース機構PDBjに寄付する予定です。少しでもコロナウイルスの研究のお役に立てればと思います。
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