[スポンサーリンク]

一般的な話題

表面処理技術ーChemical Times特集より

[スポンサーリンク]

関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。

今回の特集は「表面処理技術」。非常に幅広い分野であり、よくぞ特集にしたという内容。シリコン製剤からCVDの応用、めっきや酸化物半導体まで様々な表面処理技術を取り扱っています。

なお各記事はそれぞれのタイトルをクリックしていただければ全文無料で閲覧可能です。PDFファイル)。1冊すべてご覧になる場合はこちら

シリコン製剤による体内水素発生と医薬応用

阪大医学部島田 昌一教授らによる寄稿。読みましたが、内容や効果に関しては疑問なので、紹介までに。

ミストCVD法による各種薄膜形成技術

株式会社FLOSFIAの四戸 孝取締役CTOによる寄稿。この会社京大発のベンチャー企業でミストドライ®技術を中心に成膜、酸化ガリウムGa2O3をもちいた電源モジュールを主事業としているようです。ミストドライ®は液状原料を霧状(ミスト)にして、基板上に輸送し、非真空プロセスで成膜する方法。いわゆる液体を使ったCVでガス状態にするのが難しく材料に使える表面処理技術です。記事では、そのミストドライ法の説明と応用について紹介しています。

ミストドライの適用製品 (Chemical Timesより)

極薄超精密無電解金めっき

東工大の真島豊教授による記事。同研究室ではボトムアップエレクトロニクスに着目し研究を行っています。具体的には、無電解金メッキを用いて金のナノギャップ電極を構築するプロセス技術に関する研究、分子分解能走査型トンネル顕微鏡を用いて、常温分子メモリや、分子間共鳴トンネルダイオードに関する研究や金属ナノ粒子を用いた単一電子デバイスの論理回路動作実証に関する研究、新しい磁気力顕微鏡に関する研究です。本記事では、無電解金メッキについて詳しく述べています。

ギャップ長の精密制御のために、モノアルキルトリメチルアンモニウムブロミドを金表面に反応させています。

無電解金メッキ(Chemical Timesより)

Cu配線を備えた酸化物半導体薄膜トランジスタにおけるキャップ層の導入による特性安定化

神戸製鋼所とグループの総合試験研究会社コベルコ科研による共同執筆記事。

本記事では、酸化物半導体TFTに対するCu配線を導入した際の特製劣化問題とその解決策として酸化ギャップ層を用いた積層型の酸化物半導体TFTについて紹介しています。

例えば、TFTで用いられる配線の加工の話。Cu配線には過酸化水素を主剤としたエッチング液が使用されます。酸化物半導体にはエッチング液に対する耐性が求められ、IGZO系酸化物半導体の場合、Cu配線で用いられる過酸化水素系エッチング溶液の耐性はその構成比によっってことなります。Zn添加量の多い領域ではエッチング速度が高く、Ga添加量が多い領域では低くなる傾向がみられます。

In-Ga-Zo-O系における過酸化水素系に対するエッチング速度(Chemical Timesより)

 

いずれの記事も、表面加工の基礎についての記事が日本語で読めますので、ぜひご覧になってはいかがでしょうか。

過去のケミカルタイムズ解説記事

外部リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 研究室でDIY! ~明るい棚を作ろう~
  2. チオカルバマートを用いたCOSのケミカルバイオロジー
  3. 化学研究で役に立つデータ解析入門:回帰分析の活用を広げる編
  4. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑲:Loupe…
  5. 第98回日本化学会春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Pa…
  6. タミフルの効果
  7. COVID-19状況下での化学教育について Journal of…
  8. メチレン架橋[6]シクロパラフェニレン

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. [12]シクロパラフェニレン : [12]Cycloparaphenylene
  2. 有機ナノチューブの新規合成法の開発
  3. 第118回―「糖鎖のケミカルバイオロジーを追究する」Carolyn Bertozzi教授
  4. 水溶性ニッケル塩を利用したグリーンな銅ナノ粒子合成法の開発
  5. エステル、アミド、ニトリルの金属水素化物による部分還元 Partial Reduction of Esters, Amides nad Nitriles with Metal Hydride
  6. 【インドCLIP】製薬3社 抗エイズ薬後発品で米から認可
  7. ベンゼン環が速く・キレイに描けるルーズリーフ
  8. レスベラトロール /resveratrol
  9. 胃薬のラニチジンに発がん性物質混入のおそれ ~簡易まとめ
  10. バートン トリフルオロメチル化 Burton Trifluoromethylation

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2019年10月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎

開催日:2024/05/15 申込みはこちら■開催概要マテリアルズ・インフォマティクスを…

分子は基板表面で「寝返り」をうつ!「一時停止」蒸着法で自発分極の制御自在

第613回のスポットライトリサーチは、千葉大学 石井久夫研究室の大原 正裕(おおはら まさひろ)さん…

GoodNotesに化学構造が書きやすいノートが新登場!その使用感はいかに?

みなさんは現在どのようなもので授業ノートを取っていますでしょうか。私が学生だったときには電子…

化学者のためのWordマクロ -Supporting Informationの作成作業効率化-

「化合物データの帰属チェックリスト、見やすいんですが、もっと使いやすくならないですか」ある日、ラ…

酢酸ウラニル(VI) –意外なところから見つかる放射性物質–

酢酸ウラニル(VI) (UO2(CH3COO)2·2H2O) はウラニル (二酸化ウ…

機械学習と計算化学を融合したデータ駆動的な反応選択性の解明

第612回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学 大学院理工学府(五東研究室)博士課程後期1年の坂…

超塩基配位子が助けてくれる!銅触媒による四級炭素の構築

銅触媒による三級アルキルハライドとアニリン類とのC–Cクロスカップリングが開発された。高い電子供与性…

先端領域に携わりたいという秘めた思い。考えてもいなかったスタートアップに叶う場があった

研究職としてキャリアを重ねている方々の中には、スタートアップは企業規模が小さく不安定だからといった理…

励起パラジウム触媒でケトンを還元!ケチルラジカルの新たな発生法と反応への応用

第 611 回のスポットライトリサーチは、(前) 乙卯研究所 博士研究員、(現) 北海道大学 化学反…

“マブ” “ナブ” “チニブ” とかのはなし

Tshozoです。件のことからお薬について相変わらず色々と調べているのですが、その中で薬の名…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP