関東化学が発行する化学情報誌「ケミカルタイムズ」。年4回発行のこの無料雑誌の紹介をしています。
2019年第三号はHACCP制度化と食品安全マネジメントシステムについて。聞き慣れない言葉ですね。HACCPとはHazard Analysis Critical Control Pointの頭文字をとったもので、直訳すると危害分析重要管理点。食品衛生管理の国際基準のことです。食品衛生法の改正により、すべての食品事業者に導入が義務付けられることになっています。2020 年6 月までに制度が施行、1 年間の猶予を持って21 年6 月までに実施することが決まっています。
え、それって化学か?と言う声が聞こえてきそうですが、シリーズ化しているので記事を紹介しましょう。
なお各記事はそれぞれのタイトルをクリックしていただければ全文無料で閲覧可能です。PDFファイル)。1冊すべてご覧になる場合はこちら。
HACCPの制度化への期待 -色々な角度からHACCPを見る-
宮城大学 名誉教授の池戸 重信氏による寄稿。記事では、HACCPとはどういうものか多角的な視点で解説しています。NASAの宇宙食の開発の際に考案されたHACCPは以下の表のような手順のもとに成り立っています。余談となりますがHACCPの読み方についても言及しています。
制度化されたHACCPの基本と一般衛生管理
東京顕微鏡院 食と環境の科学センター 名誉所長伊藤 武氏らによる記事。内容は池戸氏の記事に類似していますが、具体的な例をだして、HACCPのプランを紹介しています(例は冷凍メンチカツのHACCPプラン)。
HACCP制度化と家畜・畜産物への波紋 ―避けては通れない畜産物の安全性―
NPO法人日本食品安全検証機構(JVO)理事長茶薗 明氏の寄稿。上記2つの記事とは角度が異なり、家畜生産農場での事例をあげています。家畜生産農場はHACCP制度化においては対象外であるものの、食品衛生の一般原則として、安全性の高い原材料の確保が求められており、家畜・畜産物の出荷先(生産農場や食品農場)は、より健康的で安全性の高い食材としての家畜・畜産物を求める必要があります。
HACCPの先にある認証制度について
最後は、山口大学共同獣医学部の豊福 肇教授による記事。小売事業者や製造業者が、自ら扱う商品の安全性や信頼性を確保するために、取引先の監査の一部を肩代わりするものとして、中立な第三者による認証システムが頻繁に活用されています。記事ではそれら食品安全マネージメントシステムと認証制度について述べています。
いずれの記事も、あまり馴染みのないHACCP関連の記事が日本語で読めますので、ぜひご覧になってはいかがでしょうか。
過去のケミカルタイムズ解説記事
- C–H活性化反応 (2019 No.2)
- 遺伝子工学ーゲノム編集と最新技術 (2019. No.1)
- 感染制御ー薬剤耐性 (2018.No.4)
- 天然物の全合成研究 (2018. No.3)
- 有機分子触媒(2018.No. 2)
- 分析技術(2018, No.1)
- イオン液体(2017年 No.4)
- 電子デバイス製造技術(2017年 No.3)
- 食品衛生関係 ーChemical Times特集より (2017年 No.2)
- 免疫/アレルギー(2017年No.1)
- 標準物質(2016年No.4)
- 再生医療(2016年No.3)
- クロスカップリング反応 (2016年No.2)
- 薬物耐性菌を学ぶ (2016年No.1)