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シンポジウム・向山先生の思い出を語る会

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すでにご存知のことと思いますが、向山光昭先生が昨年11月17日に満91歳でご逝去されました。謹んで心より追悼の意を表します。

先生のご業績、ご活躍、思い出やエピソードを語りながら故人の足跡を振り返りたく、あらためて思いを寄せる会の開催を希望する声を受けて、「向山光昭先生を偲ぶ会」が4月28日に東京で行われます。

その中で、「シンポジウム・向山先生の思い出を語る会」も同時に行われるようです。この機会に、一般の方、同窓のみならず、若い世代の方々の参加も可能であるそうなので、ぜひ参加ください。

申込みはこちら

締め切りは、4月6日(土)です。

なお、ケムステでも追悼企画を考えましたが、膨大な業績やエピソードをまとめ切れませんでした。レジェンド世代と若手の3名の先生方にコメントをいただいたので紹介させていただきます。

山本尚先生

向山先生の思い出は尽きない。
しかし、私にとって最も大切な思い出は、
クラレのシンポジウムや東京のセンチュリーハイアットのスイーツでの数名の贅沢な数日に渡る会合、また日米の若手研究者(トロストやシャープレス等)のミニシンポジウムなど先生の若手研究者を育てる熱意である。私の大津会議、MBLA、名古屋メダルなどスケールは小さいが、いずれも先生のお志の万分の1でもと思って始めたものばかりです。
姿勢の良い、いつも胸を張っておられた先生に、もはやお目にかかることができないことは、心に大きな穴が開いた気持がいたします。ご冥福を心からお祈り申し上げます(山本 尚)

今本恒雄先生

向山光昭先生のご逝去の報に接し,悲しみにたえません。
私は大阪大学大学院で有機反応機構を学んだ後,有機合成化学を修得するために東京工業大学向山研究室の門をたたいて,1972年日本学術振興会奨励研究員として受け入れていただきました。わずか1年間ではありましたが,先生からの叱咤激励は強烈で普通の研究室での数年間分を学んだ感じでした。その後,大阪大学助手,ウェイン大学博士研究員を経て,1978年東京大学で研究生として受け入れていただき,再び先生から直々にご指導を受けました。その後,千葉大学教員に
採用されてからもしばしば激励され,充実した研究者生活を送ることができました。2008年に千葉大学を定年退職しましたが,その後も会社の技術顧問として働いており,先生の名言である「素直さと明るさと情熱を!」を一時も忘れることなく,連日フラスコを手にとって有機合成実験に励んでおります。実験をしている最中も時折向山先生と激しく研究討論している様子が脳裏に浮かび,そのたびに向山先生は私の人生最大の恩人であることを実感し,ただ合掌するのみです。
向山先生,ありがとうございました。先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。(今本恒雄)

2008年3月千葉大学けやき会館にて(写真:今本先生提供)

 

萬代大樹先生

向山先生のもとで過ごした濃密な6年間(B4~D3)の思い出はここで語りきれないぐらい沢山あります.

「どうだい?(時々,どうした?)」の一声で始まる真剣勝負のディスカッション.多いときには1日8回ありました.NMR測定の結果が待ちきれず,NMR室に電話を掛けてきてディスカッションをしたこともありましたね.実験データのストックを十分に持っていないと先生に太刀打ちできませんでした.当時は精神的・体力的に相当きつかったですが,今ではよき思い出です.在学中,Hoveyda研での留学時代,そしてアカデミックに進んでからも,たくさんの叱咤激励,そして愛情いただきました.

2014年以降,向山先生に直接お会いすることができず,このような日を迎えてしまったこと誠に残念です.今後は空から温かく見守ってくれると思います.

アカデミックに進んだ最後の弟子として,向山先生から学んだ精神や哲学を学生に伝えていきたいと思います. 向山先生,今まで本当にありがとうございました.どうか安らかにおやすみください.

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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