先日国立科学博物館にて「日本を変えた千の技術博」という特別展が開かれているというポストがありました。筆者も先日行ってきたのですが、そこで見つけた1878年に宇田川準一(宇田川榕庵の養子である興斎の子)が記したとされる「元素化合量一覧表」からヒントを得て、今回は皆様に元素の和名クイズを出したいと思います。短いネタですがお付き合い下さい。
宇田川榕庵は「酸素」「水素」など、元素の名称を和訳して充てたことでよく知られています。準一はその孫ということになるので、化学に関係する仕事をしていたのかもしれません。あまり情報がないのですが、東京師範学校の教員などを勤めていました(こちらを参照)。
ネタバレになるので詳しくは紹介しませんが、展示されていた「元素化合量一覧表」では、当時知られていた元素の性状や「化合量」現代で言うところの原子量が一覧になっています。メンデレーエフの周期表とは異なり、どんな基準で元素を並べたのか一瞬わかりませんでした。答は実物を見てご判断下さいませ。
面白いのが元素名の漢字で、アルミニウムが「亞爾密紐母」と書かれていたりして、当時の人は当て字も大変だったろうなあと感心したりしました(暴走族みたい?)。少し調べてみるとWikipediaにこんなページを見つけたのですが、最後の文字は母(音:ぼ)ではなく謨(音:ぼ、モ)で書かれていました。検索してみると謨の方が一般的なようです。
それではそのあたりを踏まえて、クイズを元素化合量一覧表から出題してみましょう。答は最後にまとめて書くことにします。まずは初級編から。
- 硼素
- 弗素
- 珪素
- 沃素
- 砒石
まあ簡単過ぎですかね。一般的には使いませんが、漢字の変換でも出てきますし。という訳で中級編行きます。(謨ではなく原本通り「母」を使います。)
- 利知烏母
- 満俺
- 加爾叟母
- 攝イ留(にんべんに留の字)母
- 加度繆母
- 麻倔涅叟母
- 坦倶斯典
そんな字知らないよというのもありますが、なんとなく読めちゃいそうな気がしませんか?それでは続いて上級編へ。
- 攝素
- 的素
- 鹽素
- 烏刺紐母
- 篤律母
- 壹多イ留(にんべんに留の字)母
かなりひねってありますし、そもそも読み方が分からない漢字が混ざってますね。4は一瞬鳥刺しかと思いました。さあいよいよ最後の難問編です。
- 曹冑母
- 私篤倫知母
- 朗荅紐母
- 悉爾箇紐母
- 蒼鉛
最後のは知っている人も多いかもしれませんね。頭を柔らかくしないと読めないかと思います。
ということでクイズをお届けいたしましたがお楽しみいただけましたでしょうか。あくまで宇田川準一の「元素化合量一覧表」からの出題ですので、その後一般的に定着したものではないことをご理解下さい。他にも問題にしたいなと思ったものがあるのですが、そもそも何と読む漢字かが分からず断念しました。既に使われていないような漢字も混ざっているようです。
解答
初級編 1: ホウ素, 2: フッ素, 3: ケイ素, 4: ヨウ素, 5: ヒ素
中級編 1: リチウム, 2: マンガン, 3: カルシウム, 4: セリウム, 5: カドミウム, 6: マグネシウム, 7: タングステン
上級編 1: セレン, 2: テルル, 3: 塩素, 4: ウラン(ウラニューム), 5: トリウム(ソリューム), 6: イットリウム
難問編 1: ナトリウム(ソドューム), 2: ストロンチウム, 3: ランタン(ランタナム), 4: ジルコニウム, 5: ビスマス
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