上野公園内の日本科学博物館で開催されている「日本を変えた千の技術博」をみてきました。
科博の特別展といえば毎度結構な混雑を覚悟するのですが、今回のテーマは比較的地味であるせいか休日でも自分のペースでゆっくり回ることができそうです。
ケムステ読者が気になるであろう化学関連の展示はいくらかあります。個人的に見られて良かったのは廃止が決定されたキログラム原器(レプリカ?)ですが、他にも炭素繊維の説明であったり、古い射出成形機や分留器などの展示があります。化学に関するものだけを求めると物足りなさを感じるかもしれませんが、レトロな工業製品を眺めるという目的では楽しめる企画でしょう。フラッシュを焚かなければ写真撮影も自由です。
そんな中で突然現われるのが東工大グループによるアンモニア合成触媒サンプル。
- 高活性なアンモニア合成触媒を実現 -アンモニア合成の新技術として期待-
- “Ammonia synthesis using a stable electride as an electron donor and reversible hydrogen store” Nat. Chem. 2012.
一般人は素通り気味でしたが、私としては新しいものをとにかく展示する姿勢はよいと感じました。こういった企画に食い込んでいけるような化学の発見が増えるといいですね。
日本科学博物館は常設展の標本類が充実しており頭を使わなくても楽しめるので、暇つぶしにも最適です。変わったところでは有名な忠犬ハチ公や南極観測樺太犬ジロの剥製もあります。高校生以下や提携大学の学生は常設展無料、一般でも友の会加入で常設展と年数回の特別展各1回が無料になります(私も会員です)。科学の視野を広げるために訪れてみてはいかがでしょうか。