[スポンサーリンク]

キャンペーン

SigmaAldrichフッ素化合物30%OFFキャンペーン

[スポンサーリンク]

フッ素が導入された化合物の活躍は近年眼を見張るものがあります。

生物活性化合物に水素の代わりに導入すれば、その炭素フッ素結合の疎水性、脂溶性、代謝を受けにくいなどの性質が功を奏することが多く、最終医薬品にも多くの含フッ素化合物みられます。炭素ーフッ素結合というとっても安定な結合を逆手にとって、それを選択的に変換しうる手法も開発されています。ヘテロ元素ーフッ素結合もその得意な反応性を利用した新たな合成反応も報告されています。もちろんそれらフッ素化合物をつくる「フッ素化剤」も様々なタイプのものが生みだされています。

というわけで、今回はシグマアルドリッチのフッ素キャンペーンを題材として、いくつかフッ素の関わる合成反応と試薬を紹介してみましょう。

Baran Diversinates:(ヘテロ)芳香族骨格の官能基化 (Baran教授)

おなじみ米国スクリプス研究所Baran教授による試薬「Baran Diversinates」です。フッ素部位を導入するというより、ヘテロ芳香環のアルキル化試薬ですが、合成の最終段階で官能基化されていないヘテロ芳香環に下記に示すような反応剤で含フッ素基を導入することが可能です1。使いやすさをアピールするために、烏龍茶のなかでも反応させることができるとアピールしたことが話題になりました(ケムステ関連記事:ウーロン茶の中でも医薬品の化学合成が可能に)。生体共役反応としても使えるようですし、t-ブチル基と置換できるトリフルオロメチルシクロプロピル基なども導入できます3。

様々な含フッ素Baran Diversinates(出典:Sigmaaldrichカタログより)

 

Professor Product Portal 

関連文献

  1. Fujiwara, Y.; Dixon, J. A.; OHara, F.; Funder, E. D.; Dixon, D. D.; Rodriguez, R. A.; Baxter, R. D.; Herlé, B.; Sach, N.; Collins, M. R.; Ishihara, Y.; Baran, P. S. Nature 2012, 492, 95–99. DOI: 10.1038/nature11680
  2. Zhou, Q.; Gui, J.; Pan, C.-M.; Albone, E.; Cheng, X.; Suh, E. M.; Grasso, L.; Ishihara, Y.; Baran, P. S. J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 12994–12997. DOI: 10.1021/ja407739y
  3. Gianatassio, R.; Kawamura, S.; Eprile, C. L.; Foo, K.; Ge, J.; Burns, A. C.; Collins, M. R.; Baran, P. S. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 9851–9855. DOI: 10.1002/anie.201406622

SuFEx:フッ化スルホニル~新たなクリック反応試薬 (Sharpless教授)

同じくスクリプス研究所のSharpless教授の開発した新たなクリック試薬であるSuFEx1。フッ化スルホニル基をもつ化合物は、プロトン源もしくはケイ素化合物の存在下様々な求核剤ですぐさま反応し、化合物をつなぐことができます。それ以外は高い化学選択性と官能基許容性を示すため、クリックケミストリーを体現する反応の一つとして提案されています。(ケムステ関連記事:新たなクリックケミストリーを拓くーSuFEx反応効率的に新薬を生み出すLate-Stage誘導体化反応の開発) 。

関連文献

  1. Dong, J.; Krasnova, L.; Finn, M. G.; Sharpless, K. B. Angew. Chem. Int. Ed.2014, 53, 9430 DOI: 10.1002/anie.201309399

Professor Product Portal 

革新的なフッ素化剤:AlkylFluor (Ritter教授)

ドイツマックス・プランク研究所のRitter教授によるAlkylFluor1。空気下安定で、水があっても問題なく、アルコールをフッ素に変換することができるフッ素化剤です。

関連文献

  1. Goldberg, N. W.; Shen, X.; Li, J.; Ritter, T. Org. Lett. 2016, 18, 6102–6104. DOI: 10.1021/acs.orglett.6b03086

Professor Product Portal

シグマ アルドリッチ構造式カタログ (新しい検索ツール)

というわけで、購入可能な含フッ素基導入試薬・フッ素反応剤・フッ素化剤を紹介してみました。ぶっちゃけ高いですが、購入可能になると一挙に誘導化のスピードが加速しますね。ちなみに、シグマアルドリッチのウェブではフッ素化合物を含め、シグマ アルドリッチ製品の構造式を、Web上で一覧表示できるようになったそうです。カテゴリや製品英名(部分一致)の組み合わせによる絞込み、該当化合物一覧のPDF出力も可能です。ウェブカタログはこちら。

ぜひチェックあれ。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ACD/ChemSketch Freeware 12.0
  2. ピリジン同士のラジカル-ラジカルカップリング
  3. アザジラクチンの全合成
  4. 【書籍】パラグラフ・ライティングを基礎から訓練!『論理が伝わる …
  5. 分子1つがレバースイッチとして働いた!
  6. 可視光を捕集しながら分子の結合を活性化するハイブリッド型ロジウム…
  7. 触媒的プロリン酸化を起点とするペプチドの誘導体化
  8. オープンアクセスジャーナルの光と影

注目情報

ピックアップ記事

  1. 「高校化学グランドコンテスト」が 芝浦工業大学の主催で2年ぶりに開催
  2. 無限の可能性を合成コンセプトで絞り込むーリアノドールの全合成ー
  3. リンダウ会議に行ってきた③
  4. ジェニファー・ダウドナ Jennifer Doudna
  5. Carl Boschの人生 その6
  6. 有機合成化学協会誌2018年3月号:π造形科学・マグネシウムカルベノイド・Darzens反応・直接的触媒的不斉アルキニル化・光環化付加反応
  7. アルメニア初の化学系国際学会に行ってきた!②
  8. 大村氏にウメザワ記念賞‐国際化学療法学会が授与
  9. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(3)
  10. アミン化合物をワンポットで簡便に合成 -新規還元的アミノ化触媒-:関東化学

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年9月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

早稲田大学各務記念材料技術研究所「材研オープンセミナー」

早稲田大学各務記念材料技術研究所(以下材研)では、12月13日(金)に材研オープンセミナーを実施しま…

カーボンナノベルトを結晶溶媒で一直線に整列! – 超分子2層カーボンナノチューブの新しいボトムアップ合成へ –

第633回のスポットライトリサーチは、名古屋大学理学研究科有機化学グループで行われた成果で、井本 大…

第67回「1分子レベルの酵素活性を網羅的に解析し,疾患と関わる異常を見つける」小松徹 准教授

第67回目の研究者インタビューです! 今回は第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化す…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP