ソルダーレジストは、プリント配線板や半導体パッケージ用基板の表層部分に使用されはんだ付け作業時、不要な部分にはんだが付着しないようにするための耐熱性材料です。さらにほこり、熱、湿気など外部からの衝撃やストレスから守る重要な役割も担うプリント配線板に欠かせない電子材料です。
1970年代にはエポキシ樹脂、イミダゾール混合系の材料をスクリーン印刷によりパターン形成後、熱硬化させて使われていましたが、回路パターンの微細化に伴って高解像性が求められるようになり、1980年代にはフォトリソグラフィー法を用いた光・熱硬化併用材料が開発され、現在も主流となっています。
現像型ソルダーレジストの主成分樹脂について合成例をFig.2に示します。
まずノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基にアクリル酸のカルボキシル基を付加させ光架橋性基を有するエポキシアクリレートを合成します。次に、一段階目の反応で生じた水酸基にテトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水物を反応させることで側鎖にカルボキシル基を有するアルカリ水溶液溶解性樹脂を得ることができます。
続いて、ソルダーレジストの硬化システムをFig.3に示します。
ソルダーレジストは、前述したアルカリ溶解性樹脂の他に、光重合開始剤、耐熱性を高めるためのエポキシ樹脂や無機粉体を配合した組成物です。添加されている光重合開始剤の作用により、露光時にUV照射された部分はエポキシアクリレートの二重結合部分が反応し硬化します。
UV未照射部分についてはアルカリ水溶液可溶性を維持しており炭酸ナトリウム水溶液のような弱アルカリで現像時に除去することができます。その後樹脂中に残存するカルボキシル基と配合しているエポキシ樹脂を熱硬化させることで架橋密度が高く、耐熱性の高い硬化塗膜を得ることができます。
ソルダーレジストはミクロンレベルの解像性を持ちながら、はんだが溶ける300℃近い温度での耐熱性も有しています。そのほかにも実使用時の過酷な環境下においても長きに渡って電気絶縁信頼性を維持すること、万が一に備えての難燃性などが求められます。
エポキシ基とカルボキシル基の反応、アクリル酸の重合など一つ一つの反応は古くから一般的に知られている反応ですが、それらを組み合わせて確立した”世界一の技術”によって私たちはソルダーレジストのトップメーカーになりました。
現在も新たな組み合わせの発見と、それによる新規事業の創出に取り組んでいます。
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