いよいよ3月1日から企業による説明会が始まり、本格期に就活が始まりました。説明会では必ず質問の場が設けられますが、当たり前のこと聞いても意味がありません。今回はどんな質問をすればその会社の本質が見えてくるのか考えてみます。
説明会は、ホワイトであることのアピールでしかしない
説明会で、「わが社ブラックです。」などと説明する会社があるはずもなく、どの説明会でも働きやすい魅力的な会社であることをアピールしてきます。しかし、それが真実であるかどうかの確証はありません。そこで説明会の質問の場で、本質をついた質問をすることが大事だと私は思います。
質問魔にはなる必要はない
質問をたくさんして会社の人事にアピールすべきとして簡単に調べればわかることをたくさん質問する人がいますが、アピールにはならず、むしろ入社しても全部先輩に聞くだけの使えない人だと思われる気がします。例えば、「御社の福利厚生はどうですか?」と聞けば、「単身寮があって、昼は食堂で格安で昼食が食べられて、サークル活動もよくやっています。」などと良いことをアピールしてきます。しかし、これは良い会社であるアピールに過ぎず、ありふれた福利厚生でしかも調べれば出てくるような情報であるため会社を選ぶいい材料とは言えません。
そこで、数字を聞くことが一つのカギとなると私は考えます。例えば、「単身寮の費用は月いくらですか」「昼食の値段はいくらですか?」「何人くらいの人がサークルの活動に参加していますか」と聞けば、安いのか高いのか、活動が活発なのか休眠しているのかをとらえることができます。
質問例
下記は、社会人である筆者が今考えた質問で、これを学生の時に聞いておけばよかったと思うものです。そのため質問によっては質問者のイメージを悪くする可能性があり、OB・OGに聞いた方が良い質問もあります。
待遇編
- 家族手当はいくらですか?
- 住宅補助は、家族と独身では、いくらをいつまで出してくれますか?
- フレックスのコアタイム何時から何時までですか?社員の方々はどのように活用していますか?
- 連続した有給は取れますでしょうか?
1と2は、要項で手当・補助ありとしか書いてない場合もあるので、金額を聞くと給料のイメージがつくと思います。2に関して、金額とその補助金額がずっと一定なのか勤続年数によって補助額が低下するのか、家族の有無で補助金額が変わるのかなどは会社によって異なります。初任給はどこでもほぼ一緒ですがこの住宅補助が収入に大きく影響し、場合によっては家の購入計画も徐々に考えないといけないなど人生設計に大きな影響を与えます。
3のフレックスとは、出勤時間と退勤時間を自分で変えられる制度のことで、実験の都合や平日しかやっていない市役所や銀行の窓口に行くとき、子供の面倒を見るときにとても有用な制度です。ただし、昼夜逆転の業務は出来ないように、出勤しているべき時間帯=コアタイムが決まっている会社が多く、このコアタイムが長いとフレックスの意味がなくなりますし、フレックスという制度があっても使えない雰囲気だと魅力的でないです。
4は、有給消化率の高さをアピールしている会社もありますが、有給消化推奨日を作って半ば強制的に消化させている会社もあり、自分が休みたいときに休めるかが気になるからです。
業務編
- 会社からスマホは支給されるのでしょうか
- 出張ではどのようなものは自分で払うのでしょうか?
- 長時間路線でのビジネスクラスは使えますか?
- 裁量労働制でしょうか?
1は、スマホだけでなくIT環境が満足かどうかを聞き出す質問になります。グローバルでプロジェクトが進んでいる現代では、業務時間外でもメールをチェックした方がよい場合があり、そんな時に会社支給のスマホがあれば、どこでも手軽にチェックできます。もちろんスマホを支給されたら365日24時間メールを全部返信すべきというわけではなく、自分の時間に合わせて仕事をするかが現代のビジネスマンには必要であると考えます。
2と3は、出張の待遇についてで、会社によっては出張手当がつく会社もあれば、ホテルの使用上限金額が決まっていて自分で負担しなくてはならない場合もあり気になるところです。出張は遊びではないので、ストレスなしで業務ができるように長時間のフライトでは、ビジネスクラス使用が許可されている会社もあります。
5に関して今ホットな話題の裁量労働制ですが、要は残業代が出るか出ないかという質問です。管理職になると一般的には残業代は出ませんが、裁量労働制の場合にはポジションに関係なく出ません。実験を行う仕事の場合、実験によっては長時間の勤務が必要になる場合もありますが、作業の効率が悪かったり無駄な作業によってあえて残業している場合もあり残業代が出る=いい職場とは限らないと思います。裁量労働制だからこそ集中して仕事を行い早く家に帰るということも一つの仕事のやり方だと思います。
研究編
- 研究所の無事故無災害は何日続いていますか?
- 具体的な安全への取り組みは研究所で何を行っておりますか?
- 実際に実験を行うのは誰でしょうか?
- 子育てしながら研究・開発業務を続けている方は何人いらっしゃいますか?
- 次世代のビジネスを見据えた研究をどのように行っていますでしょうか?
- 学会参加や顧客対応はいつからどれくらいできるのでしょうか?
現場では、安全第一が基本であり、休業災害が起きるとけがをした方は、働くことができなくなり企業のイメージも悪くなります。そのため、無事故無災害を何日続けているかを多くの会社が掲げています。これが長いほうが安全に気を付けていているといえます。一方で、安全に注力し過ぎると現場の負担が大きくなって研究プロジェクトが進まなくなります。このような安全に関するポリシーを1や2の質問でヒントが得られるかもしれません。
3は研究スタイルについてで、テクニシャンが手を動かして実験を実際に行い、リサーチャーが頭を使ってプロジェクトを動かす欧米スタイルかマネージャー以外は、実際に手も動かしつつプロジェクトを動かす、全員野球スタイルがあります。どちらも一長一短で、自分の好みとキャリデザインによりけりだと思います。
4は、結婚・出産に関することで、子育てと両立できるとアピールしてても、実際は配置転換などを勧められる場合もあるようです。そのため、実際に両立している社員の人数を聞くことにって現状を知ることができるかもしれません。
一般的にコアな研究は、今お客さんと頻繁にやり取りしていてもうすぐにビジネスになるプロジェクトですが、会社としては5年後10年後を見ていないと市場の変化によって競争の中で生き残ることができなくなってしまいます。そこをどのように考えているのかを5の質問によって測ることができると思います。
学会参加などを積極的に推進しているというアピールをする会社もありますが、実態はリーダークラス以上のみで、研究員は研究に注力しいる場合もあります。やはり外に出て外部とやり取りすることによって自分の研究のモチベーションを保つことができるともいえるので出張の頻度については6のような質問で現実を聞いておくとよいと思います。
会社は入ってみないとわからない
ここまでいろいろな質問を考えてきましたが、最後は入社して配属されてみないと現状はわからないと思います。それでも質問しないで入社するよりかはといろいろ質問してから入社したほうが納得できるかもしれません。