ケムステをいつもご覧になっている方であれば、この時期にこのタイトルをみればもうお馴染みですが、今年もCASが主催するSciFinder Future Leaders プログラムの参加募集が開始されました。
ケムステの過去記事(①、②、③、④、⑤)にもあるように、このプログラムではオハイオ州にあるCAS等の見学に加え、ACS Fall meeting 2018(@Boston)に無料で招待(航空券、宿泊費等はすべてCAS持ち)されます。しかもプログラムに参加する前後に、アメリカの気になる研究室を訪問したい等の要望にもある程度、対応してくれるとのことです。さらに支度金として500$が支給され、ACS membershipまで貰えちゃいます。
応募に必要なのは、①博士課程の学生かポスドクであること、②500-1000語のエッセイ(自身の研究と目標とSciFinder をはじめとする情報をどのように研究に役立てているか?)、③履歴書、④指導教官の推薦状だけです。また例年通り、日本からの応募締切が他の国より2週間程度長く(4月13日締切)、CAS側も日本からの応募を期待していることが分かります。
昨年は東大の梁瀬将史さんが参加され、プログラム様子はこちらのインタビューからご覧いただけます。梁瀬さんを含め例年「ケムステの記事がきっかけで応募し参加した!」という方が多く、大変うれしいかぎりです。2018年もケムステを見た方の中から選ばれるよう、昨年プログラムに参加された梁瀬さんに「エッセイの書き方」と、選ばれた場合「どのような準備が必要か」についてお伺いしました。
どうやってエッセイを書けばいいのか?
Q.エッセイ(英語)を書く際に心がけた点は何でしょうか?
(梁瀬さん) 以前の参加者の方々も述べられているように、英語のエッセイは日本語とは違い、フォーマットが決まっていて、形式に沿って書かれていることが重要だと聞いていたので、まずは、英語のエッセイを書く上で必要な構文・構成を調べ上げました。次に、テーマに沿ったエッセイの内容を日本語でリストアップした後、秩序だった文章となるようそれぞれのパラグラフに落とし込みました。当然のことですが、最後に誤字脱字が無いこと、文法的な誤りが無いことを入念に確認しました。
Q .どのようなエッセイを書かれたのか教えて頂けないでしょうか?
(梁瀬さん) 昨年度のテーマは「SciFinderをどのように研究に活かしているか」という内容でした。Introduction partでは、自分が研究生活でどのようなデータベースを必要としているか、SciFinderはどのようなデータベースであるかを説明しました。Body partでは、反応探索に使用しているといったSciFinderの使用例を盛り込み、Conclusion partで全体を包括し、再度SciFinderの有用性について強調しました。ちなみに、私の場合、各段落のパラグラフの数は1・4・1でした。
どんな準備が必要?
Q.もう一度参加するなら準備したいこと・ものはありますか?
(梁瀬さん) 準備しておいた方が良かったこととしては、ネイティブスピードの英語の聞き取りやマーケティング等に関する自分の語彙力の乏しさで苦労したので、英語をもっと訓練していった方が楽しめたと思います。更に、プログラム中に、それぞれが研究生活で困っている点を提起しその解決策を議論することがあったので、普段の研究生活の不満を予め考えておくとスムーズに議論に参加できたと思います。その他必要なものは、CAS側で全て手配して頂ける大変恵まれたプログラムなので、私が特別に用意しなくてはならないものはありませんでした。
Q.実際に参加してみて、参加前の想像と違っていたことはありますか?
(梁瀬さん) 私は日本から唯一の参加者だったこともあり、日本人として外国人研究者との「文化」の違いを意識する機会が多かったです。CASの方は多様性を重視しているようで、メンバーのバックグラウンド(出身国や留学経験など)が多岐にわたっていて、これまでに関わったことがあまりない国出身のメンバーとも交流することができ、友達になれたことは非常に有意義でした。
この記事を読んで「参加しようかな」と思っているケムステ読者にメッセージをお願いします。
(梁瀬さん) このプログラムは、CASの方々の手厚いサポートの元で、本当に多岐にわたったバックグラウンドを持つメンバーと交流を持つことができるので、今後グローバルに活躍が期待される博士課程学生、博士研究員には強くお勧めできるプログラムだと思います。また、プログラムの前後は自由に行動することができますし、せっかくアメリカ東海岸に行ける機会ですので、観光はもちろん、近隣の大学(ラボ)の見学に行くことも視野に入れると良いと思います。CASの方々は多様性を重視しているらしく、メンバーは毎年日本を始めとする多くの国々から選ばれています。その上、日本からの応募数はアメリカ等と比べると圧倒的に少ないことが推測され、倍率的にも非常にチャンスが大きいプログラムだと思います。応募に必要な書類もエッセイとCV・推薦書だけでそこまで多くないですので、少しでも興味があれば研究の合間にエッセイを書いて応募することをお勧め致します。
申し込みは4月13日まで
いかがでしょうか?参加すると世界各国から集まった優秀な若手研究者たちと、貴重な体験が出来ることは間違いありません!締切までまだ一か月近くあるので、今すぐエッセイを書いて応募しましょう!! 申込はこちら!
最後に、大変お忙しい中コメント頂きました、梁瀬将史さんにこの場を借りて御礼申し上げます。