かねてよりケムステでは有機合成化学協会とのコラボにより、協会誌の新着紹介に努めてきました。協会側もウェブベースの情報発信に熱心になりつつあるということですが、その方針を強力に推し進める施策の一環として、このたび有機合成化学協会のホームページが完全リニューアルされました!
有機合成化学協会 公式ホームページ
https://www.ssocj.jp/
Facebook公式ページ Twitter (@ssocj)
何を隠そう、私ことケムステ副代表、このHPリニューアルプロジェクトにコンサルタント的位置づけとしてがっつり関わらせていただきました。想定メインユーザである20~30代の若手会員(>数十名)を相手にメールベースでアンケートをとり、議論に議論を重ね、受け取った要望をユーザファーストでしっかり反映させました。
皆様の貴重なご意見のおかげで、見事に現代的ホームページへと変革を遂げることができたと思います。さて、具体的にどこが改善されたのか!? 今回はそれをかいつまんでご紹介しましょう!
その1:欲しい情報にアクセスしやすくなった!
旧ホームページは5年以上前にリニューアルされたものですが、「詰め込みすぎで見づらい」「字が多すぎ」「なんか大丈夫かって言うぐらい古い」「色味が今風じゃない」・・・などなど、現代的若者からは厳しすぎるコメントが飛びまくる残念な代物でした。学会ホームページ=「学会の顔」としても過言では無い現代、その充実は避けて通れない課題だったのです。
ただここまで来てしまうと、旧ページをこねくり回すよりはゼロベースで考える方が早いと考え、完全に作り直してしまうことにしました。スマホ対応、SNSの導入も決めました。必要な情報を詰め込んでもうるさくならないよう、メニューをプルダウン化して整理し、グラフィック主体の画面構成にすることにしました。大抵の情報にはサイト訪問後、スクロールいらずでアクセス出来る配置を考えました。学会の体力に関わる「会員数の増加」、既存会員の利便性も考慮に入れ、入会・会員ページも目立つところに置きました。
協会のキラーコンテンツでありつつ、会員からの情報ニーズが大きな受賞・イベント・協会誌・助成金などについては、より詳しい情報をトップページ下部の目に付きやすいところに配置しています。
その2:CMS化でスピーディな更新作業を実現!
本リニューアルを機会に、情報発信の事務コストを下げることも念頭に置きました。
- 他にも仕事を抱える事務員が更新しなくてはならない
- 支部ページ・イベントカレンダーなども統合的に扱いたい
- SNSとも連携したい
などなどの要望を考えると、コンテンツマネージメントシステム(CMS)の導入に行き着くのも必然でした。
今回はケムステでも使っているWordPressを採用し、業者に委託構築して貰いました。旧ページよりもずっと素早い更新・修正対応、リアルタイム性のある情報発信などが今後は期待できることでしょう。
特にイベントカレンダー付きの行事ページは力作ですので、是非一度ご覧になってみてください!
その3:SNSに対応!!
現代的経路からの情報発信を意図し、遅まきながらではありますが公式FacebookページとTwitterアカウントを開設しました。
イベント情報、学会誌発行のお知らせ、その他トピック的なものを配信していく予定です。この機会に、是非ともフォローをお願いします!!
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その4:支部ページを統合(・・・予定?)
旧ページで個人的に気になっていたことは、支部ページがバラバラに存在していたことです。ホームページを持っていない支部も中にはあり、支部会員視点から情報が上手く拾えないこともありました。同じ会なのに足並みが揃っているように見えず、ブランディング観点からもマイナスに思えていました。
地方であればこそ、支部活動のウェイトは大きなものがあります。せっかくのリニューアル機会、ネット技術で「支部のチカラ」を全国発信できるようにすべきではないのか—そのような考えから、支部ページを公式ページに集約させることを計画しました。
有機合成化学分野は「日本のお家芸」と呼ばれてきた歴史もあり、地方支部にもかなりの実力派ラボが勢揃いしています。優れた支部発アクティビティを可視化し簡単に発信できるようになれば、学会としての優れた対外アピールにもなると考えます。
新サイトのトップページ下部には各支部の窓口リンクが張られ、各支部サイトへのアクセスを容易にしています。中身の充実はこれからですが、CMSを使った管理統合などもゆくゆくは視野に入れています。
その5:英語版の充実
有機合成化学協会は、実は優れた国際賞を多数主催できるほどに力のある会です。ただ、主催団体の情報が簡単に入手できないと、受賞者の方々も説明に困るものです。「有機合成化学協会はこういう会なんだ!!」「日本にはこんなに凄い会があるんだ!!」と世界に発信していく姿勢は極めて重要です。
また、協会誌も1年に1回、英語版をオープンアクセス公開しています。情報としては極めて高品質であるにも関わらず、しっかり周知する場所がないのが問題でした。
つまり英語ページの充実が求められるのも、必然の流れと言えました。
ただ、日本語サイトの運用方針が固まらない状況で英語版を稼働させても、更新の手間が増すばかりで広報効果が上がりません。現実的に割きうる広報コスト上限という観点から、英語版は情報をかなり絞ってあります。それでも以前よりはかなり情報も増え見やすくなりましたので、徐々に充実させていくという方向で考えています。
次なる施策は!?
「会員用マイページの設置」を既に提案してあります。簡単に言うと、電子文献取得、論文投稿、学会発表登録、会費カード払いなどを、会員情報を紐付けさせたウェブサイト上で簡単に行なえるようにする構想です。ご存じの通り、日本化学会などでは既に実装済みですので、やってやれないことはないはずです。リソースが限られる現実は理解できますが、全ての会員に益がある仕組みづくりには、是非ともがつんと投資を期待したいところですね。
また、ウェブサイトはあくまで情報発信を効率化するための”ハコ”でしかありません。発信すべき中身こそがやはり重要です。事業委員・編集委員主導の、時代に合わせたいっそうのコンテンツ拡充も併せて期待したいところです。
情報インフラ~事務処理インフラ~コンテンツを全て組み合わせることで、ウェブベースでのユーザーファースト改革が完成すると筆者個人は捉えています。
そのための準備は、着々と整いつつある状況です。有機合成化学協会のこれからに今後とも注目です!